先日、米国心臓学会でスタチンが歯周病(歯肉)の炎症を抑

作用があることが紹介されていました。


なんでわざわざスタチンで歯周病を治そうと試みたのか?と

ても怪しい論文に思えたのでいろいろ調べてみると、どうも

脈硬化症とスタチンのいろいろな効果を検証していた論文

ようで、その一つとしてついでにこんな効果もありました的

な内容のようです。


ランダム化、二重盲検法を採用しているので信用はありそう

す。

ITT解析はされておらず、対象者は最終59人と多からず、少

からずといったところでしょうか。


論文は、動脈硬化症の患者さんに高用量のスタチン投与に

て、動脈硬化症改善と並行して歯肉の炎症も改善した、とい

う内した。


考察として、歯周病と動脈硬化症との関連を裏付けるもの

であり、

「一方の炎症に対する治療が、他方の改善につながる事実

た」

と締めくくっています。




さて、この論文をどのようにわれわれ歯科医師が解釈する

正しいといえるのでしょう。


恐らく、1~2年後位に歯科雑誌でどこかのいいかげんな

先生

 「スタチンを高用量服用すると歯周病が治る!」

こんな論文が発表されました、と書くことが予想されるので、

ここでこの論文を検証してみます。


そもそもスタチンとは、コレステロールを降下させる薬で、そ

上 抗炎症作用もあることは以前から知られています。

なので、歯肉の炎症が改善してもなんら不思議なことではあ

ません。


また、歯周炎から血液中の炎症性サイトカインであるIL-1

IL-6,TNF-αが増加するため、歯周炎に限らず慢性炎

でこういったサイトカインの増加が認められる疾患なら、お

らく同じことがいえそうにわたしは思います。


また、炎症改善の有無をPET/CTで判断されているので、

ことは歯周病改善とはあまり関係ないと思われます。


そもそも歯周病は歯槽骨、歯周組織の慢性炎症なわけです

が、

その治癒目標は、炎症が無くなるだけでは不十分なわけで、

症を改善させるだけなら、なにも副作用の可能性のある

スタチを服用しなくても もっと確実で容易な方法はいくら

でもあるわです。


ゆえにこの論文から得られることは、


歯周病を完治させる、もしくは歯周病に罹患していなければ、

の分動脈硬化症のリスクが減少される可能性がある、とい

うことではないでしょうか。




「もう迷わない根分岐部病変」  hyoron

このエビデンスを重視した医療を求めている時代に、いまだ

自分の自慢話のような症例を集めた本があるのには ち

ょっと驚きました。


読んでも得るものは全くありませんでした。




ネットで「歯医者の選び方」という記事が目についたので

わたしなりに、批評してみます。


「良い歯医者を見つけるのは難しい」


確かに難しいと思います。

ただし、それは歯科医師が思う「良い歯医者!」に限定され

ます。

そもそも「良い歯医者」という区別はそれぞれ人によって

  

  かなり違う


のではないでしょうか? 具体的に言えば


優しそうな先生であったり、

お話好きの先生であったり、

なんでも患者さんの言うとおりの治療をする先生であったり、


いつでもすぐに診てくださる歯科医院であったり、

痛くしない治療をする歯科医院だったり、


いかがでしょうか、みなさんいろいろな思い入れがあるはず

ですね。


当然のことですが、歯科医師が求める(つまり自分が治療

してもらうとしたら)良い歯科医とは、


 正確な診断をして、

 それを基に最善をつくす治療を提供できる技術を備え、

 もしくは、そういった医療を心掛ける先生


ということになります。これは「医療」なら歯科に限らずすべて

同じのはずです。


しかしですよ、昨今の歯科医療への多くの方の見方は何故か

上記以外のことに重きを置く人が多いように思います。



何故なんでしょうね??


決して、上記以外のことが大切ではないとは思ってはいない

のですが、良い歯医者を選ぶ基準としては個人的な好み等

の順位は低いと私思うのですがいかがでしょうか。


さて、記事のつづきです。


良い歯医者を見つけにくい理由として、保険制度を挙げてい

すが、これは大きな誤りですね。


今の保険制度が悪いというのは、あくまでも



歯科医師側の言い訳にすぎません!



