先日の初診の授乳婦患者さんについてです。


 私の歯科医院の問診票は、最下段に 「治療への

 ご質問、ご要望がございましたらご記入ください。」

 という欄が設けてあります。


その欄に前述の授乳婦の患者さんはこんなコメント

が記載されていました。


 治療に際して、授乳に影響のない局所麻酔薬を

 使用してください。



「局所麻酔薬」と限定されているので、以前通院して

いた歯科医院でなにか気になったことでもあったの

かもしれません。

ほとんどのコメントに対して、初診時にお答えするの

ですが、妊婦・授乳婦の場合は必ず裏付けとなる

文献等を再確認してから返答するようにしています。


理由はコホート研究から主に得られた薬剤情報な

わけですが、100%の信頼性があるわけでもない

ので、手持ちの文献の再確認をするようにしている

からです。



歯科で使用する局所麻酔薬は、3種類あって、リドカ

イン、プロピトカイン、メビバカインです。

手持ちの文献等には、局所麻酔薬の母乳への移行

性、また乳児への影響については記載がなく、どの

局所麻酔薬を使用しても問題ないという記載のみで

す。


ただ、プロピトカイン製剤に含有されているフェリプレ

シン(血管収縮薬)には、分娩促進作用があるので、

妊娠後期の患者さんにはその使用を控えた方がよ

いといわれています。



一般的にいうと、授乳婦が服用した薬剤は、そのほ

とんどが多少なりとも母乳中に移行することが知られ

ています。


授乳中に服用してはいけない薬は、抗がん剤、免疫

抑制剤などの毒性の強い薬に限られています。

しかしそれ以外のいろいろの薬物に関して100%

安全という立証はされいいないのが実情です。


たとえば、


米国FDAによる薬剤の妊婦(胎児)への危険度基

A:安全であることが証明済み

B:証明された危険はない

C:危険性がある可能性がある

D:証明された危険がある

X:投与禁忌


上記の基準があるわけですが、抗菌薬や鎮痛薬を例

とってみても、Aに分類された薬剤は無し。一番安全

もB評価なのが現状です。


要はコホート研究から得られた情報を基に作製されて

いるので、A評価の薬剤はそうめったに出るとは考えら

れませんね。


まあ、当然薬の安全性はA,B評価だけでは不十分で

妊娠何か月なのか、ほかの基礎疾患の有無は?など

ろいろな条件を考慮する必要があるわけです。



結論として、

授乳婦への局所麻酔薬使用は一般的使用量なら何を

使用しても問題はなく、使用方法も特別考慮する必要

もないということです。

朝夕随分涼しくなりました。8、9月の水害、土石流による

甚大な被害、さらには御嶽山の噴火による大勢犠牲者が

出るなど最近はちょっと暗い報道が続く中、先日の大型

台風の被害、休む暇なく、もっと大型の台風が接近中との

こと。。。。


そんななか、先日義母が脳出血で緊急入院。

左片麻痺が認められますが、意識障害、視野障害、顔面

麻痺、構音障害も無いので少しだけほっとしました。


息子も研修医の忙しい中、私より早くお見舞いに行くとは

大したものです。


さあ、こんな暗い雰囲気は、勇気と信念とで一掃していきま

しょう!



