Firalia

犬のフィラリア症(犬糸状虫症)は、フィラリア(犬糸状虫)という寄生虫の感染のよって起こる病気で、治療が遅れると心臓病にかかって命にも関わります。フィラリアは犬特有の病気のように思われますが、タヌキなどのイヌ科動物に加え、猫やフェレット、さらには人にも寄生することがあります。


犬のフィラリア症の症状とは?

フィラリア症は、感染初期は無症状ですが、体内のミクロフィラリアが成長して感染が酷くなると、咳や息が荒くなることが多くなり、散歩の途中で休息する回数が増え、他の心臓病病と同じような症状が表れます。末期にはお腹に水が溜まって膨れる、意識がなくなる、血を吐くなどの症状が現れ、やがて死に至ります。


犬のフィラリア症の原因

フィラリアは、そうめん状の白く細長い寄生虫で、蚊を媒介として犬に感染します。感染は次のような順番で起こります。

(1) 蚊がフィラリアに感染している犬を吸血したときに、フィラリアの幼虫(ミクロフィラリア)が蚊の体内に侵入します。

(2) ミクロフィラリアは蚊の体内で成長し、次にその蚊が未感染の犬を吸血する時に、フィラリアが刺し口から犬の体内(皮下)に侵入し、寄生します。

(3) 犬の体内(皮下)に入ったミクロフィラリアは、2~3ヵ月ほどの間に脱皮をくり返して成長し、血管の中に侵入します。静脈を伝って心臓に到着し、感染後半年後には成虫となって、右心室や肺動脈に定着するようになります。

(3)までフィラリア症が進んだ場合、予防薬をしっかり飲んでいないと、次第に成虫の数が増えて肺や心臓の機能障害が酷くなり、肺動脈塞栓症による呼吸困難や心不全などの原因となります。また、成虫となったフィラリアは犬の血液中で幼虫(ミクロフィラリア)を産むようになり、蚊の吸血によって他の犬へ感染が広がるようになります。

犬フィラリア症の治療法

フィラリア症を治療するには、まず血液検査でミクロフィラリアの有無を調べるか、免疫学的にフィラリアの抗原を検出する方法でフィラリア寄生の有無を調べます。フィラリア症の感染が認められれば、レントゲン検査などを経て治療方法を決定します。
フィラリア症の治療方法には、内科的療法と外科的療法があります。内科的療法は、薬剤(イベルメクチン)によって体内のフィラリアを駆除する療法です。ただし、症状が重い場合に薬剤を投与して一度に大量の虫を駆除すると、肺動脈が詰まって犬の命に関わる恐れがあるので、慎重に投与する必要があります。外科的療法は、心臓や肺に寄生したフィラリアを外科的手術で一匹ずつ取り出す療法で、急性期のフィラリア症に用います。

犬フィラリア症を防ぐには?

フィラリア症の確実な予防方法は、蚊の活動が始まる春先から、活動しなくなる秋の終わり頃までの間、月1回の駆虫薬(イベルメクチン)を定期的に与え続けることです。しかし、この方法は正確には感染予防ではなく、寄生したフィラリアを成長前に死滅させる早期駆除です。そのため予防薬の投与は、蚊がいなくなる時期の1ヵ月後(秋の終わり頃)まで投与を続ける必要があります。


【関連記事】

動物用医薬品等取締規則の一部を改正する省令の制定について


 犬フィラリア症駆虫剤であるイベルメクチン等については、その適正使用の一層の確保を図る必要があるとして、今般、犬又は猫に使用することを目的とするそれら医薬品が要指示医薬品に指定されたものです。  一方、最近、産業動物用のイベルメクチン製剤を獣医師が犬用に使用又は処方していることについて一部のマスコミで取り上げられ、問題視されたところですが、産業動物用のイベルメクチン製剤は当然のことながら、産業動物用医薬品としてその製造・販売等が承認されているもので、犬用に使用することは承認されておりません。
  従いまして、やむを得ず獣医師の技術的な判断、裁量の範囲で産業動物用医薬品等を使用しなければならない、というような特別な事情がないにも関わらず、産業動物用イベルメクチン製剤等を犬用に転用することは厳に慎むべきであります。なお、例えそのような場合であっても、その使用にあたっては飼い主に対して事前の十分な説明と同意を要することは当然であります。


Propac

狩猟者の高齢化など狩猟環境の悪化に伴い、全国各地の猟友会会員が激減していることはご承知の通りでありますが、全猟も少なからずこの影響を受けて、会員が減少しております。
会員【狩猟者】の減少は、全猟収入の三本柱であります『会費』『猟犬登録料』『全猟誌広告料』のすべてに悪影響を与え、近年収入が大きく落ち込み、大幅な赤字を計上して会の運営を圧迫しております。このような厳しい財政状況から、平成5年度から据え置かれている会費の値上げも、やむをえないのではないかといったご意見も多くあります。
しかしながら、会費などを値上げした場合、これが引金になって更に会員が減少する事は、火を見るよりも明らかであり、値上げ問題は躊躇せざるを得ません。