歯科医療に限らず、医療すべてにいえることですが、やは

り保険医療にはいろいろな制約があるわけで、当然ですが



その制約の中で「ベストを尽くす」



これがあたりまえと思います。ベストを尽くそうとしない歯科

医師の言い訳の一つが、保険制度の非難ですね。




次に目についた箇所は、


「患者想いの腕の良い歯医者」とありますが、「患者想い」

と「腕の良い歯医者」 これは医療すべてにいえると思い

ますが、



患者さんは今現在の病苦解決を強く望んでいる方がほと

んどで、

今現在の解決こそが「患者想い」であったり、「医療技術」で

あると考えやすいようです。


ところが、医師側からすれば、当然今現在の解決は当たり

前なのですが、

れ以上に今後数年~生涯への解決こそが「本当の患者

想い」と考えているわけで(もちろん、良い歯医者なら)、こ

こに大きな溝が現実にはあるわけです。



なので、くれげれも「患者想い」というのは怪しい選び方の

一つです。

この記事も、あくまでも「自分の」気に入った歯科医院という

ことでしょうね。




記事を読み進めましょう。



「ホームページに情報が充分掲載されていること」


これは全く信用できないことは、以前書きました。

逆に、ホームページでいろいろ情報を掲載している歯科

医院には、わたしなら受診しません。



「受付の態度が良い」

これも人によって感じ取り方が異なるので、参考程度で

しょう。



「施設や設備が豪華すぎない」

これは院長の好みや資金が豊富かどうかによります。

わたしの歯科医院はこじんまりしていて、設備は豪華で

はありませんが、人目に付きにくい医療機器機材にはそ

れなりに投資しています。



「室内が清潔」

これは当たり前ですね。

医療機関は見た目がきれいで当たり前です。

それ以上に、滅菌消毒に気を配っているわけで、これ

は患者さんには決してわからない範疇です。

患者さんにアピールするかのような、滅菌風の設備や

機材を揃えている歯科医院も多いですが、


逆にそれは要注意ですね。



「予約すれば待たされない」

これが理想ですが、なかなかそのようには行きませ

ん。

わたしの歯科医院では15分に1人の治療で予約を

しています。

開業当初は30分に1人の予約治療で数年続けまし

たが、予約キャンセルがありますと、ちょっと経営的

に苦しいので、15分に変更しました。

基本的に、予約時間通りにすべての患者さんが来

院され、急な予約の無い患者さんの来院もないよう

なら、待ち時間はほとんど15分以内だと思います。


このように書いてある記事は結構曖昧な点が多い

わけですが


他に目についたのは、



「治療計画書を作成してくれる」

これは大きな誤りです。

もし1~3回来院程度で、口腔内すべての治療計

画が作製されたとすれば、その計画はかなり大雑

把であり、

それは治療もかなり大雑把な治療の可能性が大き

いと思います。


数歯の診断ですら、時間をかけないと診断~治療

方針は立てれないことが多く、しかも治療方針には

「患者さんの希望」も大きく左右されます。


なので、すぐに治療方針を立てる歯科医は要注意

ですね。



きょうはここまで。









やっと秋らしくなり、季節の移り変わりが肌で感じられ

るようになりましたね。

さて、今日は「カンジダ症」のお話です。


そもそもカンジダ症は、カンジダ属の真菌が原因で生じ

る真菌感染症のことをいいます。


もともとカンジダ真菌は、口腔・生殖器・腸管(・たまに皮

膚)にだれもが常在している真菌です。つまりその存在

だけでは決して悪さをしないことは言うまでもありません。



ところがひょんなことから、またはなんらかの原因で免疫

力が低下したりすると異常増殖をして、様々な症状を呈す

ることが知られています。



後頸部、腋窩、乳房下部、臀部、陰部、また手足の指間

などは高温・高湿度で不潔になりやすいのでカンジダ症

の好発部位といわれています。

鱗屑を伴う紅斑はわりと特徴的といえますが、丘疹、小水

疱、膿疱を伴う紅斑などいろんな様相を見せるので、視診

だけでは確定診断することはできません。

好発部位が多湿部位なので、汗などによる原因?おむつ

かぶれ?汗疱?湿疹?など様々な皮膚粘膜症状を呈し

やすいのでカンジダ症との鑑別もちゃんと手順を踏まない

といけないわけです。



では、口腔内のカンジダ症はどうかといえば、全く他部と同