お勧め本


口腔がん検診 step1・2・3

     医歯薬出版」


実はまだ読んでいる途中ですが、結構ためになります。

良本ですよ。





随分と間が開きました。


今年もおかしな天候続きの夏でしたね


毎年庭の手入れの業者委託料が20万円余りかか

るのですが、今年は雨天が多かったためなのか、

草木ともに成長が著しく、年2回の業者委託では管

理が不十分のようで、私が汗だくになって補っていま

した。


さすがに時間を取られすぎなので、来年に向けても

っと管理のしやすい庭に作り直す予定です。



夏の目標だった、家と庭の改装(準備)の目途も起って

きたので、ぼちぼち再開していきます。



書いた記事が誤操作で消えてしまいましたw

気を取り直して再度書きます。画像の張り方も

その内覚えて挑戦するつもりです。


前回の続きです。


まだまだ切削器具(エアータービン、マイクロモー

ター)の混乱は続いているようです。

そもそも自分がどういった根拠に基づいて治療や

消毒・滅菌をおこなっているかが大切で、その点

が曖昧な先生はちょっとした報道であたふたする

んでしょうね。


わたしの歯科医院では CDC(米国疾病対策セン

ター)のガイドラインを基本としています。


医療ではCDCガイドラインの信用性は高く、勿論

日本の厚生労働省もこのガイドラインを参考にして

いる記述が多くあります。


そのガイドライン一つに

 歯科医療現場における感染防御のためのガイド

 ライン

という項目があります。

これに基づいて、昨今の話題を整理してみます。



ガイドラインでは、医療器具を3段階に分けています。

1)クリティカルな器具

   患者さんの体内に直接挿入されるようなメス、針

   カテーテルなどで、「滅菌」が必要と明記。

2)セミクリティカルな器具

   患者さんの粘膜に接触する内視鏡、気管支鏡

   そして歯科切削器具が相当し、「滅菌」ないしは

   「グルタラールによる高水準消毒」が必要と明記。

3)ノンクリティカルな器具

   皮膚に触れる椅子、スリッパなどで、「洗浄で十分」


さらに歯科切削器具による患者さんへの感染はいまの

ところ認められていないと明記していて、「患者さんごと

の交換」についてはその必要性は全く明記されていませ

ん。


また、前述の機械内部汚染については、その可能性は

認めるものの、使用後に数十秒注水で十分予防可能と

明記しています。


なぜ?だれが?患者さんごとに切削器具交換を推奨

したのでしょう?


勿論切削器具本体に血液が付着した場合は、交換し

「滅菌」する必要があるのは言うまでもありません。


恐らくですが。。。


日本口腔感染症学会という学会があるのですが、この

学会は特に大学の口腔外科の先生がたが多くを占め

る学会で、この学会が結構歯科臨床における場違い

な感染対策を生み出しているのでは?


そもそも外科の治療では観血処置が当たり前であり、

患者さん毎の切削器具交換は当然のこと。


一方、虫歯の治療では、出血を伴うことは、イコール

理想的な虫歯の治療が困難ということなわけで、虫歯

の治療ではいかに出血を抑えるかが大きなキイポイ

ントとなります。

このように治療のスタンスがまったく違う口腔外科の

先生方が考えた歯科治療現場における感染防御の

ガイドラインを一般歯科開業医にあてはめることに

そもそも大きな誤りがあると思います。


前述の日本口腔感染症学会は、CDCガイドラインを

順守し、それに逸脱しないような日本独自のガイドライ

ンを構築していきます、といった文句が書かれています

が、ちょっと勉強不足の感は否めません。


いまの大学はこんな状態であり、とくに口腔外科は病

院内でもっと他の医科とのカンファレンスに参加交流

した方が良いと思います。

いまのこの状態ではとても交流は難しいと思いますが

。。。。


余談ですが、2人の子供が医学部で口腔外科の授業

が数時間あったそうですが、あまりにも他の医科の先

生と比べて授業内容が低レベルで学生の質問すら答

えられない状況だったそうです。

授業内容をわたしが聞いたところ、情けなくなってしま

う内容でした。




私的には、CDCガイドラインを素直に順守すれば十分

と考えています。



その上で、特に考慮しなくてはいけないのが、滅菌出来

ない器具、備品を決して不潔な手(血液の付着したグロ

ーブ)で触れないことが挙げられます。

HBVはどんな環境でも1週間くらいは生き続けるといわ

れ、知らず知らずのうちに汚染域が広がって、それに触

れるとちょっとした手の傷や手荒れから感染することが

あることをCDCガイドラインでは注意しています。


また、器具を滅菌する際には器具に付着した血液等の

汚れをきれいに除去しなくてはいけないことをCDCガイ

ドラインでは明記しています。

歯科の器具は細かく複雑なものが多く、これがかなり

難しいことはどの先生も実感しているいはずです。


それ故高圧蒸気滅菌後、目視でそういった付着物があ

る場合は再度洗浄→滅菌する必要があります。

こういった最終チェックが出来ない「滅菌パック」の使用

はCDCガイドラインを順守するのなら、私は限定的に

すべきだと思います。



病院口腔外科の診察室を拝見すると、いつも思うので

すがこういった感染対策はかなり遅れているように思い

ます。

が故に口腔外科の先生方は上記のような学会で、ちょ

い意味不明な感染対策を模索されてしまうのでしょう。



 