一方、支出においては、都道府県支部への助成金カット、職員人件費の削減、ビーグル猟野競技会のように、出犬頭数の著しい減少から、大幅な経費の持ち出しになった行事などについては、愛好家の自主運営に切り替えるなど、厳しく見直しを行なっております。

また、春・秋の猟野競技会が華々しく開催されている西冨士・本栖・本栖放鳥獣の三猟区の運営については、猟区内5地区(地権者)への協力金を始め、コースの整備などキジ保護繁殖を積極的に押し進めていることから、年間750万円の経費が必要となっております。これについて受益負担、つまり猟野競技会で猟区を利用する出犬者が応分の負担をすべきであるという厳しい意見もあります。しかし、猟野競技会はいわば全猟創立の理念であり、今以上に出犬料を値上げした場合、猟野競技会の衰退を招く事は必定であり、全猟から猟野競技会の旗を降ろす結果になります。
従ってこれ以上出犬者に負担を求める事は無理があります。

このように経費の削減には限度があり、これをあまり厳しくした場合、会の活力を失うことに繋がる懸念があることから、これは避けなければならないと考えております。

つきましては、猟区の運営・猟野競技会の実施を始め、各種の行事が円滑に執り行われ、会員の皆様が安心して全猟を末永く愛して下さる事を希って、これまでゼット物産株式会社が販売しておりますドッグフードを、7月から全猟が販売させて頂き、収入面での梃入れを計る事になりました。猟野でのよき伴侶である愛犬に、高品質の綜合栄養食として定評のあるフードを食べさせて頂く事が、全猟を支え、全猟が存続する事に繋がります。


全猟誌 平成19年6月号から抜粋



WAS03

結  び

 今日私達が狩猟から体験する喜びと興奮は、多分昔の人々から次々と送り継がれて来たものであろう。全ての記録されている歴史を通して、一つの或は他の形の狩猟は常に生き残る為のものか、或は接待の為のものとして目立っている。高原のゲーム鳥の追求はスポーツに迄発展し、今日私達が親しく受け入れている形に先立ち、色々な形と流行とを採った。全ての歴史を通して、このスポーツが、このような大変な危機に陥った事はかつて無かった。

 常に増加してゆく狩猟人口や、常に減少して行く土地で、常に減少して行く猟鳥を狩る事は、根本的な改革を産み出す必要がある。近代的なゲームの養殖場や禁猟区は、自然のゲームに対する圧迫を取り去る事により、一時的にこの問題を和らげる事は確かだろう。

 しかし、この問題の一番の重要点は、スポーツマンの中の増加した不純分子であり、殊に私達の自然鳥資源の保護や保存に対する態度である。

 鳥を撃ち落す事を自慢するのは最早極めて時代遅れとなって来ており、正にその通りである。

 ゲームを捜し求める事、殊に素晴らしい犬で行う事が、スポーツの真髄であると、次第に認められて来ており、猟嚢をいっぱいにする事ではないのである。銃から免れた鳥は何度も何度もポイントさせるよう、生きるだろう。この本が素晴らしいシューティングドックを育て、立派な演技犬に対する貴方の認識を鋭くするのに手助けとなる事を望む。



Wing and shot

20章
フィールド・トライアル

 フィールド・トライアルとは基本的には一定の基準のもとに、競技によってシューティングドックの演技力を競う事を意味する。一方多くの猟人や猟犬の所有者は、フィールド・トライアルやトライアル犬は自分達の為のものでないと考えている様に思えるが、これはこのスポーツに対する理解が足りない結果であると私は信じている。

 シューティングドックを向上させ、訓練するスポーツにおいては一頭の犬の性能を他の犬のそれと比較する意味で、競技は有益なものである。ゴルファーはゲームを楽しむ為にゴルフをするが、殆どのゴルファーはトーナメントとして競技するのを喜ぶ。射撃家もトラップ、スキート、ライフルと彼等の競技会を持って居る。同様の事が他のスポーツでも言え、又鳥猟犬そしてこのトライアルでも全く同様である。

