心理カウンセラー 高原恵子さんが著した『話を「聴いて」人を育てる技術』(2002年刊)が、加筆されて文庫版として出版された。(PHP文庫 2007年2月刊)
コミュニケーションを円滑化させるための課題解決のヒントが、極めて具体的に整理されている分かりやすい著作で、私個人としては、企業での研修などで大いに参考にさせていただいた本だ。
特に、私が活用している項目は、「相手のリソースを聴く」という項だ。
私は本質的には話が下手で、一対一では何とか話は出来ても、大勢の中に入ると、どちらかというと「無口」なタイプだったのですね。対人関係では、ある種の緊張感が絶えずあって、気楽に話題を投げかけて、輪の中心にいるという人が羨ましくて仕方ないと思っていました。
こういう自分を改革するために、高原さんの「相手のリソースを聴く」という態度は、大きな効果を生んでくれたのです。
リソースというのは、心理学的には「資源とか、もともと持っている資質」と訳されてします。つまり、そのことを思い出すだけでエネルギーが沸いてくるような成功体験や楽しい思い出、尊敬している人、自分のことを愛してくれる人、夢中になっていること、趣味やお気に入りの場所など、まあ、肯定的なエネルギーを送ってくれる全てのもの‥‥と高原さんは指摘しています。
コミュニケーションの場で、初対面の方と話をするときは、私は自然とその方の出身地や故郷の話、好きな場所の話などについて聴くことにしています。
地域の特性や県民性などの知識をもとにして、共通の話の基盤を作ってしまうのが、その後の話を弾ませる有効な対話のコツのように思っているからです。
これが、相手のリソースを聴くという態度だと思いますね。
‥‥
ところで、オヤジギャグという言葉がはやりました。余りセンスのよくない駄洒落を連発して、相手を煙に巻くような種類の言葉遊びなんでしょうが、私もしばしば「寒い」駄洒落を飛ばします。
大概は、そのことによって、その場は一瞬でも和みますが(と自分では思っていますが‥)、オヤジギャグを飛ばす正真正銘のオヤジは、共通して孤独を恐れている人だと言っていいようですね。
「誰か、私のリソースを聴いてくれる人は、いないかな‥‥。」心の底では、いつもそんなことを願っているのです。私がそうですから‥。
相手のリソースを聴く‥‥それは、人を救済する便利なスキルなのです。