
多筆といえばいいのだろうか?
講演を打てば超満員。テレビ、雑誌と様々なメディアに登場し、その上、これだけの著作を書き続けている脳科学者 茂木健一郎先生。
「笑う脳」(アスキー新書 2009年8月10日刊)もまた、最新の茂木先生の著作だ。
‥‥
笑いの研究は、比較的古くからある。
人間の笑いとは何か? 地球上の生物の中で、僅かに確認される「笑い」という行為。特に人間のコミュニケーションになくてはならない「笑い」とは何か?
本著は、こんな本質的な課題に踏み込んで、脳の機能との関連性で書き込まれている。多筆だからといって、どの著作も真剣勝負をしているところが茂木先生の凄いところなのですね。
最近の茂木先生の文体は、箴言に満ちている。
短い言葉の中に、本質を衝く言葉‥箴言。私はこういう文体が大好きなのです。
例えば‥
仲間たちの緊張と不安を和らげてあげるためのサイン、
それが「笑い」の起源なのだ。
笑いにはメタ認知と社会的知性が欠かせない。
実際は僕達自身の日常に、「笑いの基礎体力」を育む土壌が
急速に失われているように思えてならない。
笑いは、生きる覚悟でもある。
これだけ抜書きしても、何だか分りにくいのですが、箴言的文体の奥に、脳科学と人間の心の問題を解きほぐしていこうとする挑戦が感じられて楽しいのですね。
悲劇を喜劇に転換させて、人々に憩いと安心と活力を創造させる機能‥これは、落語を評価した言葉ですが、現代のお笑いブームと呼ばれている社会的状況の中で、実は、本質的には人々は笑いを求めているに過ぎず、本当に笑っている人が少ないと見たほうがいいのかな‥とも思います。
腹を抱えて笑う時代なのではなく、
照れ笑いの多い時代なのかもしれませんね。
まぁ、何でもいいから、取り敢えず笑っちゃいましょう!