「今年の感動」 イノセントの素子‥アップルシードのジュナン‥士郎正宗の世界に感動 | 考える道具を考える

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 攻殻機動隊という名作が登場して以来、日本のアニメーションは世界のお手本となった。近年のイノセンスに続く、未来映像のリアリティは、押井守監督という異才の手を経ながらも、完成度の高い世界を見せてくれている。

 『アップルシード』(APPLESEED)は士郎正宗さんのメジャーデビュー作となったSF漫画だが、映画版が2004年4月17日劇場公開された。

 今年、改めて士郎さんの作品をDVDで立て続けに観た。

 そして、考えることは、‥‥共通して登場する主人公は、言うまでもないことだが、戦う女性の映像だということ。アップルシードのジュナン、攻殻機動隊やイノセントの少佐と呼ばれる素子。この二人の女性主人公は、いずれも、戦闘訓練で鍛え上げられた超女性の姿として描かれている。

ジュナン
ジュナン

素子
少佐

バトウ
                              バトー

 そして、超女性は、さらに屈強な人工的男性のブリアレオスとバトーという超男性によってサポートされる。

 この構図の中に、現実の世界と空想の世界の男女の理想像が錯綜する世界が生まれてくるとしても不思議ではないなと思うのです。現代の若者たちがバーチャルの世界に、現実以上のリアリティを持ったとしても不思議ではないと思うのです。それだけ、リアリティのある人物描写なのですね。

 勿論、士郎正宗さんが描こうとする世界は、未来空想科学の世界を描きながら、現代社会における人間の愚かさに対する警鐘といえばいえる。しかし、バーチャルなアニメーションの世界で描かれる「英雄」たちの姿を見ていると、現実の世界においては、もう既に、「英雄伝説」が存在いえないことも認識せざるをえないとも思えるのです。

 高度情報社会は、情報幻想そのものが、人間の創造力を削ぎ落としていく結果になるのだろうか?