スロー・リーディングの奨め | 考える道具を考える

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スローリーディング
 ついに出版されましたね。‥‥スロー・リーディングの実践。

 若き芥川賞作家 平野啓一郎さんの「本の読み方」(PHP新書415 2006年9月刊〈あれ? まだ9月になっていないけど‥まぁ、いいか‥〉)ですね。「序」で、この読書術の要点を一言でこんな風に言っています。

 ‥‥スロー・リーディングとは、差がつく読書術だ。その「差」とは、速さや量ではなく、である。‥‥

 そうですね。私は、このブログでフォトリーディングに対して、熟読の魅力について触れてきました。まあ、膨大な本をどうやって読んでいくのか、その呪縛は大変なものがありました。読めば読むほど、「著書の海」の大きさに辟易としてしまうという体験は誰でもあるのでしょうね。

 しかし、「本を読む」という行為は、そんなに追い立てられるようにして行うものなのか? 当然、そう思っていましたから、‥‥自分の愛読書を10冊ほど選んで、反復して読んでいくことの方が楽しいということも知っていましたから‥‥、だから、平野氏のこの新書に出会って、全て納得です。

 特に、この著書で感心したのは、つぎのような書き出しの言葉でしたね。

 ‥‥スロー・リーディングは、本を読む習慣のある誰にとっても重要であるだけでなく、本質的には本を読まない人にとっても重要である。なぜならばそれは、言葉を深く理解する技術だからである。‥‥

 ふむ。そして、作家が、どう本を読むか、という点について‥

 ‥‥実は作家の多くは、他人の本を読むときも、やはり書き手の視点で読む、という作業を行っているのである。‥‥

 なるほどね。一冊の小説を毎年一回は読む。これは私が自分に義務付けている読書方針ですが、毎年、同じ本の中で、感動する言葉に出会っていますね。しかし、それは、前年に読んだ部分とはまったく違う言葉が選ばれることが多い。‥年齢や経験によって、感受する言葉は違っていくんだな‥と漠然と思っていたものですが‥。

 それだけ名作は奥が深い。本を読むことで実現する自分探しは、自分が最も好きな作家の名作と出会うことによって始まるともいえるかもしれませんね。

 ‥‥ところで、僅か200頁のこの本をまだ最後まで読みきってはいませんので、これからゆっくり読んで行こうと思います。ゆっくりね‥(笑)足あと