 フィールド・トライアル犬は本質的にシューティングドックであり、彼の猟能が審査されるのも、この観点に立ってである。今日ではいろいろな種類のトライアルがあるが、それを簡単にお話しして見よう。その殆どのものは与えられた場所で特定のゲームに当てて、シューティングドックの価値を競う事の直接な現われである。これはすべて英国において何十年も前に始められたものである(1866年)。アメリカのトライアルは1874年にテネシー州のメンフィスにおいて行なわれた。現地のハンターのグループや犬の作出家達が、明確に自分達の持物を競う事を望み、この様にしてフィールド・トライアルは生れた。その時以来、このスポーツは大変急激に発展した。今日では、アメリカのあらゆる場所で数百に及ぶトライアルが年間を通して行なわれている。そして現在の発展は昔に比べて大変なもので
ある。このトライアルは、その地域やゲームに従って多くの一般的なタイプに分けられ、フェザント(きじ)トライアル、クエル(うずら)トライアル、グラウス(雷鳥)トライアル等と呼ばれている。カナダの北西や西部地方では、シャープティルグラウスやハンガリアンパートリッジ(やまうずら)等のトライアルがある。その各々のトライアルは、それぞれ多少異った演技犬を要求しているが、本質的なものは同様である。

 犬達は全て同じマナーを表現し、彼等は何時も基本的に彼等の鳥を発見する能力を審査される。トライアルの部門やクラスは非常に良く組織化されている。それはそれぞれアマチュアかオープンの何れかに分離されている。アマチュアステイクにおけるハンドラーは、彼が犬のハンドルや訓練によって金銭を受け取っていないと言う点での、真のアマチュアでなくてはいけない。オープンステイクはアマチュアであれ、プロのトレーナーであれ、誰でも良い。アマチュアの地位はフィールド・トライアルにおいては、他のスポーツと多少異ったものがある。フィールド・トライアルにおいて、アマチュアはオープンステイクで戦い、彼の地位を傷つける事なく賞金を受取る事が出来る。アマチュアにおいては賞品はトロフィーであり、オープンステイクにおいては賞品は現金であり、それは通常出犬料の一部か懸賞金の何れかである。フィールド・トライアルにおいては、犬のプロハンドラーが賞金を獲得するのが通例であり、若しトロフィーがあったならば、それは犬の所有者に贈られる。その組織が競技場において或る競技部門に特殊な制限を付けない限り、如何なる指示犬種でも与えられたトライアルに出場して競う事が出来る。或るトライアルでは出場犬を特殊な犬種に限定している。例えばジャーマンショートヘアー種、ブリタニースパニール、ワイマラーそしてアイリッシュセター等の愛好家は犬種を限定してトライアルを行っている。しかしながらトライアルの大多数のものは一犬種に制限していない。

 これらのトライアルでは出場犬の大多数はポインタとセタである。普通行なわれているステイクはパピー、ダービー、オールエイジそしてシューティングドックとして知られている。これ等のステイクの各々はオープンかアマチュアである。パピーステイクでは若しトライアルが秋に行なわれるならば、前年の7月1日以降に生れた犬に制限される。パピーステイクが春に行なわれる場合は、前年の1月1日以降に生れた犬が含まれる。フィード・トライアル・シーズンは普通翌年の6月迄続けられる。従ってダービーステイクは前年の1月1日からそれ以降に生れた犬の為にある。従ってシーズンの始りにおいては、約1才半の犬がこの資格を持つが、シーズンが進み、何カ月か経ちダービーシーズンが完了する頃には2才となるだろう。

 競馬のサラブレッドレースと同様に、1月1日はフィールド・トライアル・ダービー犬にとって、全国的な誕生日である。オールエイジステイクとシューティングドックステイクは全年令の犬の為のものである。殆どのトライアルにおいてはオールエイジステイクとシューティングドックステイクとの大きな違いは、レンジの要求差においてである。オールエイジステイクはなるべく広いグランドを捜索する犬の為であり、一方シューティングドックステイクにおいては、レンジはそのステイクが扱うゲームの自然の猟において要求されると同様程度のものである。フィールド・トライアルの機構は非常に簡単である。犬達は所有者とハンドラーかの何れかによって、組織の書記か或はそのトライアルを行うクラブに出場申込をする。これは普通トライアルが行なわれる前の晩に行なわれる。そして各ステイクの出場犬は出走順番を定めるために籤を引く。犬達は順番に並べられ、組にされる。第一番目と二番目の犬が第一組となり、以下同様に組を作る。各ステイクはそれぞれ別れて誘導される。各組はそれぞれのステイクの基準に従った30分から3時間の間走らせられる。ステイクは普通経験豊かな適切な2人によって審査される。そのステイクの含む総ての組の競技が走り終った後に、審査員は1位、2位、3位を選ぶ。若しこの所謂第一シリーズと呼ばれるレースに、犬が充分演技が出来なかったか、或は大変似かよった犬が多かった場合には、第二シリーズを行う事が出来る。これは彼等が今一度見たいと思う特別な犬を走らせる事であり、この場合は望むだけの時間走らせて良い。一組の犬が走るグランドをコースと呼ぶ。普通トライアルの一団を接待係がコースに沿って誘導する。フィールド・トライアル・パーティーは、組になった犬をハンドルする2名の競争者(ハンドラー)と2名の審査員、接待者、そして観衆から成っている。このパーティーは上の様な順序で、徒歩か或は馬に乗って犬の後に続く。便宜上殆んどのトライアルが馬に乗って行なわれる。トライアルは連続したコースか或はシングルコースで行なわれる。連続コースとは、その言葉が示す様に各組の犬がそれぞれ新しいコースか或は数時間内に使用されていないコースを次々に出走する場合である。これをする理由は、これらのトライアルは自然鳥に対して行い、たくさんのコースを用いる事によって、犬やトライアルパーティーによってかき廻された後に、鳥は自分の自然の住場所に帰る機会を与えられるからである。シングルコース・トライアルの場合には、総ての組は同様のコースを用いる。

