映画「新少林寺/SHAOLIN(2011)」 | 助六ノ映画鑑賞残日録

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「新少林寺/SHAOLIN」 2011年 香港・中国 原題:新少林寺 131分 (監督)ベニー・チャン (出演)アディ・ラウ、ニコラス・ツェー、ファン・ビンビン、ウー・ジン、ジャッキー・チェン

 

 

あらすじ)

1900年代初頭の中国では幾つもの軍閥が覇権争いをしていた。冷酷無比な将軍の侯杰は、 陥落させた城の所有を廻って、義兄弟の契りを結んだ将軍の暗殺を企む。しかし腹心の部下が裏切り、侯杰は満身創痍で少林寺に逃げ込むのだったが・・・。

 

 

感想)

主人公の侯杰は、不殺生な少林寺であっても、堂々と馬で侵入し、銃をぶっ放す不埒者の将軍である。

 

また、自己顕示欲が強く、部下には非常に厳しいが、キレ者で先見の明を持った男でもあった。

 

その侯杰が部下の裏切りで逃亡を余儀なくされ、愛娘を死なせてしまったことから坊主になって少林寺に出家する。

 

 

武術に秀でている兄弟子や少年僧侶、ジャッキー・チェンが演じる厨房係の男達との交流や修行で侯杰は変わっていく。

 

謀略、策略で自己利益しか考えなかった冷徹な男が仏道によって驚きの変貌を遂げる様に心が少しを洗われた(気がする)。

 

侯杰を裏切ったニコラス・ツェエーが演じる曹蛮は、戦勝で得た城から発掘した宝品を英国に売る代わりに強力な武器を購入して戦争に備えている。

 

侯杰の生存を知った曹蛮は、軍隊を率いて少林寺を急襲するが、英国軍も加わって、聖域が凄惨な戦場と化す様子が、徹底的に描かれる。

 

曹蛮に、以前の自分の姿を垣間見た侯杰は、「自分のようになるな、まだ間に合う」と戒めるが、若いが故に曹蛮は聴く耳を全く持たない。

 

曹蛮が蛮行を顧みる為には、余りにも代償が大き過ぎた。少林寺の大崩壊、仲間達の壮絶な散り様は涙なくして観れない。

 

 

そして、在りし日の少林寺や修行の場面を背景に流れるエンディング曲の歌詞が本当に物語の本質を突いて、深く心に染みる。

 

「空を悟れば心は解き放たれる。真理を知れば新たな世界が開く。因果の行く末に思いを巡らせても生死の瞬間は誰にも分からない。憎しみを捨て無我を得よう。怨みを捨て喜びを得よう。欲にまみれて悪に手を染めた時、悔い改めればいつか救われる・・・」

 

また、侯杰の妻を演じたファン・ビンビンは、本作でも美しかった。

 

★★★★★(満点:★5つ)