ルイス・ガートナー「巨象は踊る」からサービスサイエンスまで | 考える道具を考える

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IBM
 2006年に出版されたIBMの企業戦略を著す著書が「IBMお客様の成功に全力を尽くす経営」だ。

 サブタイトルは、ガースナー改革からパルミサーノ改革へ。

 伝統を重んじて身動きがとれなくなっていた世界のIBMに、初めて外部から招聘されたガースナーさんの改革は、世界を驚かせた。多角化によって様々な分野に進出していた当時のIBMに対して「本業に徹すること」を主眼に、大規模なリストラを実施してIBMを蘇らせたことは記憶に新しいところですね。

 そして今、IBMは、「サービスを科学する」ことに挑戦している。これがパルミサーノ改革の本髄らしいのです。そのキーワードはイノベーション。

 思えば顧客志向を強める企業の戦略的視点は、製造からサービスへ。サービス品質競争の時代に入っていることは間違いありませんね。

 しかし、科学的な分析を伴った企業経営のノウハウは、そのほとんどが生産現場からの発想によって成り立っています。サービスそのものを、科学的知識によって活かすという発想は、やっと2000年以降になって初めて芽生えた考え方だったわけですね。

 その意味で、IBMの先進的な取組には興味が尽きません。大歳さん、北城さんという日本IBMを担っている方々も執筆していますが、その点でも参考になる著作です。

 ‥‥

 ところで、こうしたイノベーションに突き進むIBMですが、その人材の登用には独自のものがある、と北城さんの講演会で聞いたことがあります。

 それは、トップに着任して最初にやる仕事が、「自分の後を任せる人材を指名すること」なのだそうです。着任早々、自分がトップを退任した後には、誰をトップにしたいのか‥その人を指名するのだそうです。

 このシステムは、企業戦略の要である人材に着目した極めて合理的で、かつ情緒的でもあるシステムだと感心したことを憶えています。

 私が今組織を担う担当者として、果たしてこうしたことができているのか‥‥、もう一度、しっかりと考えていかなければならないと思いましたね。