 シングルコースの終りの場所には、犬達の為に置き鳥がしてある特殊のフィールドがある。これらの置き鳥は--普通鶉か雉が用いられるが--、バードフィールドと呼ばれる場所に、各組の出走の間に置かれる。これによって全ての競技犬にゲームをポイントする均等の機会を与える。シングルコース・トライアルは普通連続コースを用いる事が出来ない様な所か、或は自然鳥が不足している様な場合に行なわれる。アマチュアステイクを行っている殆んどのクラブは、アマチュア・フィールド・トライアル・クラブズ・オブ・アメリカ(A.F.T.C.A)のメンバーであり、それは全国的な母体組織である。これは会員組織となっており、それに従って動いている。これの委員は地域的に全国から送られており、この組織は管理母体として行動し、アマチュアステイクの出走規則を設定し、それによってトライアルの内容を基準化し、勝利者に公式の承認を与える。この承認は、勝利者達にアマチュア・フィールド・トライアル・クラブズ・オブ・アメリカの管理の下に行なわれるレヂオナル或はナショナルオールエイジ又はシューティングドックチャンピオンシップに出場する資格を与える。この組織の管理は基本的には書記のものであり、現在における事務所は、ミシシッピー州ヘルナンドのミス・レスリー、アンダーソンによって大変有能な活動をしている。

 オープンチャンピオンシップは、それぞれ自己の出犬資格を持っており、個々の組織によって催されている。しかしながら彼等は実際には全てのフィールド系指示犬の、全国的な登録団体であるFDSBによって承認を受けており、この組織はアメリカン・フィールド・パブリッシング・カンパニーによって管理されている。

 シューティングドックステイクとオールエイジステイクにおける犬は、この本であなたの訓練の仕事について詳しく記述したのと、全く同様に審査される。種々のステイクやトライアルの各種の審査基準を定めるのは多分一番難しい事だろう。私が試みるより尚有能な人が多くおられると思うが、それでも尚樹立された基準は無い。トライアルは経験の結果により審査される。殆んどの経験深い人々は、種々のステイクについて全く同じ様な要求の概念を持っていると思われる。ポイントを基礎にした詳細な採点法は昔試みられたが、すべて成功した事が無かった。

 パピーステイクの審査においては、犬がどのゲームに対して走らせられるにしても、殆んど全部の審査員が以下の様な性能を審ていると私は信じている。

1 身体的に充分働く能力があり、外見活動的で嗅覚、視覚、聴覚能の充分な犬
2 天賦の猟欲、そして鳥を見出そうとする欲望
3 自主性と大胆さ
4 ランニングスピード、スタイル、レンジ
5 決断力と持久力
6 鳥を発見する能力と正確な鼻
7 ぐずぐずしたり、他犬の跡を追ったり、地鼻を使ったり、猟鳥以外の不必要なものに気を散らしたりする悪癖の無い事
8 天賦のポイント能
9 精神の完成、或いは猟の仕事えの勤勉な入門

 パピーにおいては、訓練のマナーについては特別に審査はされないで、それ以上に彼等の天賦の性能について判定される。彼等が訓練に伴って偉大なシューティングドック或いはオールエイジ犬になり得る潜在能力を持っているか、と言う点に審査の努力が向けられる。パピーステイクにおけるポイントは、その犬がポイント能を示す限り、余り重要ではない。これは単にフラッシュポイント以外にない事も時々ある。フラッシュポイントは以前に述べた様に、鳥臭に際しての瞬間的な停止である。私個人としては、パピーは競技に出犬する前提条件として、少なく共フラッシュポイントがあるべきだと言う事は大変重要な事と考えている。

 ダービーステイクは、パピーステイクと殆ど同様に審査される。繰り返すけれども、理想は完成犬として立派な犬になる様な犬を選ぶ事である。しかしながらダービーにおいては、彼等は訓練を受ける事が出来た点を指摘しなければならない。

