現実が「超現実」に置き換わる時 自然破壊・温暖化・地球の危機と人間の意識の先見性 | 考える道具を考える

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大家族
 横浜美術館で「シュールレアリスムと美術」展が開催されている。(12月9日まで)

 右の写真は、この展来会のポスターに採用されているルネ・マグリッドの「大家族」。超有名な作品なのでご存知の方も多いでしょうね。

 シュールレアリスムとは、この美術館の狙いに、こうあります。

 ‥‥シュルレアリスム(超現実主義)は、1920年前後にフランス文学からはじまった芸術・文化運動です。それは美術や思想、社会の様々な領域へとひろがり、今日のわたしたちのものの見方や感じ方に強い影響を及ぼしています。‥‥

 アンドレ・ブルトンのシュールレアリスムという書籍を読んで理解したことは、この超現実へのチャレンジャーたちは、第一次世界大戦と第二次世界大戦の間の僅かな時代に、登場し消滅した運動体の中で「超」の概念を地球に落としたということでした。

 マグリッドのこの作品を見ていると、荒れ狂う直前の海と空。今にも閃光が遠く波間に轟き落ちそうな気配の空に、青空を纏った鳥がはばたくという、超現実のイマジネーションの不思議さが描かれています。

 青空と暗雲に覆われた暗黒の空との対比。そこにあるはずのないモノが、微妙なバランスの崩れの中に見えてくる人間の不安感‥‥。シュールレアリストたちの営為は、実は現代の地球で、現実に発生している異常の日常化を暗示させていたようでもあります。

 ‥‥思えば、真夏に枯れ始める山林。冬に咲き始める桜。北極から消え去る氷河‥‥。乾燥して砂漠化する台地の隣で発生する豪雨等の自然の激変は、人間のイメージの中から発生しているといえる?

 今、世界で起こっている異常な現実は、実は、1920年代のシュールレアリストたちのイマジネーションの中で起きた「意外性の表現」を、正しく体現しているようでもあります。

 横浜美術館のロビーに立って、私は、シュールのリアル化の浸透に寒さを覚えたのでした。