エリザベス1世とジェームズ1世の宮廷に仕えていたアイリッシュ・ハープ奏者、コーマック・マクダーモット Cormack MacDermott (d.1618) は同時代の舞曲を作曲していた。
カロランはヴィヴァルディのコンチェルトを演奏し、カロランの没後活躍していたエクリン・オカハンはケンブリッジのオーケストラでコンチェルトを演奏していた。
16世紀から17世紀にかけて金属弦アイリッシュ・ハープはアイルランドだけではなく、英国の宮廷やドイツ(プレトリウスの『シンタグマ・ムジクム』)、デンマークの宮廷(クリスチャン4世に仕えたダービー・スコット)、スペイン(17世紀初頭の『伯爵の逃亡』によって亡命したアイリッシュ・ハープ奏者たち)で演奏されていた。
そこで演奏されていたのは、はたしてアイルランド音楽だっただろうか?
私はそうだとは思わない。おそらく同時代の音楽が演奏されていたに違いない。
したがって、金属弦アイリッシュ・ハープのレパートリーをアイルランド、スコットランドの曲に限定する必要はないように思われる。
むしろ、16-17世紀の音楽を金属弦ハープでどのように演奏すべきなのかということについて考えてみたい。