じで視診だけでは全く診断には繋がりません。


もともと高齢者、幼児または糖尿病・自己免疫疾患・悪性

腫瘍、高齢者など免疫機能が低下した方にみられるのは

他部位と同じです。



偽膜性カンジダ症、紅斑性カンジダ症、肥厚性カンジダ症

といった分類がありますが、臨床的には分類はあまり必要

性はありません。


ただ、肥厚性カンジダ症は、真菌が深部に進行していると

いわれていて局所療法は効果が少なく、内服薬による治

療が主体となります。もっともわたしは肥厚性カンジダ症

の症例に出会った経験はないので、頻度は少ないように

思います。



それ以外は、局所療法で十分な効果があります。

主に、ファンキゾンシロップやフロリードゲルを処方するこ

とになるのですが、後者は他薬剤との併用に注意する必

要があります。

後者はチトクロームP4503A4の作用を阻害するので、

この酵素によって代謝される薬剤は、その代謝が阻害

されることによって血中濃度が上昇し、排泄も遅延して

その薬剤の効果が予定以上に身体に反映されてしま

うわけです。


つまり薬が効きすぎてしまう危険があるわけです。


どんな薬が該当するかと言えば、睡眠導入剤、抗精神

病薬、抗不整脈薬、高高脂血症治療薬、降圧薬、片頭

痛治療薬、などいろいろあります。

当然ですが、どの薬剤も効きすぎるのは危険なわけで

お薬手帳や薬剤情報などは受診の際は必ず持参して

いただきたいですね。


以前にも書きましたが、歯の治療にどうして他科の薬

のことを教える必要があるの!と苦情をいわれる患者

さんがたまにお見えになりますが、説明するのにとても

苦労します。



さて本題に戻ります。


われわれ歯科医師が、カンジダ症で最も注意しなくては

いけないのは、口腔粘膜疾患、口唇口角炎などを診て

すぐにステロイド軟膏を処方しては絶対にいけない!と

いうことです。


真菌などの虫は足が速いので、真菌症にステロイドを

塗布してしまうとさらに病変が広がり余計に治りが悪く

なっていまうからです。


ステロイド薬を処方するくらいなら、まず抗ウイルス薬を

処方して、検査結果がでてから、カンジダ症ならその時

点で抗真菌薬を処方しても問題はないといわれています。


勿論、検査機器の無い歯科医院では、当てずっぽうの

処方は厳禁です。



検査機器といってもそんなに高価なものではありません。


鱗屑が認められれば(口角びらんなど)、KOH直接鏡検、

口腔内では塗抹検査によるPAS染色による鏡検、

これらはすぐに診断可能です。


他は培養検査があります。専用の培地とインキュベータ―

が必要で、48時間ほど培養して診断します。


わたしは、培養検査を利用していますが、これで十分だと

思っています。開業医での鏡検は時間の関係で無理と思

います。



以上のことから一般的にいって、口腔周辺の粘膜病変に

視診のみですぐにステロイド剤を処方される先生には、要

注意ということです。




最近めずらしくまとまりのある臨床本を読みましたので

紹介します。


  チェアーサイドの口腔カンジダ症ガイドブック

          デンタルダイヤモンド社


是非一読をおすすめします。


まだまだ暑い日が続いています。

今日は北海道展に行ってきましたが、毎年思うのですが

男性には、そんなにお値打ち感はないような。。。


今日はブラキシズムの話題です。


特に睡眠時ブラキシズムについて考察してみます。


先日高校の同窓会に出席すると、ある女性が今通院中

の歯科医に


歯肉が下がっていて、歯の咬耗も著しいので

睡眠時ブラキシズムが原因と思われますね!


と言われたそうです。


なので、ナイトガードをしましょうと勧められて作っていただ

たそうですが、それを装着して寝るのはとても苦痛で、そ

ことを訴えたところ、


じゃあ、違うタイプのナイトガードをしましょう!


と勧められたそうです。

その歯科医はその女性がいうには、毎年アメリカで数日間

研修を積んでいることを自慢する先生だそうです。

勿論治療はすべてが自費診療で、かなり高額な請求とのこ

とです。



何をアメリカで学んでいらっしゃるのかは私は当然知りません

が、そもそも


睡眠時ブラキシズムの診断は、とても困難!!といわれて

います。


その理由は、簡単で、



その本人が睡眠中にブラキシズムが認められることを

一体誰が確認できるのでしょうか?!


