[9]
私の日課のひとつは、ユウキの西向きの窓の側の、机の上から庭を監視すること。
庭を見ていると、時々にゃんこが通り過ぎていく。
私は、机の上から
「ニャニャニャニャニャー!!!」
と、威嚇するけれど、相手には届かない。
それから、
「どこかの人間の家を紹介しようか?」
って、声を掛けるけれど、いつも無視される。

親切な人の家で生活することが一番だと、私は思うのだけど、
外猫さんは、そう考えていないみたい。
「ご飯も水も有るし、寒い冬で無ければ、星空の下で眠るのも良い」
なんて聞いたら、外へ出たい気持ちがウズウズしてきた。

お外、年に何回かは脱走しているの。
おばあちゃんの所へ来る、ヘルパーさんや訪問看護師さんが帰った後、
玄関のドアが開いていたり、押すだけで開くことがあるの。
そうしたら、もちろん!お外の探検と散歩に行くの。
車がひっきりなしに通る道路は越えないけど、
大きな道路の内側ばかりをのんびり、3時間くらい歩いてから家に帰るの。

家に帰ると、冬で無い限り、大抵はおばあちゃんの部屋の窓が開けられているから、
そこから帰るの。窓が開いて無くても、窓にはデッキが有って、
そこの下で待っているの。そうしたら、ユウキが窓を開けて私を抱っこしてくれる。
散歩の時間、最初は楽しいけれど、帰り道は寂しいの。
食べものは食べてはいけないと、ユウキやお母さんから強く言われているから、
お腹がぺこぺこになるし、喉も渇いてくる。
家に帰ると、ホッとする。

いつだったか、ユウキが寝込んだことがあった。
その時は、ユウキの肝臓にウィルスが入って熱を出していたから、
ユウキが暖かくて、ずっとくっついて寝ていた。
あの頃はユウキがずっと(1か月くらい)家に居て、私のご飯と水だけ出してくれた。
トイレのお世話まではユウキが出来なくて、お母さんがしてくれた。
ユウキのことが心配だったけど、それよりもユウキが居てくれたこと、
それが何よりも嬉しかった。

ユウキはベッドに横になりながら、私の頭や背中を撫でてくれて、
喉元をくすぐってくれた。
その時には必ず、
「ティア、綺麗だよ。」
「ティア、可愛いね。」
「ティア、良い子だね。」
「ティア、お利口さん」
って、言ってくれるから、私も嬉しくて、ゴロゴロしちゃうの。
嬉しいよね。
大好きな人から嬉しいことを言われて、嬉しくないにゃんこはいないよ。
私は、人間が大好きだから。喜ぶのは、家族限定だよ。当然でしょう。