認知科学と将棋の読み | 考える道具を考える

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 少し古い話になるが、2003年の6月6日~8日の3日間、電気通信大学において日本認知科学会・第20回大会が開催された。

 この日のメインは、日本の人工知能研究の第一人者である、はこだて未来大学 松原仁教授と、将棋界の第一人者羽生善治四冠王(当時 名人・竜王・王座・王将)の両名による特別記念講演「将棋と認知科学」についてのお話だった。

 内容は羽生四冠の対局中の思考方法や、コンピュータ将棋まで多彩で、認知科学の研究の視点にも触れるものが多かったように記憶している。

 将棋という勝負は、お互いが一手ずつしか動かせない、というルールなので、実力が互角の場合は、自玉の守りを磐石にした段階で、「相手に仕掛けさせる」ことが勝負の分かれ目になることが多いという。つまり自分から仕掛けたら負ける。なぜなら、中盤の体制が磐石であるということは、それ以上動かしたら不利になるからという理屈だ。

 秀吉の天下取りの場面で、柴田勝家の軍勢に先に仕掛けさせて勝利したことに通じる、勝負の綾があるように思えますね。

 この学会の講演会では、その後インターネットにその時の様子が掲載されていますが、ここで、松原先生は、こんなことを言っていました。

 ‥‥将棋において「金や銀といった駒の存在がチェス等に比べて局面の評価を難しくしている」と指摘した。チェスの場合は駒が1個動くたびに局面が大きく動くケースが多く、数値による局面の有利・不利の評価がやりやすいのに対し、将棋では金や銀を1手動かした程度では形勢にはほとんど変化がないことが多く、数値による評価が難しいのだとか。‥‥

 いずれにしても、将棋の勝負とビジネスには通ずるものが多いようですね。
 羽生さんの新書版はベストセラーになっているし、谷川九段の著作も面白い。

 このブームは、先が読みにくい時代をあらわしている、という「読み」は確からしい。