1 彼等はゲームをポイントし、ハンドラーが到着する迄そのままでいなければならない(スタンチネス)。しかしながら飛翔と射撃に不動である事(ステディネス)は不必要である。
2 彼等が銃声に馴れている事を立証する為に、頭上で発射されなければならない。
3 彼等はパピー犬より以上に立派な成熟と決断力を示さねばならない。
4 グランドの状態が許される限り、ハンドルに乗り、ハンドラーの指示に応ずべきである。
5 既に論じた様な悪癖を持っていてはならない。
6 彼等は他犬のポイントに対し、それを称え(オーナリング)、或はバック(バッキング)をしなければならない。
7 彼等はパピーの時以上の持久力とスピードを持たねばならない。

 ダービーステイクは、時に審査が非常に難しい事がある。何故なら、これらの犬は丁度中間の年齢にあるからである。或るダービー犬は他のものより早く進歩し、或いは発達する。同じステイクにおいて、スタイル、スピード、レンジ、猟欲等の天賦の性能を他犬より以上に現し、唯彼のマナーはステイク中の他の幾つかの犬程巧く出来てないダービー犬がある。何れの犬を採るか常に問題になる。私個人としては、私がダービーステイクを審査する際は、その犬が訓練をされ得る能力があるか否かを知りたい。彼はこの点をハンドラーえの反応や、ゲームに対するマナーで示して呉れるだろう。若し彼がすべての天賦の性能を、上述の如何なる失敗もなく示して呉れたら、彼は私に気に入られるだろう。

 シューティングドックの審査に於ては、審査員は常に高級な演技犬と完璧なレースを探し求めている。

 殆んどの審査員はその様な完璧なレースを心の中に画いて、彼等が審る全ての犬を、彼等の完璧なレースのイメージと比較していると信じている。私について言えば、私は未だかって完璧なレースと言うものを見た事もなく、他の人達も誰も見ていないと思う。誰かが昔言った様に、フィールド・トライアルの完璧な演技犬を記述するのは、丁度完璧な交響曲を記述しようと試みるのと同じ事だろう。以下の事は理想的なレースと考えられる事柄であろう。犬が出走し始めた瞬間から、彼が繋がれる迄の間、彼は次の事柄を示さねばならない。

1 ゲームを発見するのに完璧な絶え間のない興味(猟欲)を示さねばならない。
2 彼の競争相手に対する完全な自主性
3 決断力と持久力。彼のペースは最初から終り迄変化してはならない。
4 智脳。気流の利用とか探そうとする目的物に対する頭脳的な選択等の様な、総ての機会を捕えて敢然と捜索しなければならない。
5 協調性。彼はハンドラーの指示に明確に、喜んで従う事を示し、ハンドラーをして、犬をコースに沿って導かせしめる様にしなくてはならない。
6 望ましい目的物を自主的に捜索し、然も尚コースに沿って前方へ狩り込む様な高度の自然の感覚を持たねばならない。
7 彼はパターンの一貫性を示し、殊にレンジにおいても然りである。
8 彼の走法は見守るのが楽しい様に速く、スタイリッシュで優雅であり、しかもリズミカルであるべきである。
9 彼の態度は真剣であり、且つ円熟したものであるべきで、しかも尚彼はレースを楽しんでいる様に見え、快活さも見せるべきである。
10 若しゲームの追跡のため必要とあらば、物凄い繁みに立ち向っても、これを突き進む充分な勇気を持たねばならない。
11 道とか牧草地、踏みつけられた小道等の様な容易な足場のみを走らてばかりいてはならない。
12 彼は素早く活発に、積極的に、頭を空中高く保持してゲームに近寄らなくてはならない。彼は相手犬より、より多くのゲームを見出さねばならない。
13 ポイントに際しては、堅実で不動でなければならず、姿勢は崇高にして、大胆であり、その印象は炎の様に烈しく、且つ断固としたものでなければ  ならない。ゲームは正確に指示せられ、ハンドラーによる鳥の飛翔と発射  に際してのマナーは完璧でなければならない。
14 彼は既に述べた様な如何なる悪癖をも持っていてはならず、又ゲームに対し失敗があってはならない。
15 ハンドラーの手を煩わす事なく、完璧な作法で相手犬を尊ばなくてはならない(バッキング)。
16 要求されたならば過度の指示を要する事なく、狭い場所を捜さねばならない。
17 若し不意に翔ったゲームに出会った場合は、ポイントしなければならない。
18 上述の様なやり方で、ハンドラーの手を煩わす事を最小限にして働かねばならない。
19 如何なる環境下においても、鼻を地面に擦りつけて捜したり、ゲーム以外のものにポイントしたりしてはならない。

