浅田次郎さんの『終らざる夏』、めっちゃ面白くって、ほとんど一気に読了してしまいました。久しぶりに読み応えのある小説に出逢いました。
千島列島の最北端、占守島における、ポツダム宣言受諾後に侵攻してきたソ連軍との攻防が描かれるんですけれども、戦闘のシーンはほんの終盤だけで、そこに至るまでの人々の思いの連なりがすごく濃密で胸に痛くて。
群像劇で、いろいろな場所でいろいろな人物の物語があるにも関わらず、その全てにぐわっと感情移入させ、さらにラストの悲劇に向かってことごとくが一気に収斂してゆくという。まさに熟練の職人芸!! 「平成の泣かせ屋」、健在でありました(涙)。
千島に関しては、通り一遍の知識しかなかったんですけれども、日本人として恥ずかしくなりましたです。断じて、無関心で居てはいけないですね。
軍隊のシーンは、元自衛隊員である浅田さんならではのリアルさで、戦争の悲惨さ残酷さが、ハリウッドみたいに映像でガーンって見せる遣り方ではなく、人々の言葉や行動から滲み出る積年の思いから、ひしひしと、本当にひしひしと感じることができました。
浅田次郎、やっぱり凄いっす!!