桂歌若さん著「一話3分 落語ネタ入門」の軽快さ | 考える道具を考える

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考える道具を考える-桂歌若笑点の司会で有名な桂歌丸さんのお弟子さん桂歌若さんが纏めた「一話3分 落語ネタ入門」(朝日新聞出版 2009年5月30日刊)は、文字通り落語のネタを題材にした落語入門書としてとても面白い。

古典落語80話を上席、中席、下席の全三部に分け、一つのテーマについてきっちり新書版3頁を使って解説している。実に几帳面な本なのです。内容は落語ネタのあらすじと読み方指南が書かれているといえばいいでしょうか。

全80話の中には、一般的な作品も多く取り上げられていて親しみやすい。古典落語と言えば主に江戸時代から近代初期までの庶民の暮らしを題材にした噺が多いのですが、本著の優れたところは、古典と言われる時代の中での庶民の暮らしと現代の暮らしを結びつけて、比較文化的な視点で書いているところです。

桜の花見見物やお酒の噺。人間の知ったかぶりの可笑しさ。丁稚奉公や江戸時代の働き方などの描写は、落語入門書でありながら時代の暮らしから見た人間の本質に迫った「物語」の充実ぶりが読み取れます。

とはいえ落語ネタと書いてはありますが、落語の台本の解説ではありません。そもそも落語に台本やシナリオなど存在しないのです。あくまでもネタという言い方での落語の聞き方入門と考えればいいでしょう。

それにしても、立川談春、志らく、桂歌若と、落語家さんの文章は、どうしてこうも上手なんでしょうね?
私の予測では、落語家という商売は、常に噺の「オチ(落ち)」を考えている人達だから、「落ち着いて」読めるということでしょうか?(おあとがよろしいようで‥)