東京大学教授の市川伸一先生が1997年に出版した「考えることの科学 推論の認知心理学への招待」(中公新書刊)を改めて熟読しています。
本著は人間が知らず知らずに行っている思考のパターンの中で、特に着目しなければならない「推論」について分析的に記述した名著です。
‥‥私達がものを考えるというときに、
あることがらを前提として何らかの結論を得ること、
すなわち「推論」が重要な働きをしている。
という問題意識に基づいて、論理的推論、確率的推論を展開している専門書です。
‥‥夕焼けを見て、明日は晴れそうだ
と思うのはまさに経験的推論だというのですね。(気象学的には実証されているかもしれませんが)
これはあくまでも推論であって、事実かどうかは明日になってみなければ分かりません。
あるいは、
‥‥ある国に旅行して親切にされたので、
その国の人は皆親切だと思う。
これも推論なのだという指摘ですね。
私達は、毎日様々な経験をします。その体験を通じて得た「結論」は、次の行動のための「推論」を生んでいくというわけです。またある国に旅行をして、ひったくりにあったので、その国はとても物騒な国だと決め付けてしまうのも、推論の領域な分けです。
こうして、私達は、あらゆる思考の中心に、推論を立てて判断をし、結論づけていく。
こうした思考のプロセスを本著は科学的に解明しています。
とはいえ私は、この推論こそが、人間の知恵でもあると確信しています。
但し、知恵となるには、
推論を検証して初めて本来の「推論」としての意味があるのであって、
検証のない推論は、決め付け、思い込みに過ぎないということも忘れてはならないでしょう。
思い込みは、知恵とは言わないからです‥。
きっと‥。