
肌で色を感じる‥‥。
今では何気なく使うこうした感覚用語は、野村順一先生の色彩学の恩恵によるものだと、私は考えている。
‥‥私達がふだん見ている色彩は、
目で見えているだけでなく、皮膚でも見ている。
皮膚には光センサーがあるのだ‥。
‥‥色は言語を超えたサインである。
‥‥カラー・コミュニケーションとは、
個々の色のシグナルやメッセージを伝え、
人間心理に固有の感情を引き起こす作用である。
野村順一先生の「色の秘密」(文春文庫 2005年初版刊)は、色彩が私達の心の動きにどのような影響を与えているかを分かりやすく解明した科学書であります。色の好みで相性を占ったりする研究はたくさんありますが、ある意味、ほとんどが野村先生の科学的解明を原型にしているといえなくもないでしょう。
例えば、暖色系の部屋にいると、時間が長く感じられ、寒色系の部屋では時間は短く感じられる。皮膚感覚なのですね。ファストフードの店では、さっさと食べてさっさと帰ってほしいので、逆転の発想で暖色系の色彩で覆う。吉野家もマックも何気なく暖色系‥。こんな情報が満載で楽しい一冊です。
ご興味のある方は是非ご一読を!
そして、野村先生は本著の最後にこんな締めくくりをしています。(引用が長くて恐縮ですが‥)
‥‥種としてのヒトの萌芽期、当初人間の唯一の器官は感じることだけで、
それは熱い、冷たいといった程度の差のみを知るものであった。
やがて第二の器官「目」ができ、第一の感覚である触覚は皮膚を通して
神経系全体に広がっていった。
‥‥地球が固まるにつれて人間は二つの生理的な目(目と皮膚)を発達させて、
固体の世界を見るために使うようになったのである。
ところが人間は「見る」ことに慣れるにしたがって、
「見えないもの」に対する感覚を鈍らせてしまった。
‥‥私達が見ている世界は狭い。
見えない広大な光の世界は、いま開かれたばかりなのだ。
色で感じる。
この感性を大切にしたい‥‥。