ねころんで読める

CDCガイドライン

  MCメディカル


シリーズ本で1~3まであります。CDCガイドラインは

もちろん英語で書かれているのですべてを読むのは

ちょっと疲れてしまいます。

この本は気軽に読めるので、一般の人にもお勧めです。












   



梅雨の季節ですね。

業務用のエアコンは、強力なんですが、ほどよい(28°C位)

設定環境は苦手なようで、もうすでに汗だくの毎日です。


さて、前回の続きを少し。


マスコミで切削器具の滅菌・使い回し等の報道がされてから、

歯科界では、切削器具の「内部洗浄・消毒の機器」がバカ売

していて、現在2ヶ月待ちだそうです。



「滅菌」ではなくて、「洗浄・消毒」ですよ??!



おかしいですよね~。


これが今の歯科医療界の現実です。


わたしはてっきり滅菌機器がバカ売れすると予想していたの

ですが、またしても「がっかり」させられました。


切削器具の滅菌機器は高圧蒸気滅菌しかないのですが、

「内部洗浄・消毒の機器」に比べて高額なことと、なにより

滅菌では器具乾燥を含めると半日位要するのがネック

(洗浄・なら十数分で終えることが可能)です。



恐らく、この洗浄・消毒機器を使用していることをアピールし

当院は患者さんごとに「切削器具を交換しています!!」

とでもうたうつもりなのでしょう。


一体何の意味があるというのでしょう?


今の歯科医療では、インプラント・矯正・ホワイトニング等

自費診療をその代表として、「見せかけの」「エビデンスに

乏しい」診療が蔓延っています。


そして、医療ならあたりまえの消毒・滅菌概念すら、上記の

有様です。


なかでもごく稀に若手の先生が、ご自分のホームページに

こういった真実を訴えてみえるのを拝見しますが、やはり同

業者か圧力がかかって、しばらくするとその記事は消去

されていことが多い感じがします。


わたしはそれを含めていろんな理由で名前は伏せています

出来る限り事実のみを書いているつもりです。



私の歯科医院での感染対策は、前回書いたように出血させ

治療を心掛けることに主眼を置いています。

勿論、基本的な滅菌には手抜き無しです。



また、マスコミの報道後、わたしの歯科医院では切削器具の

数をもう少し増やすように注文中です。



ここからは歯科医師向けです。


歯牙形成時に歯肉縁上形成を心掛けることは当然ですが

形成器具選択も大切です。


わたしのお勧めは、

  松風ダイヤモンドポイント 201R


このバーは、いろんな理由から歯肉を傷つけにくい設計です。


また歯頸部カリエス処置には

  ジンジバルリトラクター

が重宝するはずです。


義歯・補綴物の調整時には、

  クリーンボックスCV2

が必須です。ほかのいろんな器材も試しましたが、25年位前

から愛用しています。

そのおかげで、床への汚染の心配はかなり減らすことが出来

るようになったと思います。


ちなみに「口腔外バキューム装置」はほとんど役には立ちま

せん。




以上これくらいは安価なものですから、すぐにでも使ってみて

ください。


 



久しぶりに書籍の紹介です。

先日購入したばかりで、これから読む予定。

 

有病高齢者歯科治療のガイドライン (下)