一人暮らしの人は絶対無理ですね(彼、彼女がいっしょに

寝る機会があれば別でしょうが)。


結婚しているなら、無論パートナーということになります。


しかし、一般的に一緒に寝ていてもそれをパートナーが

確認することはなかなか難しいといわれています。

理由は、いつもブラキシズムをしているわけではなく、頻度

は一般的にそう高くは無いことが多いこと。

そして、パトーナーが何夜も寝れないことになり、それで不

仲になっては。。。。。


じゃあ、口腔、歯等の所見から、ブラキシズムが診断出来

るのか?というと



ブラキシズムがあると確かに歯肉退縮、咬耗、歯の動揺増

加などの所見が認められることもあるでしょうが、診断には

至る所見とはいえません。


つまりこの歯科医の診断はちょっとおかしいということです。



さらに



睡眠時ブラキシズムへのナイトガードの効果はもう数年前

からメタアナリシスでまとめられていて効果は認められない

ことが解っています。

唯一歯の咬耗に関しては多少効果の見られたというアウト

カムの評価もありますが、症例数が少なく、ランダム化比較

試験もされていないので、結論としては「?」というエビデン

スです。



なので ナイトガードを治療として使うという診断も大きく間

違っていることになります。



一応この女性にこのことは説明しましたが、






やっぱりね!!



との返事でした。







 更新の間が随分開きました。


 従業員の急病による人手不足がその一つの原因

すが、新たに飼い犬(シェルティ―)が増えてその

話に忙しかったことも一因です。


 今日は感染性心内膜炎Infective Endocarditis (IE)

の考察です。


そもそも感染性心内膜炎という疾患自体が結構おお

ざっぱな症状から疑われる疾患なので、名前はよく

耳にするのでしょうが、われわれ歯科医師にとって

実際に関与することが多いのか、少ないのか未だ良

く解らない疾患ですね。


 発症率は年間10万人当たり 3~6症例位といわれ

ています。同じく、脳腫瘍が5~6症例、細菌性髄膜炎

が1~2症例と言われているので、基幹病院では決し

て珍しい疾患の部類ではないといえそうです。


 それでも一度発症すると死亡率は高くなる場合もあり

歯科治療との関連も昔からうるさく言われているため

ちゃんと理解しておく必要があります。

 しかも数年おきにいろいろな学会で見直しがあるので

混乱のないように情報は得ておく必要もある疾患です。


 この疾患は、心臓の弁膜や心内膜に細菌が感染して

細菌巣である疣贅を形成して、その結果心不全や各血

管の塞栓症(脳梗塞など)を起こす経過をたどります。


 ちなみに、疣贅は「ゆうぜい」と読み、英語ではvegeta

tionと訳されます。


 この疾患はハッキリした特徴的な身体症状がないのが

まあ特徴なわけで、

 いつまでも続く発熱、頭痛、全身倦怠感などの場合に

初めてこの疾患を疑うわけですね。


昔は塞栓症などの合併症が生じて初めて診断に至るこ

とが多かったそうですが、今はちゃんとした診断基準が

あります。勿論IEを疑わないと話になりませんが。


 Dukeks Criteria(デュークス クライテリア)


大基準

 ・ 2個の血液培養でIEに典型的な細菌等に陽性

     血液培養は偽陽性が多いので2セット試行

 ・ エコーで、新たな弁逆流または疣贅の所見


小基準

 ・ 発熱(38°C以上)

 ・ 塞栓、出血などの血管現象

     Janeway発疹など

 ・ 自己免疫現象

     Osler結節、Roth斑、糸球体腎炎

 ・ 微生物所見

     見慣れない菌で血液培養陽性


この基準を基に

 大基準が2つ

 大基準が1つと小基準が3つ

 小基準が4つ

以上のいずれかの場合は、感度100%でIEと診断

されます。


つまり、われわれ開業歯科医が歯科治療の際にIEを

疑うことができるのは、小基準の身体所見の3つだけ

といえるわけです。これは一般内科開業医も同じとい

えます。ただ循環器内科開業医なら心エコーも診るの

で、大基準の一つは考慮できることになります。


なにが言いたいかというと、小基準3つではIEと確定

診断できるわけでないということを知っておく必要が

あることと、もしこのような身体所見が見られた場合

は近隣の開業医ではなく基幹病院に即座に紹介する

ことが必要と思います。


 また、どのような基礎疾患のあるかたがIEを起こし

やすいかを知っておくことは当然として、最近では歯科

治療(抜歯などの外科処置)よりも、歯磨きやフロッシン

グによる菌血症が原因となるリスクの方が数百倍高い

と言われています。


 つまり、IEを起こしやすい基礎疾患の方は、歯肉炎

歯周病、その他の歯性炎症は完治しておく必要が強く

必要とされることと、こういった患者さんこそ1~2月ご

とのフォローが必要と思います。


 わたしの歯科医院においても数名の患者さんがこの

理由で1ヶ月ごとのフォローをされています。

ただ残念ながら、この定期的なフォローを拒否されてい

らっしゃる患者さんもいらっしゃるのも事実です。



 


