【形式】

リトルネッロ付きの[A]-[B]二部形式。

[A]および[B]の前後に挿入され、リフレインされる「うぉうお アー」はリトルネッロ的な役割を持つ。

 

【リトルネッロ部】

 

セカンダリドミナントの連鎖でV7に導かれる。「早く家に帰りたい」というはやる気持ちを、主和音 I=homeを志向するドミナントモーションにより表現していると解釈ができる。それを踏まえると VからIへの解決を避けてVIに進行する偽終止は「家に帰れない」という状況を音楽的に表現したものとして捉えられる。

 

【A】

 

曲全体を通して唯一三回繰り返されるセクション。「いいからはよ帰して」と延々と訴え続けるテキストがこの上で歌われる。

I IV V の3つの和音に7thが付加されるブルーススタイルだが、12小節ブルースの形式でいうところの最初の2小節のみが延々と繰り返される。この「展開しないコード進行」により、主人公の苛立ちが強調される。

 

【B】

ここで初めて主和音 C=home が登場する。そして "home"を恋しく思う気持ちが切実に歌われる。この表現は天才的。セクションの最後では「さぁ帰るぞ」とばかりに IV-Vのカデンツが鳴り響くが 、偽終止により帰してもらえない(笑)

 

【雑感】

 

このブログでも度々強調しているように、歌詞の内容に和声を関連づける技法はポールの得意技なんだけれど

If I Fellの例のように、実はジョンの方が、荒削りながらこの技法を作品に取り入れたのは早かったというのには驚いた。