先日の初診の授乳婦患者さんについてです。
私の歯科医院の問診票は、最下段に 「治療への
ご質問、ご要望がございましたらご記入ください。」
という欄が設けてあります。
その欄に前述の授乳婦の患者さんはこんなコメント
が記載されていました。
治療に際して、授乳に影響のない局所麻酔薬を
使用してください。
「局所麻酔薬」と限定されているので、以前通院して
いた歯科医院でなにか気になったことでもあったの
かもしれません。
ほとんどのコメントに対して、初診時にお答えするの
ですが、妊婦・授乳婦の場合は必ず裏付けとなる
文献等を再確認してから返答するようにしています。
理由はコホート研究から主に得られた薬剤情報な
わけですが、100%の信頼性があるわけでもない
ので、手持ちの文献の再確認をするようにしている
からです。
歯科で使用する局所麻酔薬は、3種類あって、リドカ
イン、プロピトカイン、メビバカインです。
手持ちの文献等には、局所麻酔薬の母乳への移行
性、また乳児への影響については記載がなく、どの
局所麻酔薬を使用しても問題ないという記載のみで
す。
ただ、プロピトカイン製剤に含有されているフェリプレ
シン(血管収縮薬)には、分娩促進作用があるので、
妊娠後期の患者さんにはその使用を控えた方がよ
いといわれています。
一般的にいうと、授乳婦が服用した薬剤は、そのほ
とんどが多少なりとも母乳中に移行することが知られ
ています。
授乳中に服用してはいけない薬は、抗がん剤、免疫
抑制剤などの毒性の強い薬に限られています。
しかしそれ以外のいろいろの薬物に関して100%
安全という立証はされいいないのが実情です。
たとえば、
米国FDAによる薬剤の妊婦(胎児)への危険度基準
A:安全であることが証明済み
B:証明された危険はない
C:危険性がある可能性がある
D:証明された危険がある
X:投与禁忌
上記の基準があるわけですが、抗菌薬や鎮痛薬を例
にとってみても、Aに分類された薬剤は無し。一番安全
でもB評価なのが現状です。
要はコホート研究から得られた情報を基に作製されて
いるので、A評価の薬剤はそうめったに出るとは考えら
れませんね。
まあ、当然薬の安全性はA,B評価だけでは不十分で
妊娠何か月なのか、ほかの基礎疾患の有無は?など
いろいろな条件を考慮する必要があるわけです。
結論として、
授乳婦への局所麻酔薬使用は一般的使用量なら何を
使用しても問題はなく、使用方法も特別考慮する必要
もないということです。