おすすめ本です。

  

歯科診療で知っておきたい全身疾患の知識と対応

   学建書院


この手の本も最近は多くみられますがどれも内容に

乏しく価格のみが高い。中でもこの本は見事にまとめ

られた素晴らしい本ですね。

おすすめです。


 


顎関節症という名は、最近では良く知られた病気

の一つになりましたが、その詳細および治療法と

なると、未だに各先生方の理解不足(勉強不足)

は甚だしいものがあるように思います。


顎関節症というのは、顎関節や咀嚼筋の様々な

症状(疼痛、圧痛、開口障害など)を呈する慢性疾

患の総括診断名です。


ということは、その原因は多様で、いろいろな原因

が集まって生じた病気と現在は考えられています。



なので、その主原因を検索することが歯科医師の

医療技術となるわけで、それぞれの原因に対する

治療方法は現在では昔に比べるとかなりシステマ

ティックになりました。



にもかかわらず、未だに不可思議な治療をされる

先生もかなり存在することも事実です。

患者さんにしてみれば、どのような治療がエビデン

スに基づいた治療なのかは当然判断できないわけ

で、(どんな治療にもいえますが)患者さんの判断基

準は、




いつ来院しても患者さんが大勢みえる歯科医院の

治療が一番ベストなのでは!



マスコミ・インターネットなどで、宣伝している先生の

治療が最善なのでは?




