この作品は、20世紀のシュルレアリストの代表的な画家・彫刻家の一人、
マックス・エルンストが描いた「雨上がりのヨーロッパ」(1940の作品)です。
どう見てもヨーロッパの美しい森の風景ではありませんね。
エルンストの代表作品には、この「石のように固まった」自然、都市などが、
たくさん描かれています。
私は幻想絵画が好きですが、
画家の感性が、どのような経路を辿って、
対象物を幻想的な作品に創造していくのか‥‥
そこが関心の的なのですね。
幻想絵画というジャンルは明らかに対象の具象性から得た感覚を、
画家の内部で一度沈殿させて、再構成したものと見えるからですね。
つまり、画家は、森をどのように「解釈」するのか?
その表現が異質なものの表出に繋がる時、
その指先から見えてくるものの不思議な感覚に、
共感するのですね。
この作品が何故、「雨上がりのあと」のヨーロッパなの?
普通は、雨上がりの街や森は、澄んでいて、その光がまぶしいはずなのに‥ですね。
20世紀の芸術は、対象を人間の意識下に潜んでいる
邪悪なもの、破壊的なもの、陰湿なもの、不機嫌なものの存在を白日の下にさらけ出す運動でもあったのかもしれませんね。
人間のあるべき姿を象徴する「生き方」の規範に対する抵抗。
しかし、その先にあるのは、石のように固まった世界でしかないのかもしれないという警鐘。
この作品は、既に石が溶け出してしまったような現代の日本の森を、
如実に表しているのかもしれないと、そう解釈してみると、
ちょっと怖いですね。
私達は、美しい自然を、そのままの姿で受け入れることはできないのでしょうか?
