梅田望夫 vs 平野啓一郎 対談「ウェブ人間論」で締め括る | 考える道具を考える

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web人間論
 今年も残すところ、あと二日。年内最後の題材は、最新刊の「ウェブ人間論」(新潮新書 2006年12月20日刊)を取り上げておきましょう。

 web進化論で一世を風靡した梅田望夫さんと、「日蝕」で芥川賞を受賞し、「本の読み方‥スローリーディングの実践‥」で知との取り組み方を看破した若き作家平野啓一郎さんの、渾身の対談です。

 web2.0‥‥こういう概念で語られた今年のネットの世界は、私達の世代では「分かるような分からないような‥」不思議な思いに駆られましたね。

 しかしながら、時代が変化していく、その予兆を「言葉で表現」された時は、何か、どことなく、そわそわとして、一応理解しておかなければ安心できないという誘惑に駆られるのが、団塊の世代の特徴なので、web2.0という言葉の意味と解釈に躍起になったのでした。

 そして、この「ウェブ人間論」は、飛躍的に膨張し続ける宇宙と同じような広がりを続けるネットの世界の第一人者と、豊かな感性で「日本語」を再編成している作家という異質な世界の専門家の対談によって、私のそわそわする気持ちを整理してくれたのでした。

 本の中では、特に第四章「人間はどう『進化』するのか」が楽しい対談でしたね。平野さんのこんな言葉が、日本語で表現していくこととネットの社会に参加していくこととの微妙なニュアンスを言い現しているようです。

 ‥‥‥ブログなどへの自己表現機会の空間に個人が参加していくことについて‥‥
 「言葉による自己類型化には、安堵感と窮屈さとの両方がある。だからこそ、みんなそれを頻繁に更新するのでしょうが。」

 島宇宙という言葉が出てきて、いわば、ネットの社内の中で自己との対話だけで完結してしまうことの、恍惚と不安とが混在することの不完全性を指摘しているようです。

 ということで、ウェブ人間論とは、ネットの世界の膨張と、そこに誰でもが身を置くことができる「個的満足感」によって、逆にリアルな人間関係の世界にも希望が持てるようになるということでしょうか?

 ご一読をお勧めします。