
京都大学の東山紘久先生は、その著書「プロカウンセラーの聞く技術」(創元社刊 2000年9月初版)の中で、カウンセラーとしての「きく」技術を様々に紹介しています。
その中で質問について触れている「質問は二種類ある」という項から質問と回答との関連について引用してみます。
東山先生は質問とは二種類あるとして、
●一つは客観的なことで誰が質問しても誰が答えても変わらないもの。
●もう一つはきかれた本人が考えなければ答えが出ない類の内容。
と分けています。
東京タワーは何処ですか? という質問は前者で、誰が応えても場所を知っていれば答えは一緒ですが、これからどう生きていったらいいのか? という質問は、簡単に答えを出すことができないものですね。
‥‥
この項の中で東山先生は、昔話を引用して質問と回答との関係を示しています。そのお話とはこんな内容です。
‥‥‥ある旅人がその土地の古老に「次の村までどれくらいかかりますか」とたずねました。すると古老は黙ったままさっさと行くように手で示しました。道をたずねた人はなんと不親切な人だろうと思って、少し腹を立てて歩き始めました。そうするとその老人は「その足では○○くらいかるだろう」と応えたのです。‥‥‥
この昔話は、他人の質問への答え方の見本を示していると東山先生は指摘しています。答えられない質問にも、我々はすぐに答えようとしてしまう。何かを聞かれると答えなければならないと直感的に反応してしまうのですが、答えられない質問、正答がいくつもある質問こそ大切な質問だと強調しています。
答えられない質問には答えないで「相手の心を聞くことがきき方のコツの一つ」なのだと締めくくっています。
全ての質問には、それぞれの表情がある。質問するという行為の背景にある、相手の言葉に踏み込んで考えるということが、大切なのでしょうね? 質問の言葉に反応して、自分が解釈している言葉のイメージで回答しようとすることではなく、自分ではこう思うが‥というのが正しい回答になるということを、覚えておきたいと思いますね。
で、‥‥何か質問は?