       クインテッセンス出版

救急や病棟で必ず役立つ基本手技

       羊土社

腎障害・透析患者を受け持ったときに困らない

ためのQ&A

       羊土社

こどもの口唇裂・口蓋裂の治療とケア

       MCメディカ出版

あらゆる診療科で役立つ皮膚科の薬

       羊土社

診断にj自信がつく検査値の読み方教えます

       羊土社

Emergency Care バイタルサインの読み方・見せ方

       MCメディカ出版


半年ごとくらいにまとめて購入しています。合計約36,000

円也。

いつもこんな内容の書籍を購入しています。


皮膚科のシリーズ本ですが結構参考になりお勧めです。

その他歯科雑誌数冊ありますが、歯科雑誌は内容も薄く

どれも1~2時間で読み終えてしまうので、ほとんど紹介

するほどではありませんね。

  

先日来 新聞、TV等で歯の切削器具滅菌、及び患者

さんごとに交換しない使い回しによる危険性などに関

する情報が流されています。


何が正しくて、何が正しくないか


私見ですが、開業歯科医の立場から、より正確に正し

く検証してみます。


まず、滅菌と消毒とではその意味合いは大きく異なり

ます。


滅菌がもっとも安全であり、すべての診療器具、備品

を滅菌したいのは当然です。

しかし、いまの医療では滅菌方法は、高圧蒸気滅菌、

EOG滅菌くらいしか術がないのが現状で、どのような

材質にも適応できるわけではありません。


つまり滅菌がどうしても不可能な診療備品、器材が存

在しているわけです。これは歯科のみならず、医科全

般にいえることです。


そのため滅菌できない場合は、「可能な限り」使い捨て

ディスポーザブルなものへと変わってきています。

 


歯の切削器具はどうかと言いますと、


滅菌は可能です!



但し、先日来話題にでている


「患者さんごとに交換する」


この必要性は必ずしも無いとわたしは考えています。




じゃ、どんな時に交換する必要があるかといいますと、


「切削器具に血液が付着した場合」


このケースのみ「交換→滅菌」といった必要があると

思います。

わたしの歯科医院でも概ねこういった流れで、治療して

います。

ただこの機会により厳格な血液付着のチェックをしてゆ

くようにしています。


20年以上前から今の診療体制を整えているわけです

が、当時は歯科界の消毒概念は全く幼稚なもので、ど

ういった消毒体制がベストなのか参考になる資料も皆

無でした。

止むを得ず、医科の資料を参考にして築き上げた体制

なのですが、残念ながら、切削器具も含めて、歯科医

療機器及び器材等の多くが滅菌を考慮して作られて

いない!といった事実に、愕然としながらもベストを尽く

しているのが現状です。



根拠は?


口腔内の感染要素は、主に唾液、血液です。

その中で、唾液からの感染は器具の洗浄と消毒で十分

防ぐことが可能といわれています。


もしそうでないとすれば、外食したときの使い回しの箸、

食器、スプーンなどから感染が広がる可能性があるわけ

です。

勿論、すべて完全というわけではないのは十分承知です

が、それは術前の問診・診察で十分補うことは可能では

ないでしょうか?


問題となるのは血液ですが、肉眼での器具への血液付

着の確認が曖昧になれば、それは感染の危険性が増す

ことになるので、

私の歯科医院では、確認の徹底を今現在は強化中です。


つまり、そういった従業員教育が出来ていない歯科医院

は、すべての場合に交換→滅菌が必要といえます。



また、切削器具の内部汚染について、議論されてみえる

先生もいらっしゃいますが、このブログでも以前書きまし

たが、その根拠となる論文がとても現実離れした設定で

の内部汚染であり、論文の内容がそのまま口腔内に適

用できるとは思えません!


意味の無い論文を引き合いにしていくら議論いたところで

結果は無意味なことは明確です。歯科医の多くが論文は

すべて正しいものと勘違いしているようです。論文の良し

悪しを判断するのは当然読み手の実力が必要ということ。


なのでこの論文(確か15年位前の論文だったと思います)

は、その内容に呆れてしまった記憶があります。




確か新聞では、「切削器具の使い回し」のほかに、「歯科

は院内感染が生じてもその原因が掴みにくい」といった

記述もあったように思います。



そう、最も問題なのはこの点です!!


