過去2回野良猫の傷の手当てについて
書いてきた。



今回は家猫も含め猫の治療について

書きたいと思う。


私は猫は飼っていない。

野良猫と共に生活をしているだけである。


2020年7月だったと思うが

コロナパンデミック中

全く仕事が無くなった私はやる事がなく

庭仕事をしていた。

そこに現れた一匹の野良猫との出逢いが

始まりだ。


彼は血だらけで

左肩甲骨側に

直径7センチ程の傷があり

破れた皮はぶら下がっており

傷口は膿んでいた。


もともと猫が好きな訳では無かった。

ただ目の前に傷ついた生き物が現れたから

助けようと思っただけだ。


初めのうちはカルシウム剤で

外傷にふりかけるという形を取った。

家猫の場合は衛生面が保たれるので

後に記すがこの類のふりかける形で

十分かもしれない。


しかし野良の場合はやはり不衛生だ。

どうしても膿が改善されなかった。

カルシウム剤を使わないよりは

使った方が良いとは思うが

著効とは言えなかった。

またぶら下がった皮は

ゴハンを食べている最中にハサミで

切断した。


それから数ヶ月経ち

彼は再び大きな傷を負ってきた。

その時は両側肩甲骨にかけ

横幅20センチ位皮を剥がされていた。


野生の闘いは傷がある所を狙われる。

そして彼は個体として小さかった。

しかもら出逢った時は歯にスジが

無かったからまだ一歳位だったのだろう。


これはまずいと、

このままでは死んでしまうと思い

動物病院に電話した。

野良なのでつれて行かれないが

薬を処方してもらえるかと。

快く抗生物質の塗り薬と

抗生物質と

スポット用ノミ除去剤をもらった。

生まれて初めて動物病院に行ったが

値段が高いのに驚いた。


塗り薬はゲンタマイシンシだ。

抗生物質の塗り薬としては一般的だ。

しかし少し強すぎるように思えた。

傷の周りに塗れとのことだったが

皮膚がただれてしまう気がすこしあった。

ただ、できてしまったカサブタを溶かすには

有効である。

クロマイ軟膏も同じく抗生物質が

入っていてドラッグストアで買える。

今では軟膏はクロマイ軟膏を使用している。


クロマイ軟膏はステロイド入りのもあるが

初めのうちは

ステロイド入りでも良いと思う。

傷口の周りが赤く無くなってきたら

ステロイド無しのクロマイに変えたら

良いと思う。

ゲンタマイシンもクロマイも

傷の周りにできた硬い黒いカサブタを

溶かすのにも役立つ。


カサブタは傷の保護にはなるが

バイ菌は通してしまう。

その為カサブタの下で膿んでしまう。

できればカサブタは剥がして

膿を除去できれば最高だ。


しかし相手は野良猫だ。

やすやすとそんな事ができる訳がない。

シャーの応酬であり、

信頼関係が無くなったらもう来なくなる。

どんなに相手のことを思った事だとしても

嫌がる事をたくさんするべきでは無い。

ありがた迷惑というものだ。

別に野良猫は傷を治してくれとは

一度も言ってないしお願いもされていない。

これは完全に人間側の勝手な行為である事を

自覚するべきだ。


傷の周りに軟膏を塗るのに

初めは指では塗れないだろう。

綿棒につけて塗ると結構塗ることができる。

猫も人間の大きな手で塗られるより

怖くないようだ。

膿みが酷い場合は

傷の上に軟膏を付けてもよい。

ただ、痛がるので綿棒でほんの少量

軽く乗せるという感じになるだろう。



しかしやはり内服薬が必要だ。

野良猫に関しては外での生活の為

どうしても外側だけの治療では

治りにくい。

抗生物質を飲ませた方が良い。


皿の上にチュールに混ぜて

あげれば食べてくれる。

しかしこれもある時期までだ。

猫はとても頭が良い。

何か異物が混ざっていると思うと

食べなくなる。

その為何種類ものチュール的な物を

取り替えながらあげると

食べ続けてくれる。


指からチュールを

食べてくれるようであったら

これは最高だ。

指に薬をつけてそのままチュールと共に

なめてもらえる。

お皿の上のものは

やはり、ある程度舌を出さないと

食べられない。

口の病気がある子は

舌を出すのが辛くなる。



口の中の病気の子はこれは大変

困難である。

まず難治性の口内炎などが

野良猫には多い。

ウイルスなどが原因であるが

決めての治療法は無い。

