精神医学の世界で活躍する和田秀樹先生は、実に多くの著作を出版されている。
その中で、私が時々読み返しているのが、「数字で考えれば仕事がうまくいく」(日本経済新聞社 2004年8月初版刊)という一冊の本だ。
問題の所在を正しく把握し、どのように解決するかを考える時。あるいは、多くの人の前で話をしなければならない時。あるいは、どうしても相手を説得したいと思っている時。私達は、「数字」を上手に使うことで効果を上げることができる‥という内容の本なのですね。
漠然と売上が上がらない‥と考えているのではなく、その原因を探るのに「数字」で考えてみるというヒントが満載されています。
例えば、売上高を高めるために、私達は通常、まずは顧客数を増加させるように狙いを定めます。10人の顧客より、100人の顧客のほうが、売上高に貢献する確率は高くなります。しかし、一定程度の顧客数に達すると、今度は売上高が減少に転ずることがあります。顧客数がただ多くなれば単純に売上が上がるというわけではないのですね。
その理由は簡単で、少ないお客様に対するときに保有できるケアの時間が、顧客数が多くなればなるほど少なくなり、ある意味、ぞんざいな対応になってしまい顧客離れを起すということですね。ある事業やプロジェクトを考案するときは、適正な顧客数と適正な売上を予測し、それを目標にすることが大切だといわれる理由は、こんな数字から読み取れるというわけです。
そして、本著では、数字でものを考える時とても大切なのが「知的体力」だと和田先生は指摘しています。
知的体力は三つの力で構成されています。一つは「知性」、二つは「体力」、三つが「精神力」。
知性とは、発想力と柔軟な思考力、それにビジネスの多様な知識
体力とは、肉体的な体力のほかに、経済力も含まれる
精神力とは、失敗にへこたれない挑戦意欲の持続力
これらを総合したものが、知的体力だというわけですね。
但し、数字で考えるという本著の中で、唯一数値化できないものが、この知的体力で、この「力」は、自分の中で「心の力」として意識するしか方法がないのかも知れません。
何があっても頑張れる!
そういう気概、タフさこそ、知的体力の源泉なのかもしれませんね。