マーケティングの世界では、モノゴトを見る視点として、「鷹の眼・蟻の眼」という言い方をする場合がある。
一つの事象を俯瞰的に見る視点を「鷹の眼」といい、全体性、動向、大きなトレンドの流れなどの解釈に活用しようというものだと理解している。この視点では、人々の個別の行動パターンを見ることで、集団としての人間行動を理解しようとする視点だといえますね。
一方、「蟻の眼」とは、まさに地べたを這いながら、ディテールに対応する視点を指す場合が多い。現場を知らずしてマーケティングは語れない‥などという場合に求められるのが、この蟻の眼で見る視点なのでしょう。生活者のニーズやウォンツが、どのような行動に現れているかを知る視点と言い換えてもいいかもしれませんね。
そして、この二つの視点でモノゴトを見るという習慣が、マーケティング活動の基本的な姿勢、問題認識の態度、あるいは考え方のツールであるということなのですね。
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しかし、現代の消費者行動を考える場合、この二つの視点の捉え方が、ある意味逆転しているのではないか? と思うことがしばしばあります。
つまり、かつての理論では、モノゴトの全体性を見る視点と、個人のニーズを拾い上げていく視点とは、二つの視点を結びつけるメソッドがなかったのです。全体と個別には、直接繋がらない大きな溝が絶えずあって、そこを人間の感性で予測するという行為が必要だったわけです。
仮説と検証。これが即ち鷹の眼と蟻の眼を結びつける思考的実験だといえるのですね。
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今、それが変わった。
グーグルアースで遊んでいて、はっとしたことですが、地球全体を見渡していたかと思ったら、どんどんデイテールに向かって落下して行き、ついには自分の家の屋根まで到達してしまうわけですが、これこそが、鷹の眼と蟻の眼が融合していくポイントを示しているのではないかと直感したのですね。
何が違うかって? この二つの視点の考え方で決定的に違うのは、グーグルアースを動かしていたのが、今までは情報を発信する側‥メーカーであり、流通でありの企業であったものが、今や、グーグルアースを動かしているのは、一人ひとりの個人なんだということですね。
この違いは、ビジネスを構築する上で決定的な、革命的な逆転の現象を生んでいくということなんでしょう。情報は‥‥発信する側と受け取る側とが隔絶されている時代は終り、情報の受発信を個々が実行することによって情報流通の経路が決まるということ。
だから、グーグルは自ら生産しない。あるものの流れを形作るだけなんだということでしょう。
天空から地底まで、現代の消費は瞬間に時空を超えて移動してしまう。この移動のメカニズムを捉えたものが、新しいビジネスの成功を掴むことができるかもしれない‥‥こんなことを、古いコトラーのマーケティング原理を読みながら、考えているのです。
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それより、早く、桜を見に行くほうが、よっぽと大事なんだよ!