顎関節症という名は、最近では良く知られた病気
の一つになりましたが、その詳細および治療法と
なると、未だに各先生方の理解不足(勉強不足)
は甚だしいものがあるように思います。
顎関節症というのは、顎関節や咀嚼筋の様々な
症状(疼痛、圧痛、開口障害など)を呈する慢性疾
患の総括診断名です。
ということは、その原因は多様で、いろいろな原因
が集まって生じた病気と現在は考えられています。
なので、その主原因を検索することが歯科医師の
医療技術となるわけで、それぞれの原因に対する
治療方法は現在では昔に比べるとかなりシステマ
ティックになりました。
にもかかわらず、未だに不可思議な治療をされる
先生もかなり存在することも事実です。
患者さんにしてみれば、どのような治療がエビデン
スに基づいた治療なのかは当然判断できないわけ
で、(どんな治療にもいえますが)患者さんの判断基
準は、
いつ来院しても患者さんが大勢みえる歯科医院の
治療が一番ベストなのでは!
マスコミ・インターネットなどで、宣伝している先生の
治療が最善なのでは?
だいたい、こんな判断基準ではないでしょうか。
わたし達良識ある(?)歯科医師は、この全くの逆の
考えの先生が多いと思います。
その理由は
ベストを尽くそうとした治療は、それがたとえ簡単と思
える虫歯であっても、時間を要することは当然であり、
それを踏まえた予約時間を考慮するため、いつ来院
しても待合室に患者さんが大勢おみえになるという状
態は考えられません。
いつ如何なる時も丁寧な、最善を尽くす治療を心掛け
る先生なら、混み合わないような予約体制をとることは
当然のことです。
都市圏では、保険診療は行わず、自費診療のみを扱
う先生もおみえです。そういった先生は当然上記のこと
を忠実に守った予約をされ、待合室はひっそりとしてい
るはずです。
また、いろんな治療法をインターネットやマスメディアを
通して紹介されてみえる先生もありますが、身体を治す
目的の治療方法に今現在のところそこまで画期的な
方法はありません。
どのような方法にも、為害作用・副作用は必ず付きまと
うわけで、その点もちゃんと説明がある方法こそが最善
な治療方法かもしれません。
話を戻しましょう。
顎関節症の主な症状は、関節やその周囲の疼痛・関節
雑音・関節の運動障害です。
そもそもどの関節にも同様の症状が見られるわけですが、
頭部~顔面周囲というのは、ほかの関節と比べて、その
症状がやたらと気になる部位なわけです。
それ故歯科医師はその症状をなんとか緩和してあげるこ
とを当面の目標にして治療にあたるわけです。
顎関節症はその原因・症状からⅠ型~Ⅴ型まで分類され
ています。その詳細はここでは書きませんが、昔から一番
問題となっているのが、この分類すべてにいえることです
が、顎関節症に精神疾患が関わった症例です。
顎関節症が原因で精神疾患を誘発したのか、現在のとこ
ろその真意は不明ですが、いずれにしてもこの場合の治
療はなかなかうまくいかないのが現状です。
さまざまな疾患での入院患者さんでもその30%位は精神
疾患を患っているともいわれているそうですが、顎関節症
の患者さんも同様だと思います(某大学病院ERに精神科
医を常駐させる話を先日耳にしました)。
リエゾン治療という用語ができるくらいですから、その治療
はかなり難しく、また歯科医師は精神疾患の治療は介入
出来ないので、ますます難渋しているのが現状です。
いまは、この精神疾患が関与していなければ、顎関節症の
症状はそのまま放置していてもその内必ず症状は自然治
癒しますよ、というのが定説ですが、
あくまで、症状が緩和されるだけであって完治しているわけ
ではない場合もあるので、早期診断・治療は考慮されると
よいと思います。