恐らくこの研究?をされた方は、歯科臨床に携わっていら

っしゃらない方だと思います。



いくら切削器具を滅菌したところで、院内中を汚染区域

のようにしている歯科医院がとても多いのが現状であり、

その対策を講じることが最も重要のはず。


ただ残念ながら、いまの歯科大学病院や歯科医師会に

はその能力に欠けているのが実情です。

まあ、今回の記事の発端もこういった現状の歯科医師

会のアンケートの訳ですから、恥ずかしい限りです。



なんか少し感情的になってきたので、まとめてみます。



1.歯科医療ではすべての器材、器具を滅菌できるわけ

  では無いということ。


2.なので、院内感染を防ぐには、滅菌不可能な機材、器

  具(もちろん床も)への血液付着を出来る限り防止する

  処置が重要。


3.感染源、特に血液へは滅菌で対応すること。


4.以上から、最も重要なことは歯牙切削中に出血を可

  能な限り抑えるような治療を心掛けることです。



このことを念頭にして治療にあたるべきです。

それなのに 多くの歯科医が


1.グローブ装着するようになったのは良い事ですが、

  グローブの使い回しをする。


2.歯牙切削中に出血まみれとなることも珍しくなく、そ

  の為滅菌不可能な機材、部位などに血液が飛散させ

  ている。


3.血液の付着したグローブで滅菌不可能な機材、部位

  など平気で触ることにより、院内全体を汚染区域と

  させている。


まだまだ、細かな点を挙げるときりがないのが現状です。


それ故、私が最も留意していることは、出血を可及的に

少なくする処置を心掛けることです。

これはとても難しい治療技術を要することもありますが、

この事に関して否定する歯科医師は皆無のはずです。



以上の知識を得ても患者さんが各々の歯科医院の

滅菌・消毒が充分であるか否かを判断することは、まず

難しい事だと思います。


そこで、ちょっとしたポイントを列記しましょう。


1.医院内が清潔であること。


2.治療室の「床」がいつもきれいであること。

  治療後に汚れているような歯科医院は失格です。


3.スピットン(口をゆすぐ処)がきれいであること。


4.外科処置の前に、HBV,HCV,TPHAの血液検査

  を行っていること。(HIVは保険適用でないのが問題

  点)




さらに、間違ったポイントというと


1.やたらと滅菌していることをアピールする歯科医院。


前述したとおり、完璧な滅菌・消毒体制はいまのところ

難しいのが現状であり、そのなかで各々の先生が苦慮

しながらより安全な体制を目指しているわけです。

それをいかにも完璧な滅菌・消毒体制のようにアピール

する先生は全く勉強不足この上ないといえます。


2.滅菌パウチをアピールする歯科医院。


滅菌パウチは当然利点・欠点があるわけで、滅菌パウチ

しているから、安全とは言い難いのが現状です。



以上、今回は信用のおける文献も少なく、歯科大学病院

のシステムもとても開業歯科医に応用可能なものが少な

い為、主に私の今までの経験からのまとめになりました。


この機会に、大学でより実用的な滅菌体制の構築を整え

ていただきたいと切に希望しています。











新人職員の研修も順調に進んでいます。

やっとブログを書く余裕も出てきたので、今日は最近の

書籍で「RAと歯周病の関連」についての記事が目につ

いたので思う事を書いてみます。


その主な内容は、歯周病はRAの誘発因子もしくは、増

悪因子の可能性となりうるのか?といったものです。


RA(関節リウマチ)はそもそも膠原病の一つにあげられて

います。

つまりなんらかの自己免疫反応が働いた結果、全身の

結合組織や多臓器に障害が生じるのが膠原病で、その

多くは未だ発症機序、病態、原因等未解明な疾患が多い

のが特徴です。


つまり医師側からすれば、他疾患との関連性などどんな

些細なことでもそれを見逃さないで追及することがRAの

解明さらには治療法に繋がると考えているのは当然です。


ではRAとはどんな疾患かといいますと


慢性的に経過する関節炎を主病変とし、進行すると軟骨

や骨の破壊が起こり、最終的には関節の破壊にまで及ぶ

疾患です。


歯周病も歯槽骨の破壊が進行する疾患で、同じ骨関連疾

患ということで、同じ炎症性サイトカイン、マーカーの変動

見られる故、その関連性が研究されているようです。



歯周病と異なり、RAは未だ信頼性の高い診断方法は無

わけで、アメリカ学会の診断基準は

1.朝のこわばり

2.3ヶ所以上の関節炎

3.手関節炎

4.対称性関節炎

5.リウマトイド結節

6.リウマトイド因子(RF)

