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【受講生募集9/9】スピッカートへの手引き
横線がブレる悩み
なぜ60分で文字は変わるのか
私は長年、ヴァイオリン奏法を身体の使い方から研究し、演奏家や学習者の指導を続けてきました。
その経験の中で確信していることがあります。
身体の使い方が変われば、表現は変わる。
それはヴァイオリンだけではありません。
書道でも、まったく同じことが起こります。
「字が変わりました。」
そう言うと、多くの方は、「たくさん書く練習をしたのですね」と思われます。
ところが、この生徒さんが行った文字練習は、たった48文字。「いろはにほへと」を一度書いただけです。
この方は長年、横線がまっすぐに引けないことに悩んでいらっしゃいました。
人は、「真っすぐ書こう」と理解していても、その通りには身体は動きません。
それは、長年積み重ねた身体の使い方が運動の癖として定着しているからです。
そこで今回は、平安町かなの手本を用いた小筆の文字トレーニングを行い、身体の使い方と手の動きの関係を見直していきました。
目的は、字の形を覚えることではありません。
身体が無理なく働ける状態をつくり、思った通りに手が動く運動パターンを育てることです。
すると、身体の使い方が変わり、それに伴って手の動きが変わり、線の質も変わっていきます。
写真をご覧いただくと、横線の質がまるで別人のように変わっていることがお分かりいただけると思います。
「田」の安定感、「真」の重心、「子」の線の流れ、「様」の木へんなど、わずか60分とは思えない変化が見られました。
この生徒さんはヴァイオリニストでもあります。
私は文字を見た瞬間に、「演奏にもきっと良い変化が現れるだろう」と感じました。
なぜなら、ヴァイオリンの弓をまっすぐ動かすことも、美しい音色を生み出すことも、文字を安定して書くことも、根底には同じ身体の使い方があるからです。
私は、ヴァイオリンと書道を別々のものとして考えていません。
どちらも、「身体を育てることで表現を育てる」という、共通の原理の上に成り立っています。
だから私は、文字を教えているというより、「美しく表現できる身体」を育てているのかもしれません。
今回掲載した写真は、60分という短時間で見られた変化の一例です。
しかし、ご本人にとっては、大きな一歩でした。
ぜひ写真をもう一度ご覧ください。
皆さんは、この二枚を見比べて、どこが一番変わったと感じられるでしょうか。
私は、形が整ったこと以上に、文字そのものに宿る「落ち着き」と「安心感」が大きく変わったように感じています。
筆跡は、身体の使い方を映す鏡です。
そして私は、その身体づくりを、ヴァイオリンでも書道でも探究し続けています。
私はヴァイオリン奏法、書道、そして身体運用を、それぞれ別の技術ではなく「身体から表現を育てる一つの学び」として研究・指導しています。