 以上は、シューティングドックが審査されるべき基本的な要素である。同様の事がオールエイジ犬にも適用出来るが、唯オールエイジにおいては、シューティングドックのレンジより大きなレンジであるべきである。私は尚これが完璧な記述であるとは思っていない。時に大変似かよった犬達を分ける明白な要素もある。それは舞台における俳優の様なものである。2人の異った俳優は同じ科白を読み、同じ動作をする事が出来る。その場合1人は偉大であり、他のものは又別である。明かにこの事が、バリモーとかオリーバーとかべーンハー等の名優が現れる所以である。私は同じ事が犬でも真実であると信じている。時折貴方は素晴しい犬を見るだろうが、貴方はそれを筆で記述する事は出来ないが、それを見れば分るだろう。これは私がこんなにフィールド・トライアルを好む理由の一つなのである。その真価を認める為に貴方が目撃しなければならない。このスポーツには或る種の空想とスリルがある。以上はフィールド・トライアルについての短い話である。若し、貴方がフィールド・トライアルについて更に良く知りたい気持にかき立てられたならば、現に出版されているトライアルに関する素晴らしい本をお読みになる事をお奨めする。それは、「フィールド・トライアル」と言う題目で、ウイリアム・F・ブラウン氏により書かれたものである。若し貴方が近くのフィールド・トライアルに興味を持たれたならば、アメリカン・フィールド・マガジンに相談されると良い。又トライアルを見たいと思われるならば、我が国(US)で行なわれているどのトライアルでも大変喜んで迎えて呉れるだろう。

 今やフィールド・トライアル・フアンは、常にベテランによって快く受け入れられ、多くの援助と激励を受けている。若し貴方が犬を愛し、素晴らしい親交を楽しみ、競争心に恵まれ、又理解ある奥さんを持っているならば、貴方はフィールド・トライアルを楽しまれる事を確信する。


21章
トライアルに勝つ為に

 私達は既に訓練の基本やフィールド・トライアルの演技犬の基準、そして第一級のシューティングドックの最終的な修正について論じて来た。ここで今迄のすべての概念を纏め、そしてそれに幾つかのものを加え、更にナショナル・シューティングドック・チャンピオンシップを志して見よう。

 その様な重要なステイクに勝利を収める事が出来る犬は、我が国に沢山いるけれども、不適当な訓練やハンドルによっては、それを為し得ないのである。幾人かの読者と不和になるのを覚悟して、私はフィールド・トライアル殊に重要なステイクについて、明確な断言を試みたいと思う。この概念は決して何方の考え方をも傷つけようとするものではなく、それ所か、読者の方々を勝利者の仲間に結びつけようと申し出ているのである。訓練やフィールド・トライアルに犬を走らせた私の生涯の経験が、喜んで貴方方の利益になる事を望んでいる。

 我が国の中には、フィールド・トライアルに勝利を収める方法を私が示すより、更に良く適した人々がいるのは疑の無い所であるが、私として初心者に与え得るものを提供しようと思っている。新しい加入者を進歩させ、私達の出来得る限りの方法で手助けする事によってのみ、このフィールド・トライアルと言う壮大なスポーツは成長し続け繁栄してゆく事が出来る。

 一般に、オープンステイクの普通のトライアルや殊に重要なシューティングドックステイクでは、参加犬の唯の約20%位の犬のみが、勝つ可能性のある犬である。残りの80%は次の様な犬から成っている。即ち、

1. ゲームに対する態度が適切に完成されていないか、
2. 身体的に立派な演技が出来ないか、
3. 競技時間を通じて、完全な努力を遂げられない様な不適当なコンディショ  ンか、
4. ランニング或はポイントのスタイルが悪いか、
5. 競技から自然と疎外される様な悪習を持っているかである。

 この様な場合必然的な疑問が残る。第一にこれらの犬はステイクで一体何を為していたか?と言う事である。所有者やハンドラー或は両者の知識の不足が原因する場合が幾つかある。多くの所有者は、勝つ為には何が必要かと言う事を熟知していない。多くの所有者やハンドラーは、所謂ケンネル・ブラインド(盲)か或は彼等の犬達を可愛がる余り、犬の能力に対して感情的に亢進した概念を持っている。幾人かの人は、彼等の犬は1~2の悪癖を持っているにしても、まあこの特別の日には適当に演技するだろうと考えている。そして他の場合では、訓練者は無意識に或は故意に所有者に誤った説明をする。その所有者は犬を特殊なステイクに出走させる様主張するが、一方ハンドラーはその犬がクラスの下の犬である事を知っている。最後にスリルと名声の為に、犬をチャンピオンシップステイクに走らせたがる人も何人かいると思う。

 殆んど同じ様な事が普通ハンドラーにも言う事が出来る。硬い手や、風雪に打たれた顔をし、頑丈な使い馴らされた馬と一緒にもたれかかって、勝利を待ち受けているハンドラーを貴方が見た場合、もしそうでなくとも、彼は少なく共1頭の立派な犬を用意していると、貴方は確信してしまうだろう。