家猫の場合であれば

最終手段として抜歯などの手術があるが

野良の場合はそうもいかない。


できれば一度だけでも捕まえて

持続性ステロイド注射を打ってもらうと

それから当分の間は驚くほど良くなる。

家猫の場合であれば

3ヶ月に一度でも打てば良いかもしれないが

野良猫の場合は無理だ。


この子の場合

酷い口内炎もあった。

ご飯が食べられなくなり

このままでは死んでしまうと思い

決死の覚悟で捕まえ

動物病院に連れて行った。


しかし私は知らなかったのだが

動物病院によっては

野良は診てくれないところも多い。

これには驚いた。

生命に差別がある事に驚いた。


経営する側としてみれば

病気を連れて来る可能性もあるし

獣医も噛まれたり引っ掻かれたり

万が一院内で逃げ回っては

他の動物にも迷惑がかかる。

それは理解できる。

しかしあからさまに

野良猫は診ないと言われて

面食らったのも事実だ。


数件電話したら

洗濯ネットに入れてこいとの事だった。

なんとか入れてそしてキャリーに入れて

連れて行った。

迷惑がられた対応であったが

持続性ステロイド注射のおかげで

一気に良くなり

同時に他の動物病院で

抗生物質と消炎鎮痛剤を処方してもらい

毎日飲ませることで

それから一年は問題なく食べられるように

なった。



しかしある時から猫が来なくなった。

オスはしかたない。

オスは旅する生き物だ。

新たな子孫を残すために

新たな場所を探す。


そうか。

もう来なくなったかと思っていた。

しかしある時1週間ほどして

突然現れた。

見るも無惨に傷は破れ

泥だらけだった。

闘いだ。

男だから仕方ない。


ある程度良くなった傷であったが

また一から治療を開始した。


しかし困った事に

たった1週間薬を飲まなかったせいで

口の中が悪化した。

口内炎に関しては

消炎鎮痛剤を使用していて

肩の傷には抗生物質が出ていたが

いろいろ調べた結果

口の中の病気にも抗生物質は

それなりに効果があるらしい。

どちらが効いていたかは分からないが

この2つを1週間飲まなかったせいで

口の中はとても悪化して

食べられる状況ではなくなった。


観察していると水は痛がりながらも飲める。

チュール系は粘りがあり無理だ。

お粥や液体介護用食べ物

などいろいろ与えたがどれもダメで

最後に猫ちゃん用牛乳をあげたら

これは飲んでくれた。

よしと思いそこに薬を溶かしたら

これが良かった。

ある程度痛みが減ったらチュールも

食べてくれる様になった。

高カロリーのチュールを与え

またパンは食塩が多いのと太るから

与えない様にしていたが

この時ばかりはパンも小さくちぎったら

食べられる様になり

体重も戻ってきた。


しかし一度悪くなった口の中は

簡単には戻らない。

カリカリなどは一切食べられなくなった。


レメディも試したが

これは何とも言えない。

効いているのかどうかはわからない。


ルミンも試しているが

これも効いているかわからない。


バイオデンタルなどのサプリも

試しているが著効とは言えない。


やはり口の中の炎症に関しては

持続性ステロイドが著効だろう。

しかし動物病院に連れて行くのが

無理の場合はこれは不可能である。

仕方ないから内服薬で炎症を抑える。

消炎鎮痛剤と抗生物質である。


抗生物質はドラッグストアでは買えない。

知り合いに医者や看護師、薬剤師がいれば

薬を分けてもらう事は可能だろう。

しかしつてがない場合は仕方ない。

動物病院で、高いが買うしか無い。


消炎鎮痛剤に関しては

人間用のがドラッグストアで買える。

これを使用しても良い。

体重を人間の六分の一と考えて

用量を計算すればいい。

私は四分の一で計算する。

人間用の四分の一の量だ。

緊急事態や悪化している時には

一気に使用した方がよい。

錠剤を包丁で削り粉にして

何かに混ざるのが良いだろう。


皮膚病の猫にはやはりステロイドが

1番効く。

猫の場合人間と違って

ステロイドの副作用が少ない。

その為ある程度なら安心して与えられる。


この子も酷い皮膚病で

お腹や手足はほぼ

毛がない感じになってしまった。


野良猫なのでノミも沢山いる。

クシで気長に何度も取ったが

やはり取り切れることはない。

家猫の場合はこの心配は無いと思う。

