落語に登場する人々。馬鹿馬鹿しい話に隠された「人生の裏表」を考える! | 考える道具を考える

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私達が見る人間の生き様には、
皆、裏と表があって‥‥。
どちらに視点を当てるかで、ものの見方や考え方は凄く変わる。

立川談春さんのエッセイ「赤めだか」では、
談志さんのもとに前座修行に入った談春さんの物語が綴られているが、
その中で興味深い談志(イエモト)さんの言葉があった。

例えば、忠臣蔵。この主人公は四十七士。
忠義を重んじて主君の仇を討つ物語で有名だが、
実際に浅野家の家臣は300人前後はいたらしい。
つまり、47人は仇討ちに参加したが、250人程度の家臣はどこかに逃げちゃったということ。

   落語の世界は、この逃げちゃった家臣に焦点を当てる

というお話。


そういえば、1967年に映画公開されたダスティン・ホフマンの出世作「卒業」。
サイモンとガーファンクルの奇麗な歌声でも有名になった作品だった。
物語の最後に、恋人エレンを教会の結婚式場から奪ってしまうシーンが、当時の男の生き様をよく現していて、共感性が高かった。
(ホフマン演じる主人公は、キャサリン・ロス演じる恋人の母親とオイタしたのに、最後は目的を達成するために強硬手段をとるわけだけど、観客はこの行為を喝采し安堵したのでしたね)

現代的な勝利の方程式。この映画には、自分が悪いことしても、本来の目的に立ち返り、恋人を奪い取るほうが偉いみたいな空気があったが、ここでも、結婚式場から自分のフィアンセを奪われてしまった「哀れむべき男」にフォーカスしてみると、このドラマはまったく違ったものになるわけですね。

まぁ、落語は、この花嫁を奪われてしまった男の側に立って見るということでしょう。

とかく世間は、善悪をつけたがる。
でも、ものの道理には、裏もあれば表もある‥という当り前のことが案外気づかない。
話の面白さ、不可解さ、馬鹿馬鹿しさ‥落語の世界から学ぶものは、プレゼンテーションの極意と人生の裏表ですね。