7.手関節X線所見の異常

以上の1~7の内、6週間以上持続している症状が4項目

以上当てはまるとRAと診断されます。


つまりRAの診断は身体所見が重要なわけで、

リウマトイド因子(RF)の特異度は低く、抗CCP抗体もRF

よりは特異度は高いのですが、感度は早期RAでは約48

%とあまり高くないので、それほど血液検査は当てにはな

りません。


そして、主症状である関節症状は主に

手関節や手・足の小関節(MCP関節、PIP関節、MTP関

節)に初発することが多く、しかも左右対称に起きることが

多いのが特徴です。


つまり、手の細かな動きがうまく出来なくなるわけで、当然

歯磨きに悪影響が生じることははっきりしています。

なのに、歯科医師側の研究では、RAの患者さんに不良口

清掃は認められないと断じています。

ちょっと不自然さを感じました。


ちなみに手のどの関節が侵されるかは診断には非常に重

で、DIP関節が侵されれば、RAではなくてOA(変形性関

節症)が疑われます。



またRAは関節炎が主症状なのですが、活動性の高い患者

んでは関節外症状が現れます。

慢性的に持続する炎症のため、発熱、全身倦怠感、易疲労

感、食欲不振、リンパ節腫脹などが現れます。

これだけでも口腔清掃が悪化することは十分予測できるよう

思います。

そして、25~30%の方にシェーグレン症候群を合併すると

言われています。


全身症状では、眼(乾燥性角結膜炎など)、皮膚(リウマトイ

結節 25%の患者さんに認められます)、呼吸器、腎臓(

発性アミロイド―シス)、手根管症候群などが現れます。


このような多彩な症状を呈する疾患なわけで、とても歯周病

がその原因の一つとは考えにくいと思うのは私だけでしょう


このような重篤な症状を呈するRAもDMARs(ディーマーズ)

という薬の発見でかなり改善に向かうことが出来るようになり

ました。


DMARsでもMTX(メトトレキサート)はその第一選択薬であ

その効果も高いようです。

ただ、その副作用も多いので、DMARsでまず関節炎の進

を抑えて、症状の改善に伴い副作用の少ない薬に変えて

いくというステップダウンブリッジ方式がスタンダードのようで

す。


かなり前のことですが、RAの70代の患者さんで残根抜歯を

処置したところそのストレスからふらふらになってしばらく動

なかったこと経験しました。

ステロイド内服のため抜歯予定歯でも数年かけてブラッシン

にて炎症は消炎させ、エクストリュージョンさせて削合を繰

り返し、自然脱落寸前まで誘導した状態だったのですが、麻

酔・抜歯という手技へのストレスだけでこういった状態になる

のはちょっと驚いたことを覚えています。

勿論バイタルには大きな問題はなかったのですが、家族の方

に一体どんな治療をしたの!と叱責をうけたのは辛かったで

す。



話がちょっと逸れましたね。


私の経験からいいますと


今まで口腔全体に罹患した歯周病(中等度~高度)の患者さ

は、少なくとも恐らく100人以上は治療しているはずですが、

の中でRAの患者さんはおそらく10人以下のはずです。

このことからも歯周病はRAの悪化因子の一つないしは、RA

関節外症状の一つと考えるのが自然ではないでしょうか?


