
webで長い時間、フリー画像を眺めていたからか、その夜、私はこんな夢を見た。
……
梶井基次郎にかぶれていた若いころの私は、京都に一人旅するのが好きだった。
特に、写真の詩仙堂は、庭園の美しさとともに、庵のネーミングに魅了されて、幾度か訪ねることがあった。しかし、不思議な思い出が付き纏っているのも覚えていた。
当時の私は、「憂鬱」を絵に描いたような、鬱屈とした青年であった。自分でいうのも何だが、長身で痩身の美少年が、そのまま大人になりかかっているような色白の青年で、いつも俯いて歩いていた。(想像できないという声が聞こえるが…まあ、いい)
詩仙堂への小道を歩いていく途中、私は何度も後ろを振り返った。誰かが後を付けているように感じたからだ。詩仙の間に入って、畳の部屋に胡坐をかき、庭園をぼんやりと眺めている時、私の隣に不自然に接近して座ってきた人物がいた。
「近すぎる?」 そう感じた私は、その人物の顔を見た。
「一人ですか?」 中年の男は、私に聞いてきた。
「見ればわかるでしょ?」 私はぶっきらぼうに答えた。
「ここ、いいですよね?」 中年は会話を続けようとしていた。
「何か用ですか?」 私は詰問するように聞いた。「一緒に居ていいですか?」
この人は病んでいるな…瞬間的に私は見抜いた。「一人旅なんです。構わないでくれませんか?」
次の瞬間、その中年は、突然、庭園に躍り出た。そして純白の玉じゃりの上に座り込み、切腹したように見えた。そして、庭には、深紅のさつきが咲き乱れたのでした。
……夢から醒めて、私は、詩仙堂に、もう一度行ってみようと思ったのでした。