サルバトール・ダリ 生誕100年記念 回顧展が、東京・上野の森美術館で、いよいよ9月23日(土)から始まる。写真は、「記憶の固執の崩壊」または、「柔らかい時計」と題された1930年代の作品である。
私が一番好きな絵だ。
ダリ展のこの作品解説によると‥
「‥そこでは、枯れ木が象徴する死と、柔らかな時計による時空の歪みによって、相対性理論を借りつつ生と死の問題を巧みに表現した。それから20年が経ち、第2次世界大戦と原子爆弾という世界を破滅に導くような事件を経験したダリは、さらにあらゆるものが消滅するという信念を強くしたのである。それゆえに、題名に原子核の崩壊を意味する言葉を用いたのであった。‥」
というもの。回顧展のシュルレアリスム時代の代表作品として展示されるようであります。
時間と空間のバランスを失った人間の精神を、この不安定、不安の心象風景として描いたダリは、そのディテールのリアリティ性によって、心の風景を描いてみせたと私は思っている。仏教画が見せてくれる地獄絵や極楽浄土の絵も、私は好きだが、近代ヨーロッパの偉人が描く、リアリティ性もまた好きなジャンルで、ダリはその代表選手だといっていいと思う。
もし、ダリが、デジタル技術の高度に発展した現代に生きていたら、どんな表現をしてくれていただろうか‥などと思うと、また楽しく回顧展を見ることができそうだ。