世代の背景にあるもの 採用面接の対話から感じる印象とは? | 考える道具を考える

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 仕事で採用面接をする機会が多い。

 3月から4月にかけて随分多くの方々と対面した。採用のための面接で私が密かに持っている「判断基準」は、清潔感、気配り、健康の三つですね。

 この一年間で、団塊の世代の大量退職と少子化社会を反映して、いつの間にか「人手不足」になっているのに驚きです。そして、私の仕事でも、多くの人材が必要なので、面接をする機会が多いのです。

 面接の場面で「人を一瞬に評価しなければならない」場面が連続します。一回の対話は30分程度。その対話の中で、その人となりを判断するのは至難の業です。

 そこで、自分なりの評価基準を持つことが大事になってくるわけですね。

 第一印象の「清潔感」はとても重要です。勿論、服装や話し方、態度などの全てに感じる清潔感とは、自己意識の精一杯の表現だと思うのです。自分を「どう見せたい」のか? その意識が端的に現れるのが、清潔感の評価軸です。

 第二に「気配り」ですね。周囲に気を配れるかどうかは、一緒に仕事をやる場合の人間関係の間のとり方の重要なポイントです。面接に来た方には、私は何気なくミーティングテーブルに坐って待つようにお願いします。そのテーブルは、わずか6人が坐れる程度の大きさなのですが、着席するまでの僅かな時間の中の、人の態度を見て「気配り」を評価します。

 私が着席するまで、坐らずに起立している人。わざわざ端の席に坐る人。いきなりふんぞり返る人。様々です。しかし、今日の面接に招待してくれたことに対する感謝の気持ちをまずは伝えようとする人はほとんどいません。採用面接という人生の大きな分岐点に立つことができた機会創出に対して、素直に感謝する気持ちを表現できる人がいないのは驚きです。

 そして最後が「健康」です。肉体的な健康と同時に心の健康度を観察します。私は、面接会場になる私のオフィスまでたどり着くのに問題はなかったか? そんな問いかけをします。まるで雑談のように‥。
 その答えがまた様々です。面接に行くのに、どんな建物の会社なのか? 面接官はどんな人物なのか? 期待できる収入が得られる仕事なのか? 多くは、いろいろな不安を持って会場にやってきます。

 しかし、心の余裕のある人は、もしかするとそこに勤めるかもしれない「街」にも関心を持っています。一度は訪れたことのある文化施設や公園や居酒屋さんなどがあることを話してくれる人はまれです。

 「この街には、よくいらっしゃいますか?」
 「はぁ、よくわかりませんね‥」と言って、そのまま終わる人がほとんどです。事前の下調べもなく、何気なくやってくる人は、自分だけのことに関心を持ちすぎて、周囲にまで目が届きません。心の健康とは、自分を客観視できるかどうかの重要なファクターなのです。

 ‥‥‥

 そして、私は、面接をする立場で、私自身も見られていることを強く意識します。だから、私自身が、まず清潔でありたい、気配りの利く対話をしたい、健康であることをアピールしたいと思って対話に臨みます。

 僅か5分か10分で、私はその人の生活の背景を見ようとします。そして話しをして直ぐに、何故かその人の生まれてから現在までの人生の流れが見えてしまうことが良くあります。履歴書の文字の筆跡、写真の貼り方、プロフィールの書き方などなどがあって、そして対話をするからでしょうが‥。

 採用するかどうか、最後の判断は、その人の人生の流れの中で、今回の仕事との出会いが幸福になると予感するかどうかで決定します。直感ですね。

 そして、その判断は、多くは間違っていないと信じています。しかし、多くの才能との出会いを失っているかも知れないという思いは、いつもあります。