衛生面が確保されているから

ノミに困ることはないだろう。


ノミがいると痒いので掻いてしまう。

すると傷まで掻いてしまう。

もちろんカサブタが痒くて掻くことも

あるがノミで掻くことも多い。


ここで注意していただきたいのが

市販のノミ除去剤だ。

これはかなり危険である。

やめた方が良い。

ネットやドラッグストアで売っているが

相当危険な薬であり

この子にも使用したが

毛が一気に500円玉大以上抜け落ちた。


野良猫にとって毛は鎧なので

毛が無いとまた怪我を負いやすくなる。

使用しない方が良い。

かと言ってノミ取り用の首輪など

野良猫にはあり得ない。

傷防護服もそうだが

木や金網などに引っ掛かり動けなくなったら

終わりである。


気長にクシで取るのが1番だ。


しかしノミが原因ではない皮膚病には

【第2類医薬品】アレルギール錠 110錠

が著効であった。

ハゲ山のようになってしまっていた皮膚が

1ヶ月も経たない内にふさふさとなった。

またこのステロイドが効いたのか

口の中も少し安定した。

であるから口内炎にこの

アレルギー用のステロイドを使用しても

良いかもしれない。

日に2度、四分の一与えれば良いだろう。


また初めの内は外傷にカルシウム剤

を使用したいたが

最近は

【第3類医薬品】新ホルム散 20g

使用している。

赤ちゃんのへその緒にも使用できるいう。

しかしやや痛みを伴う様である。

ふりかけると時間が経ってから

痛がっている。


しかし野良の場合はバイ菌との

闘いでもあるため

今は使用している。


かつてはキズクイック 大きめサイズ

を加工して使用していた。


良い面はバイ菌から守ってくれる事と

痛み止めにもなる事だ。

しかしやはり傷に張るのが困難な事と

動物は自分で剥がしたがるのと

意外と治りが悪い。

やはり糊がついているので

皮膚に良くない。

人間であればとても良いと思うが

毛がある動物には

難しい。

しかしある時期これを使用していたが

ゆっくりではあるが順調に確実に

治っていったのも事実である。

膿がある時は使えない。

内服薬との併用になるだろう。


家猫や室内犬であれば

シートを使用し保護服を着れば

恐らくこれが1番早い外傷の治し方

かもしれない。

湿潤療法が現在は外傷治療の定番である

という記事を沢山読んだ。

確かにそれは本当かもしれない。

傷には傷を治そうという身体の働き

粘液が出てくる。

これを殺菌消毒してしまうと

大切な細胞まで殺してしまうというのが

この治療法の謳い文句だ。

だから殺菌消毒せずに

傷を洗った後、シートを貼っておいて

乾燥させずに治療するという方法である。


私が指をスライサーで切った時に

私は指が商売道具なので

とにかく早く治さなければと思い

まずは液体絆創膏を使用し

その上からキズクイックを使用したら

とんでもなく早く治った経験がある。

しかし

液体絆創膏はとにかくしみて痛い。

しかしとにかく早く治る。

この上にキズクイックなどのシートを

使用すると、とても治りは良い。


しかしこれは我慢できる人間の話で

動物には無理である。

しかも野良にはありえない。


シートはとても良い面があるが

家猫や室内犬には良いと思うが

野良猫やお外の動物には難しいだろう。


そういう点ではホルム剤が

良いかもしれない。

しかしやはり人工的なカサブタが

良いかどうかは分からない。

結局カサブタの下に膿を溜める事になる。

抗生物質の内服薬を使用しても

初めのうちは膿が出る。





今までの経験によると

何が良いのかは

結局のところ何も分からない。

何もしなければ恐らく

数ヶ月で死んでいたと言われた。

ゴハンを食べられないのは

野生にとっては死を意味する。


しかしそれを私のエゴで治療し

長生きさせていることが

良いことかどうかも

正直分からない。

野生に介入する事が良い事かどうかも

分からない。


ただ

目の前に

血だらけの動物が現れ

何とかして助けたい

そう思って

今日まで共に生きてきた次第である。


何が正しいのか

未だに分からずじまいだ。


ただ

彼らの勇敢な生命から

本当に多くを教わった。

生命の強さ

そして

愛。


真剣に彼らと向き合ってきて

