立川談志vs石原慎太郎 そのぶっ飛び対談を楽しんだ | 考える道具を考える

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東京MXテレビ。立川談志師匠と石原慎太郎都知事の特別対談が先日放映されていた。
これだけ濃い対談も久々でしたね。

この対談は、都知事が様々な文化、芸術、学術などの専門家を呼んで対談するシリーズの一環なのでしょう。養老猛司先生との対談も面白かったし、先日は、元航空自衛隊幕僚の偉い人も登場していた。

談志さんの落語についてもっぱら語られていたこの対談では、二人の対話がかみ合うこともなく、個性の強い二人が、各々、自分の話をつづけるというスタイルで話が進んでいった。天才は他人の話を聞いていないのだとつくづく思ったが、それでも対話が成り立つところが凄い。

で、一つ興味深い言葉が談志さんからあった。

有名な「芝浜」という談志さん十八番の古典について触れたくだりで、談志さんはこんなことを言った。

 ‥だいたい俺は、人情噺は嫌いなんだよね。
  だから芝浜も、最近では変わってきてさ‥
  酒乱の魚屋のご亭主と女房の噺。

 ‥(噺の筋は‥)酒で働かない亭主がある時河岸に行く途中の芝の浜辺で大金を拾ってくる。
  貧乏だった夫婦は大喜びしたが、亭主が寝て起きたら大金はなくなっている。
  女房は夢を見ただけだよと話す。大金を手に入れたら亭主はもっと働かなくならから嘘をついた。

 ‥亭主は、酒を止めて一生懸命働いた。三年目に女房が告白する。夢だったというのは嘘だったと。
  しかし亭主のことを思って行った女房のこの行為に亭主は納得し女房を許す。だから乾杯しようと女房が言うと、亭主は一言。「また夢になるといけねぇ‥‥」

 これが噺の落ち。人情噺の名作について、談志さんは、さらに付け加えて言ったのです。

 ‥最近ね、この話をしようとしたら、何だか場面の向こうからこんな声が聞こえたんだよ。
  この女房がさ、「談志さん、いつまでこんな話やってんの?」ってね‥。

 つまり、古典落語の傑作に、今、現代のシーンが入り込んでしまうというお話しだ。これが、実は天才談志さんが、次に実験しようとする革命なのかもしれないと‥そう思ったのでした。

 えっ? わかんない?
 それは失礼しました。