「物語編集力」(松岡正剛 イシス編集学校構成)の構成力を考える | 考える道具を考える

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物語編集力知の巨人 松岡正剛さん‥‥工作舎から編集工学研究所への変遷を、一人の読者として歩んできた私は、2000年に松岡さんがweb上の学校「ISIS(イシス)編集学校」を開いたことは知っていた。

今年になって、この伝説の学校の成果の一部が一冊の書籍に纏められた。
活動内容の一部が、外部に初めて公開されたわけだ。
それはほんの少しだけ扉が開かれたに過ぎない内容だと思うが、強い関心を持っていた私は、扉が微かに開かれたことだけでも大きな感動を受けた。

「物語編集力」(ダイヤモンド社2008年2月刊)。
イシスという言葉は、本著によれば、「古代エジプト伝説やオリエント神話に有名な、再生を象徴する女神イシスのこと」としている。この言葉に象徴されるように、イシス編集学校は「情報を編集する方法を学習する学校」ということになります。

カリキュラムは、守破離と名づけられた三つのコースに分かれていて、編集力を学習するための基礎・応用・発展の3段階が用意されている。そして、編集を稽古する方法のコアが「物語」を編集することであるわけですね。

物語を再生する、あるいは創造するというプロセスを通じて、編集のスキルを学習しつつ、最終的には編集力そのものを体得していくことが目標となっているようです。お題拝借からスタートし、生徒が創造し、師範代から指南を受けるという方法で進められていくようです。


本著は、物語を構成する5大要素(ワールドモデル、キャラクター、シーン、ストーリー、ナレーター)に分け、学衆の優秀な作品を紹介している。物語のそれぞれを読んでいるだけでも楽しい一冊だが、同時にそれは、意図された編集の力が生み出す成果のエビデンスを見ることにも繋がるようになっているのがミソだ。松岡さんは本著の序でこんな風に言っています。

    ‥‥本来の物語はそこに登場するキャラクターが変容するからおもしろいのです。
       また、一人ずつのアイデンティティの保守が重要なのではなくて、
       相互の登場人物の関係こそがおもしろいのです。

さて、私もまた、自分のイメージの中にある「物語」を再生する稽古を続けていくことにしましょう!

身近にある現象を「物語化」することで見えてくる何か‥‥それは確かに実存する何かだと思えますからね。