私自身は大きくかわった。


鍼灸師という職業で

それなりに生命を

考えてきたつもりであった。

しかし甘かった。

私は何も分かってはいなかった。


今私は傷ついた野良猫の白と

縁あって出逢った野良猫の黒と

暮らしている。


彼と彼女から

生きる

という事を学んだ。


人間がコロナパンデミックで

慌てふためいていた頃

彼らは堂々といつも通り生きていた。


黒はしっかりと子育てもしていた。

私が近くで庭仕事をしていたら

子供を守るために何度も威嚇してきた。

雨の日もどんな日も

懸命に子育てをしていた。


その姿は一生忘れないだろう。

私の胸に焼き付いている。


白は何度も闘った。

己の縄張りを守るために

決して逃げず

真っ向から闘った。

何度も傷つき

傷が酷くなれば我が家で療養し

少し良くなればまた闘いに出る。

一度傷のために

外に出さないでみようと思った時があった。

しかし彼は絶対に外に行くという。

縄張りを取られたら

それは彼が彼でなくなる。

居場所が無くなる。

何度も傷つきながら

勇敢に出て行った。



生命の強さを

教わった。




私自身は

野良は野良で良いと思う。

人間と仲良く暮らせば良いと思う。

私は田舎に住んでいるから

周りは農家の方が多い。

農家の方に言わせると

倉庫のネズミをとってくれるから

野良猫はいた方が良いといってくれた。

私にも何度もハンターである白と黒から

貢物を頂いた。

2回ほど

生きたまま貢いでくれた事もあった。

今では忘れられない思い出だ。




いろいろな意見や

生命に対しての各々の

向き合い方があるから

他のやり方を非難するつもりはない。

それぞれの学びであり

経験の為の

魂同士の約束なのだと思う。


私は私の考えで

飼わないという選択をし

野良猫と向き合う生き方を選んだ。

困っている人がいたら助けるように

虫も

猫も

困っていたら助ける。

死にそうだったら助ける。



以前治療院の網戸に蜂が止まって

動けなくなっていた。

何時間経ってもピクリともしない。

死ぬんだなと思った。

そのまま死なせてやるのも一つだろう。

しかし見殺しにはできなかった。

治療院にあった蜂蜜を水で溶かし

脱脂綿につけて口元に置いてやった。

彼は静かに舐めて

少したったら飛んでいった。



今年の夏は暑かった。

カナブンが何匹も玄関の前で

ひっくり返っていた。

全く動かずこのままコンクリートの上で

死なせるのはどうかと思った。

少し水を数滴かけてやり土の上に運んだら

ゆっくりと歩いて行った。


ひっくり返ったセミもそうだった。

水を数的かけてやり

土の上に置いたら歩いていき

飛んでいった。



我が家に来てくれた二人の猫も

私にとっては同じだ。

1人は血だらけ。

1人はブルブル震えて泣いていた。



困っていたら

助けるのが

生命なのではないか。


彼らがお外で暮らしたいと言うなら

そうさせるのが尊厳ではないか。


彼らが行きたいところに

いつでも行けばよいと思っている。

もちろん

いなくなったら

この上なく寂しいのはわかっている。


でも私の所有物では無いことも

自覚している。


天下の野良に

私は最大限敬意を払っている。


立派に生きている彼らを

ただ

尊敬している。


今夜交通事故で死んでも

今夜他の野生生物に殺されても

それが彼らの魂の選ぶ道だ。

私のエゴで所有しようとは思わない。

私もいずれこの世を去る。

遅かれ早かれ

その日は来る。

今夜交通事故で去るかもしれない。

だからと言って

家に引きこもる訳にはいかない。

待ってくれている患者さんがいる。

外に出なければならない。



彼らが生きたいように

生きてもらいたい。



そして

少しでも彼らの生命に

寄り添わせてもらいたい。


そして

私のエゴであるが

もう少しだけ

傷の治療をさせてもらいたい。




これが

私のアメブロ最後の記事です。

この後の記事は

全て予約投稿してあります。



生き物達の病気

怪我と懸命に向き合っている方へ

何かほんの少しでも

お役に立てるのであれば

それは望外の喜びです。



2023.12.17

7:53a.m.

白は4時過ぎに怪我の治療後お外に行き

黒は先程少し寝て出て行った明るい朝。