来月4月から、医科・歯科の保険医療が少し変わります。

これは毎年厚生労働省が行っていることなのですが、

今回の歯科関連の変更点にはちょっと患者さんには不利

な医療内容が含まれているので、ちょっと苦言。


そもそも医療は当然いろんな意味で進歩しているわけで、

それはより確実な予後が期待できる医療であることが大

前提のはずです。


今回歯科医療で保険導入されたCAD/CAM冠というのは、

コンピューター解析ソフトを用いて、機械でプラスチック塊を

削合することによって、歯への白い冠を製作する技術のこ

とです。


そもそも機械は同じ規格で同じものを製作するのは非常に

精巧に出来上がるわけですが、オーダーメイドともいえるそ

れぞれの人に合わせる精巧さは到底人の成せる技術には

遠く及びません。


つまり、今は歯の型を採り、それを基に「歯科技工士」が

その「人の技」でオーダーメイドの冠を製作しているわけで、

その精度は数ミクロン単位まであると思います。



ところが、CAD/CAMシステムは数年前までは、ミリ単位の

精度ととても口腔内では使用できない精度でした。


最近はどうもその精度は向上してきたとメーカーサイドでは説

明していますが、それでも到底歯科技工士の技術には足元に

も及ばないのが現状です。



では、このような現状技術が どうして保険導入されたのでし

ょう?

しかも製作費用は「歯科技工士」によるものより3倍近くも高

額です。

はっきり申し上げて、CAD/CAM冠を口腔内に入れることは、

ちょっと危険でしょう。


唯一のメリットとしては、「プラスチックの白い歯」になることが

挙げられますが、現状でも「歯科技工士」が製作するプラスチ

ックの白い歯は限定的ですが保険でも認められていますので、

なにもわざわざ高くて、精度の悪いCAD/CAM冠を選択する必

要はないと思います。



はっきりいって、




CAD/CAM冠導入を推し進め

歯科大学の歯科医師は、患者

さんのことをどのように考えてい

るのでしょう!




歯科医療の将来を本気で考え

ているのでしょうか?





みなさんも、くれげれもCAD/CAM冠を推奨する歯科医院は

避けられたほうが良い選択だとわたしは思います。

副腎皮質ステロイドホルモン(プレドニゾロン)を長期内服の必要な疾患は

いくつかあります。

そういった患者さんの歯科治療時における「注意事項」はいくつか挙げられ

てはいるものの、どれも具体性に欠けていて歯科医師のみなさんも苦慮す

ることも少なくないのではないのでしょうか。


よく主治医にコンサルトしてステロイドカバーの有無を相談する等、などが

記載されているのですが、私たち開業医では現実的な方法とはいえませ

んね。

実際ステロイド長期内服者ほど緊急を要する処置も多く、病院内の歯科

なら上記は当てはまると思いますが、私たち開業医はとても難渋すること

も少なくありません。


そもそもこのような患者さんへの治療指針すら具体的に提示できていない

ことからも今の歯科界のレベル低下が危惧されます。


先日ある学会誌に東邦大学医学部医療センター麻酔科のステロイドカバー

のマニュアルが掲載されていました。


それによると、抜歯処置では通常ステロイドカバーは行わないことになって

います。

歯科の大まかな指針では「目安として1時間以上の抜歯等手術を要する場

合」はステロイドカバーを行うような記載が多いように思います。

そもそもこの指針の多くは口腔外科医がまとめたものが多くて、1時間以上

の口腔内手術にもいろいろあるわけで、口腔外科医だけではなくて、歯科

全体での統一見解を早くにまとめていただきたいものです。


医科でもそうだと思いますが、そもそも外科の先生は考え方がかなり大雑

把なことが多くて(一般的に体育会系と言われることが多い)、理論・治療

指針などはやはり内科系の先生のほうが数段すぐれていることが多いよう

に思います。

口腔外科の先生ばかりにまかせるものだから、すぐれた指針がなかなか

できないのではないのでしょうか?




