カンブリア宮殿に登場した安定成長する書店「ジュンク堂」の世界 | 考える道具を考える

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 作家 村上龍さんと タレント小池栄子さんが司会をつとめる「カンブリア宮殿」に、ジュンク堂書店社長工藤恭孝さんと、カリスマ店員呼ばれる田口久美さんが登場した。

 社員の個性で売りまくれ! と題する今回のテーマで、工藤社長は、売れない本を書棚に置くことが、リピータを創造する最大の戦略だ‥と語っているように見えた。ご本人は、いたってノンシャランとしている(かのように見える)代表者で、いわば、仕入れも社員任せという徹底した放任主義が功を奏していると説明する。

 ところで、このお二人が共に強調していたアマゾンの驚異。売上シェアでは、全書籍の10%に過ぎない書籍のネット通販とはいえ、やはり、リアルな書店経営者にとっては驚異なのでしょう。今後も、急速に進展していくことは間違いなさそうですね。

 しかし、書物の魅力は、それを「どう購入するか?」ではなく、「どう自分のものにするか?」であり、ある意味、自分の世界を形作る一つの重要な表現なので、購入のスタイルが多様化したとしても、書物に対する関心そのものが変わることはないだろうと思っています。

 また、誰が読むのか分からないような専門書を棚に何年も置いておくという方針は、「書店に立ち寄る楽しみ」を十分に満足させてくれる考え方だと思いますね。

 都内の少し大きな書店に立ち寄っても、例えば「詩歌」のコーナーに行っても、ほとんど個人詩集が充実している書店はなく、詩集はほとんどネットで買うことになってしまうという現実。また、売れないからといって、専門書はどんどん後退していき、あるのは、雑誌、漫画、一部の小説などに集約してしまう中小書店の現実。

 こうした流れは確実に進んでいて、一般的な書店の存在意義は薄れているのも事実です。

 散歩の途中で立ち寄る書店の楽しみ‥‥それが失われた書物の世界は、ネットにかなうはずはないとも思いますね。

 ジュンク堂工藤社長の話を聞いていて、ふと、ある本を買いたいと思っていたことを思い出して、テレビを見ているその場でアマゾンにアクセスし、3冊ほど注文してしまいました‥‥。これって皮肉な現実なのかもしれません。