だいたい、こんな判断基準ではないでしょうか。




わたし達良識ある(?)歯科医師は、この全くの逆の

考えの先生が多いと思います。


その理由は



ベストを尽くそうとした治療は、それがたとえ簡単と思

える虫歯であっても、時間を要することは当然であり、

それを踏まえた予約時間を考慮するため、いつ来院

しても待合室に患者さんが大勢おみえになるという状

態は考えられません。


いつ如何なる時も丁寧な、最善を尽くす治療を心掛け

る先生なら、混み合わないような予約体制をとることは

当然のことです。



都市圏では、保険診療は行わず、自費診療のみを扱

う先生もおみえです。そういった先生は当然上記のこと

を忠実に守った予約をされ、待合室はひっそりとしてい

るはずです。



また、いろんな治療法をインターネットやマスメディアを

通して紹介されてみえる先生もありますが、身体を治す

目的の治療方法に今現在のところそこまで画期的な

方法はありません。

どのような方法にも、為害作用・副作用は必ず付きまと

うわけで、その点もちゃんと説明がある方法こそが最善

治療方法かもしれません。



話を戻しましょう。


顎関節症の主な症状は、関節やその周囲の疼痛・関節

雑音・関節の運動障害です。



そもそもどの関節にも同様の症状が見られるわけですが、

頭部~顔面周囲というのは、ほかの関節と比べて、その

症状がやたらと気になる部位なわけです。



それ故歯科医師はその症状をなんとか緩和してあげるこ

とを当面の目標にして治療にあたるわけです。



顎関節症はその原因・症状からⅠ型~Ⅴ型まで分類され

ています。その詳細はここでは書きませんが、昔から一番

問題となっているのが、この分類すべてにいえることです

が、顎関節症に精神疾患が関わった症例です。



顎関節症が原因で精神疾患を誘発したのか、現在のとこ

ろその真意は不明ですが、いずれにしてもこの場合の治

療はなかなかうまくいかないのが現状です。


さまざまな疾患での入院患者さんでもその30%位は精神

疾患を患っているともいわれているそうですが、顎関節症

の患者さんも同様だと思います(某大学病院ERに精神

医を常駐させる話を先日耳にしました)。

リエゾン治療という用語ができるくらいですから、その治療

はかなり難しく、また歯科医師は精神疾患の治療は介入

出来ないので、ますます難渋しているのが現状です。



いまは、この精神疾患が関与していなければ、顎関節症の

症状はそのまま放置していてもその内必ず症状は自然治

癒しますよ、というのが定説ですが、


あくまで、症状が緩和されるだけであって完治しているわけ

ではない場合もあるので、早期診断・治療は考慮されると

よいと思います。







先日、某大学のインプラント系教授の歯科医師向けの記事

を読んであまりにも無責任な内容なので、ここでちょっと公表

したいと思います。


その一つに、インプラントは非常に予後が良好で、90%は

10年以上脱落はない(数字は大まかに変えてあります)と

述べています。


実際の記事では90%より大きな数値を出されていました。


なるほど数値を見るとすごい成功率なわけですが、問題は

どのようにその統計をとったのかということであって、参考

文献を記載する程度ではその信頼度はかなり低いと想像

されます。



いまの医療はエビデンスメディスンであり(当然その基盤に

はエキスペアリアンスメディスンがあるわけなのですが)、ど

のような数値を掲載するにしてもその根拠はきちんと説明

すべきだと思います。


以前からインプラント生存率に関してはかなり高い評価が

認められているのですが、いずれもこれは日本のデータ

ではありません。


日本以外の先進国では、インプラント適応症はかなりシビ

ア―に選択して行っていて、その上での高い生存率という

ことであって、日本のように患者さんから希望があれば

ほとんどすべての人に行う処置の場合は、実際のところ

かなり低い評価と想像されているのが実情です。



さらに上記のようなすごい数値の成功率を挙げておきながら

読み進めると、インプラント周囲の歯肉炎の発症率は40~

50%位であることをとある文献から提示されています。





諸外国ではインプラント処置後定期的な通院がされない方

はその適応症ではないのが当然であって、定期的にフォロ

ーしていても、歯肉炎等の炎症が高い割合で生じてしまう

という事実は、以下の理由によるわけです。



みなさんにここで理解していただきたいことは、そもそも何を

基準にインプラント成功としているのかがまずおおきな問題

であること。


そして、今現在ではその基準が無いこと!



さらには、インプラントには歯同様に周囲歯肉及び歯槽骨に

炎症が生じることはあるわけなのですが、



われわれ歯科医療では、




それに対しての予防治療手段もなければ、

その治療方法も無い!



ということです。





この先生はインプラント成功の基準は、歯槽骨から脱落しな

ことや、上部構造(冠)が壊れないことを挙げてみえますが、

いったんインプラント周囲の歯槽骨に及ぶ炎症が生じたらそ

を完治させる方法が無い現在では、インプラント成功の基

準があますぎるのではないのでしょうか?



