大阪、高槻市にある「生命誌研究所」。この研究所が発行している「季刊 生命誌56号」は、音楽・ゲノム・発生は生まれる場‥という特集を組んでいる。
その巻頭対談のゲストに、作曲家の藤枝守さんが招かれて、中村桂子研究所長との対談が掲載されているが、とても興味深い内容でした。
その一部をご紹介すると‥‥
藤枝 古代の音律はピタゴラスの数比論のように音を比率で聴きわける
人間の能力から生まれ、世界中に広がり多様化したのです。
中村 なるほど、音律も普遍から生まれた多様さでできている世界なのですね
科学は今、肉眼で見えないミクロの世界を見ていますが
聴こえない音の世界を聴くこともなさつているとか
藤枝 今、刻々と変わる植物の葉の微細な響きに基づく表現を試みているんです
作曲とは聴く能力を鍛えること
音の響き合いによって、生きているもの同士が感覚を開き
お互いが関わり合えるような音楽を聴く場を作りたいのです。
長い引用で恐縮でしたが、作曲家藤枝さんの「人間を含めた生き物たちは、地球の音をじっと聴きながら、長い時間をともに生きてきたのだということを実感している」という言葉に共感しました。
写真は対談の様子を転載させていただいたものですが、お二人の真ん中に置いてあるものが、モノコードという楽器です。
言葉と同じように、音楽も、聴くことによって音を制度化しながら、音楽という喜びを獲得していった‥‥モノコードというシンプルな楽器から、「多様な音楽」が生まれるのだそうです。
‥‥言葉もまた、シンプルな表現にこそ、その多様性が創造されると、思ってしまいました。