 さて、具体的に考えてみよう。50頭出走のステイクにおいては約10頭の犬が激しい競争を行う。これらの犬にとって、幸運が非常に重要な部分を占める。何頭かのものは、運の悪いクジ引きの犠牲となり、鳥の不足しているコースを走り、或るものは犬の演技を良く見せ難い場所を走る事になる。他のものは悪天侯や相手犬の妨害の犠牲となる。或るものは犬の操作以外の、例えば気難しい鶉の群れや、負傷したり、走っている雉とか、その他彼のステイクを失敗させ得る数多くの他の状況等の様なゲームの不運な状態にぶつかる。これらの全ての要素は非常に複雑に聞えるかも知れないが、若し私達の犬が適切に訓練され、遺伝的な身体の特質を持ち、適切に調整され、更にコースに対するクジや気候、ゲームそして相手犬等に幸運に恵まれ、勿論若し適切にハンドルされたならば、チャンピオンを獲得し得る10頭の犬の1頭であるべきだろう。

 「若し彼が適切にハンドルされたなら」の「若し」がこれから論じようとする事である。「幸運を祈ります」と言う言葉をトライアルの前に取り交わすのを良く聞き、又ステイクの後で「勝利者は幸運だった」と言う事を時々聞いたりする。

 実際この観点に立って、ハンドラーは彼の犬をハンドルする事により、又状況が移るにつれて、動作をする事によって彼白身の幸運を作り出さねばならない。ハンドラーはコースを完全に学ぶ事によって自分自身の心構えを作らなくてはならない。コースは何処にあり、探すべき目的物は何処であり、罠が何処にあり、そしてどの場所で彼の犬を立派に見せ得るかを学ばねばならない。なかんずく鳥は一体どこにいる可能性があるかを学ばなくてはいけない。
 以上は、ハンドラーが何故全ての組の競技を一緒に馬で走らなくてはならないかと言う理由なのである。トライアルの第一日の終りの時迄には、一体鳥はどの場所を好むかと言う事を含んだ上述のすべての概念を彼は知るべきである。多分この総ては余りにスポーツ的でないと考えられるかも知れないが、しかし今や私達は大きなトライアルに勝とうとしているのである。勝つ為には、他の全ての犬やハンドラーを打ち負かす事が必要である。他のハンドラーで、丁度私の奨めた事と全く同じ事をしている人がいるかも知れないが、そんな時は同じ資格でその人のやり方を見習うと良い。

 各組とくまなく一緒に走る今一つの理由は、自分が如何に狩らねばならぬかを知る為に、他の犬が一体どういう事を為したかを実際に知る為である。そして又貴方は結局はトップクラスの犬達が参加する第二シリーズがある事を知らねばならない。貴方は彼等の内の1頭と組んで競わねばならぬだろうし、その犬について良く知る事は貴方に有利であろう。

 第一シリーズの基本的な問題は、唯単に素晴らしい演技でトライアルに勝とうとするだけでなく、競技に勝ち残る様に失策の無い良いレースをする事である。

 ハンドラーは、出走している間は決して目を犬から離してはいけない。彼が常に失敗の無い様見守っていなければならず、この事はトライアルに勝つ為の最も重要な且つ簡単な要素である。大きなトライアルにおいては、審査員は第2回戦(決勝)に残す犬をなるべく少なくする必要がある。従ってほんの些細な失策も、その犬を予選で落とすのに充分な理由となるから、勝つ為には犬の失策の無い様保たなくてはならない。トライアルを失敗する多くの失策は、熟練したハンドラー殊に彼が自分の犬を良く知って、信頼感、或は気持の通じ合いを持っている場合(それは殆んど即座の反応となるのであるが)や、コースを知りつくして準備している様な時には、予め予測して、それを避ける事が出来る。トライアルにおいて、ハンドルしている間に起る全てのタイプの状況を、上手くカバーするのは不可能な事だろう。これらの提案を示す一つの例を見てみよう。

 私達の仮想のハンドラーがコースを勉強したと仮定しよう。そして彼が走る事になった、そのコースには彼の犬を良く見せる美しい場所があった。同時に彼はそのコースで鹿を見ていた。ランニングの間彼の犬は極めて素晴らしかった。犬が開けた区域に来た時に、ハンドラーは犬に広い捜索をする様に合図し、犬は相当大きく見える長い繁みを駆け下りてそれに従った。繁みが切れた。犬は次に左に曲って更に開けた場所に走る事も出来るし、又、右に曲って茂った森の際にある小さな湿地に行く事も出来る。若し犬自身の判断に任せたら、彼は右に曲り湿地を狩り森の淵の鳥を求めるだろう。彼のハンドラーはその湿地の中か、森の傍に以前に見た鹿がいる見込が大きい事を知っていた。犬が繁みの終りの所に近付いた瞬間、ハンドラーは左に曲る様犬に指示した。この様にトラブルを予測する事により、犬がステイクで落される可能性を排除したのである。犬をハンドルしている間に、興奮や緊張を犬に伝えないと言う事は大切な事である。一度び犬が興奮してしまうと、彼はより以上に誤りを犯し易くなる。