それでも、つぎのような危惧をされていたのは共感がもてまし

た。




高齢化の時代が訪れて、今後高齢者の口腔内にインプラン

が認められることが多くなることが予想されます。高齢化に

伴い、他の疾患とインプラントとの問題、またインプラント周

のトラブルに対する対処の難しさなどを挙げてありました。


ここでも、将来高齢になったときにインプラント周囲にはよけ

いに心配なことがありますよ、という提示だけで、どうしたらよ

いのかまでには至っていないのが現状のようです。



いまのインプラントはどこまでいっても将来のことまではとて

も考えた治療とは言い難いわけです。


まあ、それを踏まえて希望されるとよいとわたしは思います。



追記

執筆された先生の大学を誤解していましたので、訂正しまし

た。日本では最先端を歩む大学の先生ですが、それでも

この内容どまりなのが今のインプラントの現状です。





この2ヶ月間いろいろとありまして、久しぶりの

更新です。


今日は心不全患者さんの歯科治療時注意点

を考察してみます。


一般的にはNYHA分類に基づいた問診で十分

と思いますが、時には既往歴・現病歴・内服薬

情報など正確に言われない患者さんもあります。


ちょっと体調の悪化を思わせる場合は、歯科治

療時に聴診器で診察というわけにはいきません

よね。

そこで、歯科医師でも簡単にチェック出来る身体

所見の一つを紹介します。




心不全というのはそもそも病名ではないので、な

にが原因で心不全をきたしているのかをできれば

知っておくこと(担当医に照会する)が必要なケース

もあります。

それほどの重度ではないにしろ、利尿薬・ACE阻

害薬・ARB・ときにジキタリスなどを内服されている

患者さんが歯科医院に来院されることは決してめ

ずらしいことではありませんね。


数か月前には発作性夜間呼吸困難だった方、


今現在でも、下肢の浮腫が見られる方、


NYHAⅠ~Ⅲ度の方、


以上の方も歯科治療受診される方で、決してめずらし

い部類ではありません。


ちゃんと心不全治療を受けて見える方でも当然のこと

ですが、日によっては歯科治療が難しい状態のことも

あるはずです。

問診だけでは特に高齢者の場合はちょっと不安です。





そんな時には、頸静脈拍動を診るのがよいと思います。



頸静脈拍動(怒張)で、なにが判るのかというと、中心

静脈圧(CVP)がおおよそ判るわけで、CVPの上昇は

すなわち心臓の右心系の増悪を表す一つの指標なわ

けです。


CVPは「心臓内科医の5cm」という言葉で麻酔科で

習ったとおもいますが、その意味は胸骨角と頸静脈

拍動上端の垂直方向の距離に5cmを加えたものが

おおよそのCVPであるといわれている故ですね。


CVPの正常値は8~10cm


つまり、45°位上体を起こすと、5cm位の位置がち

ょうど鎖骨に相当する為、この体位では正常なら外・

内頸静脈拍動(怒張)は確認することはできないこと

になります。


もし確認できたのなら、もう一度患者さんに今の状態

を問診して、今日の歯科治療は中止した方がベター

と思います。




また、仰臥位で頸静脈拍動が確認できた場合は?




これは「心臓内科医の5cm」の定義から考えれば簡

単ですね。もちろん確認できることが正常!


仰臥位で確認出来なければ、それは異常であり、静脈

系の虚脱が原因で、内科担当医に連絡でしょう。往診

の際は確認した方が安心ではないでしょうか。



もちろん、頸静脈拍動のピットホールはあるわけですが、

われわれ歯科医師にはこのくらいで十分なのではないで

しょうか。




この10年で最も進歩した歯科医療というのは、歯周病等

で行う再生治療だと思います。


みなさんはインプラントでは?と思うかもしれませんが、基

本的にはインプラントは20数年以上まえからあまり進歩は

していません。


インプラント治療の為に、歯槽骨の再生治療(GBR)が応用

されたのは大きな進歩ですが、これとてインプラントの進歩

とは無関係といえます。


いづれにしても、歯、歯周組織を完治させる治療技術が最も

難易度が高いわけで、抜歯や外科切除、インプラントといった

技術は難易度はそれほど高くはありません。勿論例外はあり

ますが。



歯周病治療での再生治療が最も進んでいるわけなのですが

それでも完全に元通りになるわけではありません。


保険治療にもその一部が導入されていることを御存じの方は

少ないと思います。保険治療で再生治療を行うと、材料費の

方が治療費より高くなり、大赤字になってしまうので、保険治

療ではちょっと無理ですね、という先生がほとんどのはずです。


どうしてそんな価格設定にしたのかとても疑問なのですが、保

険治療にはこんな矛盾だらけの仕組みがいっぱいあるわけで

す。


だからといって、いいかげんな治療が許されるわけではないの

ですが。。。。



閑話休題



ということで、再生治療はそのすべてが自費治療になるわけ

す。

なにがいいたいかというと、すべてが自費治療となると、完治

が疑わしい場合は抜歯を選択した治療方針となる!というこ

です。

学会等での症例報告も同じで、わたしに言わせれば、なにも

再生治療までしなくても一般的な歯周治療で十分良好な予後

が期待できそうな症例に再生治療を応用していることが多い

ですね。

勿論、効果はあるわけなのですが、一般的な歯周治療が50

%の回復としたら、再生治療では60~70%の回復が見込め

るという程度のものです。



まあ、そのちょっとした差がとても大きいわけなのですが、患者

さんにとってはどうなんでしょう?


