「思考の整理学」 外山滋比古先生を再読する | 考える道具を考える

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 外山滋比古先生の「思考の整理学」(ちくま文庫 初版1986年4月発行 現在第34刷 2007年5月15日発行)は、「考える」ことのヒントか満載された永遠の名著です。

 この5月に34回目の増刷が行われた。厳密に言うと、1983年8月28日に筑摩書房より「ちくまセミナー」として刊行されたものの文庫化が初版だから、実質的には25年近く昔の著作となりますね。

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 この著作が何故すごいのか…。外山先生は、人間の思考についての普遍的な指摘をしているからですね。つまり、

 「思考や知識の整理というと、重要なものを残し、そうでないものを、廃棄する量的処理のことを想像しがちである。…中略…本当の整理はそういうものではない。第一次的思考をより高い抽象性へ高める質的変化である。いくらたくさんの知識や思考、着想をもっていても、それだけでは、第二次思考へ昇華するということはない。量が質の肩代わりをすることは困難である。」

 ここでいう第一次的思考とは、新聞などのニュースなどを含む一次情報のことで、第二次的思考といのは、一次情報を整理し、他の情報と関連づけ二次情報化することをいうようです。

 私たちの日常的な着想やアッハ体験や思いつきは、ある意味「一次情報(思考)」であり、この着想を発酵させ、熟成させることによって思考の高度化が行われるという考え方ですね。

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 こうした指摘は、外山先生オリジナルの考え方ではありませんが、すで25年前に、人間の脳の活かし方をベースとして考え方を思考しているところが、この著作の凄いところなのですね。そして、思考の整理学とは、着想の熟成過程についての技法について学習することだと考えると、今読んでみても、新鮮な驚きにあふれている作品だといえます。

 ご一読をお薦めします。