有病高齢者 歯科治療のガイドライン


麻酔科の先生が執筆されているようで、いままで読んだなかではうまく

まとまっています。

内容は、看護師レベルで、ちょっと不満はありますが、臨床では十分

使えると思います。良書だとわたしは思います。

4月からの新人研修のためなかなかブログを書く時間がとれません。

いろいろ書きたいことはあるのですが、歯科医療向上の活性剤に少しでもなれるように書いてい

くつもりです。



先日、米国医師会雑誌JAMAに、「慢性歯周病と糖尿病」に関する論文が出されていました。


どんな内容か要約してみますと、



慢性歯周病の治療を外科治療を行わないで進めた場合、2型導尿病の患者さんでHbA1Cがどの程度の改善が見られるのかを検証した臨牀試験です。



対症患者さんは514人と十分な人数であり、ランダム化も図られたしっかりした試験です。



歯周病治療の非外科治療は、どんな内容かというと、クロルヘキシジン洗口とルートプレーニング・スケーリングです。

クロルヘキシジンは日本では口腔内には使用禁忌となっていますが、アメリカでは一般的に使用

されています。


ルートプレーニングというのは、歯周病で歯根に付着した歯石や、感染歯質を除去する手技のことで、後述しますがかなり難易度の高い手技の一つです。

スケーリングというのは、歯石等の汚れを除去する手技で、歯科衛生士が出来る治療の一つです。


6か月後に治療群と対照群(非治療群)とのHbA1C値の変化、及びBop,Gngival-index

そしてHOMA2スコアを調べたそうです。

Bop,Gingival-indexはともに歯肉炎症の指標の一つで、HOMA2というのはインスリン抵抗性の指標の一つで、私が学んだのはHOMA-Rでしたが、近年はHOMA2という指標に深化しています。


で、どうなったかというと


6か月経過してもお互いの群になんの有意な差も認められなかったそうです。

したがって、このままこの試験を続けても意味のないと判断されて中止となったという論文でした



結論としては、歯周病治療のうち非外科的治療では糖尿病患者のHbA1C値を改善する期待は出来ないとしています。



これは、当然の結果だと私は思います。

一体何のためにこのような試験をしたのか残念ながら読み取れませんでした。

歯周病がどのような理由で糖尿病の増悪因子と考えられているのか、またルートプレーニング等の非外科処置で歯周病がどの程度改善できるのかを考慮すれば、この試験結果は当然でしょう。




最近読んだ中で、

 歯周基本初期治療で治る!歯周基本治療で治す!

といった題目の本がありました。


つまり、スケーリングとルートプレーニングのみで、歯周外科治療をしないで歯周病を治すといった

内容です。


上記の論文を引用すれば、ちょっとあぶない治療の可能性を秘めていることはすぐにお判りいただけると思います。


専門的な意見として、問題点を挙げてみると、


そもそもルートプレーニングは、根面の歯石、感染歯質を除去して根面を滑沢にする手技で、軟組織における感染のせめぎ合いとなる感染組織層のデブリートメントはしないのが原則です。

ゆえに、仮にルートプレーニングが理想的に行えたとしても、歯周組織の治癒はかなりゆっくりした治癒形態をとることが予想されるのではないのでしょうか。

しかし、この先生の治療方針は、一般的な歯周外科と同じくらいのペースで治療をすすめているようで、

最終補綴はやはり永久固定を多用されているように見受けられました。



そもそも、ルートプレーニングの確固たる適応症を表記できていないこと自体が、治療方針、目標

を曖昧にしているように思います。



そんなことも無視した大前提で治療をすすめるのはいかがなものでしょうか?

この先生は、一応歯周病専門医らしいですが。。。


当然、治療後の評価は再現性に乏しく、本に記するには程遠い内容でした。



ルートプレーニングの定義自体もかなり曖昧で、この先生の意味するルートプレーニングはとても

可能とは思えない術式で、しかもその治療を歯科衛生士に委ねているありさまです。

ルートプレーニングという用語を「歯周掻把術とルートプレーニング」に置き換えていただくだけで、

かなり正当化されると思うのですが、歯周掻把術は歯科衛生士が行ってはいけない術式なので

あえてルートプレーニングと表記されてみえるのかもしれませんね。


それにしても、一度上記の論文を吟味していただきたいものです。




昨年末に6~7万円程度、本のまとめ買いをしました。年に3回ほどこういった本購入をするのですが、なかなか良本は見当たりませんね。


 



口腔・咽頭疾患、歯牙関連疾患を診る

    中山書店


ENTの先生が書かれた本ですが、歯科の先生より詳しいのはちょっと悔しいですね。

良本です。