現在上映中の弁護士ものドラマ「フィクサー」を観た。
今年のゴールデン・グローブ賞主要4部門にノミネートされた作品だ。
ジョージ・クルーニィ演ずる裏弁護士の苦悩を描いたこの作品は、
映画『ボーン・アイデンティティ』シリーズの脚本家トニー・ギルロイが
初めてメガホンをとった初監督作品だということで楽しみにしていた。
オリジナル脚本もギルロイ自身の手によるものという。
物語は、巨大法律事務所を舞台にして、
クライアントの企業利益を守る使命を担っている弁護士たちの、
様々な立場の「利益を守る」考え方のぶつかり合いが渦巻く世界が、
リアリティ溢れる描写で展開されている。
「フィクサー」とは、訴訟問題の「掃除屋」の役割を担ったものの呼称。
クルーニィが演ずるマイケル・クレイトンは、その訴訟の裏側で
争いを「かたずける」役割を担当する。
そんな中、薬物集団訴訟という大きな問題が発生し、それに関わった
マイケルの同僚弁護士アーサーがクライアントを裏切る行動に出る‥。
ストーリィは、見てからのお楽しみとして
地味だが完成度の高い作品の一つだといえるでしょうね。
ところで、私は、トニー・ギルロイの脚本による「ボーン‥」シリーズ三部作を観て、
この脚本家の取材力とリアリティ性に注目していました。
映像のリアリティ性の表現が、映像の中にだけ存在するのではなく、
まさに、自分が歩いている街の中と一体化している感覚‥‥。
その映像は、一人の人物の仕事と生活と人間関係を、
様々な視点から描くことに成功しています。
スクリーンの向こう側にある「虚構の世界」と
観ている側の「現実の世界」をクロスオーバーさせる錯覚を、
この作品は体験させてくれたように思えます。
特に、クルーニィの表情が実にいい。
悲しさと喜びと‥‥複雑な結末に見せる彼の表情‥‥。
人間の喜怒哀楽は、頂点に達した時には、無表情に近くなる‥‥のか?