すべて自費治療でするからには、50%(例えば)以下の回復し

見込めない歯は抜歯されることが多いと思います。


なら、保険内治療で、たとえ50%以下の回復しか見込めない

であっても、抜歯しないで出来る限り長いこと保存治療で延

命させる治療方針のほうをほとんどの患者さんは選択されると

思います。



ここに今の歯科治療における再生治療の矛盾とわれわれ歯科

師の迷いがあります。



さいきん読んだ本もそれが如実に表れた内容でしたが、一読さ

れるのもよいと思います。



成功する

歯周組織再生治療 -歯を保存するためにー



前回紹介した本の先生も執筆されていますが、他の数名の

先生方の内容はしっかりしていて参考になるはずです。



最近 歯周病治療の一つに抗菌剤による薬物療法

の効果がEBMで確立されつつあります。


勿論、どの歯周病に対しても有効というわけではなく

ちゃんと診断のもとに治療に当たらなければいけな

いのは当然です。


最近読んだ本であまりにも酷い内容だったので、

これを信用して治療にあたる先生が多そうなので

私の感想を書いてみます。


新しいエビデンスに基づく

歯周基本治療のコンセプト



上記の題目の本なのですが、まず最初の1~3章で

歯周病治療の一つの薬物治療そしてFMD(一度に

歯の掃除をする方法)についてのエビデンスの解説

とその治療方法の解説がされています。


そもそもEBMというのは、さまざまな基礎・臨床の信用

のおける証拠に基づいて行う医療のことです。

世界中に医療の論文は一年間で山ほど発表されている

訳なのですが、その中でも信用のおけそうな論文となる

とごく少数といわれています。

なので、われわれ医師・歯科医師がどの論文を信用する

のかは、その先生の判断に委ねられるわけで、おかしい

判断をすれば、当然他の先生から鋭い指摘や叱責があ

るわけで、そうやって医療も進歩していくわけです。


ただ、ここで勘違いしてはいけないのは、今行っている

治療方法で、治療効果が充分認められているのなら、

新しい治療が発表され今までの治療と同等の効果が

認められるエビデンスが発表されても、敢えてその新し

い治療に変更することがEBMではありません。


これは当然のことですね。

今まで行っている治療方法で良好な効果が得られるの

なら、なにも新しい治療方法を選ぶ必要もありません。

新しい方法には未知の副作用も伴うわけですから。



上記の本では、EBMを全く理解されていない先生と思わ

れます。


この本の内容はかなり危険な治療方法が記載されてい

ます。

前回までのアレルギー関連でどのくらい危険な内容かを

私なりに書いてみましょう。



この本では、薬物療法のために、副作用が危惧される薬

剤を投与する場合には、必ず投薬試験を行う、と記載され

ています。

そもそも臨床では、患者さんに薬物投与する場合は、副作

用が危惧されるような薬物投与はしないようにするのが医

療の本質なわけで、そのためにはどのような問診・身体所

見・検査等を考慮したらよいのかを考えるのが医療の本質

なわけです。そしてそのためにここに多くの知識が必要とさ

れる故、医師・歯科医師はいろいろ学ぶ必要があるわけで

す。

ところが、この本ではまず投薬試験を行うと記載されています。


つまり


まず薬を服用してみて副作用がでるか否かを見ましょうとい

うことです。


むちゃくちゃ荒っぽい試験なわけで、


びっくりな内容ですね。



さらには、軽微な副作用には副作用を抑える薬剤で対処

すると記載されています。


薬剤の副作用に対しては、決して薬剤で対処せず原因薬

剤の服用を中止するのが基本であり、症状が軽微なうちに

中止するのが重要だと思います。


しかも薬剤の副作用の多くは歯科医師では治療できない

のですから、むちゃくちゃな治療方針ではないでしょうか?





また、口腔内の消毒清掃に高濃度クロルヘキシジンを用い

る為、消毒薬のアレルギーテストを行い、原則はスクラッチ

テストで行うが、陽性・偽陽性の場合はさらに皮内テストを

行うと記載されています。


もっともらしいような内容に思うかもしれませんが、そもそも

クロルヘキシジンは口腔内粘膜には使用禁忌なわけで、つ

まり絶対に使ってはいけない消毒薬なんですね。

これにはちゃんとしたEBMがあるので、日本では使用禁忌

となっています。

それを承知で使うのなら、アレルギーテストをして使いましょう

ということなのでしょうか?


スクラッチテストは、主に原液で行うのですが、約1000倍に

希釈された濃度の反応といわれていて、感度・特異度ともに

高い検査ではありません。つまりこのテストで陰性結果であっ

ても決して安心とはいえないわけです。

この本では、陽性・偽陽性なら皮内テストをする?と記載され

ているのですが、スクラッチテストで陽性なら、使用不可と判断

するのが本筋のはずで、なんで陽性で皮内テストをするのでし

ょう?


また消毒薬はもともと皮膚・粘膜にそれなりの刺激~為害作用

があるわけなので、皮内テストで陰性結果がでることがあるの

でしょうか?



この著者の本は初めて読みましたが、かなりいいかげんな内容

でした。




最新の歯周外科手術をマスターしよう


   第一出版


内容はちゃんとしていてわかりやすいのですが、最新の歯周外

科の内容はありませんでした。

付属のDVDは最低の出来ですね。

開業医のレベルはもう少し上なので、大学の先生はそのつもりで

本を書いてください。