 ハンドラーは自分自身を落着かせ、冷静に保つ事により、犬をその様にさせる事が出来る。犬が如何に素速くハンドラーの気持を感じ取るかは驚くべきものがある。この事は殊にハンドラーと犬が非常に長い間一緒に暮した場合に著しく、密接な友情の結果として生れた信頼感は、犬をハンドルする上に大変な価値を持っており、殊に重要なステイクでテストする状況ではそうである。この結びつきは、人犬一如と言う点に発展する事が出来るだろう。通常これが劇的な結果を生み、ステイクの勝利の結びつきとなる。

 これが「ハウスペットが素晴らしい猟犬やフィールド・トライアルの競争犬となり得るかどうかと言う疑問の答えとなる。永く一緒に過せば過すだけ良い。若しこの密接な友情があるならば、ハンドラーにとって操縦の極限に迄持ってゆく事が可能であり、これは常に最も魅力的であり、犬をトラブルから守るのに十分である。勿論これを可能にするには、ハンドラーと犬は沢山の時間そしてあらゆる状況下で練習しなくてはいけない。トライアルの前に練習する場合、可能な限りトライアルの状況に似せる事が大切である。若し犬が次にあるトライアルの環境を構成するフィールドのタイプ、人々、競争相手、馬、更にその他の全てのものに予め準備が出来て場馴れしているならば、彼はより自然に演技する様一段と適している事になる。殆んどの場合、この雰囲気を作り出すのは大変難しく、殊に期待をかける犬が若く敏感な様な時は、出来る隈り小さなトライアルを試みなければならぬ訳である。

 若し貴方が、正しく仔犬を選択し、進歩させ、訓練し、調整し、教えた様に扱ったならば、多くのフィールド・トライアルに立派に勝ってゆけるだろう。

 最後に一言、貴方の左の尻ポケットに信用の出来る一本の兎の後足を入れて置く様注意し給え。 (兎の後足は幸運のお守りとされている。訳者註)


Wing and shot

19章
犬  舎

 ここで論ずるには余りに長たらしく、複雑な一般的な犬舎のデザインを議論するよりは、犬舎の根本的な基準についての私の意見と、エルフュー犬舎で満足している二つの犬舎の方法をお教えするのに止めよう。

 貴方が建てようと思う犬舎のタイプを決定する為には、犬の健康、コンディション、気持ち良さ、楽しさ等に関して、心に留めて置かねばならない或る概念がある。私達の論議は指示犬種の成犬について関与する事にしょう。私達は既に犬が到達して欲しい決勝点を決定した。このタイプの演技犬を要求し、達成するには犬の身体的に敏感な立派な心を持っていなくてはならない。彼を最高に感度の良い状態に保つには、彼の犬舎の具合と性質に負う所が大きい。理想的な犬舎とは、充分な運動、立派な衛生、風雨からの防護、快適な楽しい環境を用意しなくてはならない。体内、或は体外の寄生虫は常に大きな問題であり、殊に暑い地方においてそうである。立派な犬舎のデザインにより、これらの問題の大半は解決する事が出来る。

 犬が囲われている地面は、例えそれが狭い場所や鎖で繋がれているにせよ、日光や風雨に晒されていなければならず、又水はけが良くなくてはならない。若し地面が水はけの早い軽い砂土でなかったならば、普通の川の小砂利で、少なく共30㎝程、覆はなくてはならない。その場所は水平で草木があってはならない。そして少なく共犬一頭当たり3m×3m程必要である。若しセメントの犬舎が用いられるならば水を早く流す為に少なく共10分の1の傾斜を含まねばならない。若し犬が週に2~3回野外か広い運動場で運動出来るという条件ならば、セメントの部分は約1.5m×1.5mもあれば充分である。これ等の寸法は糞が少なく共一日に一度は掃除されるという想定に基づいている。日光はその場所の汚染を減少させるのを助け、犬の一般的な健康に大変重要である。犬は一年中日光に浴していなくてはならない。暑い夏の月々の間は日蔭を作ってやる。若し犬の運動場が普通の西風から守られる様に位置しているなら、犬舎の東側に日蔭を作ってやるか、木を植えてやる。犬舎それ自体は乾燥し隙間風から守られていなければならない。若し犬が乾燥し、良いベッドを与えられ、隙間風から守られたならば、零度以下の気候でも別に加温の必要なく快適に過ごせるだろう。内部の寝場所は、彼を楽に収容出来る程充分に広く、且つ彼の体温を保存出来るのに充分な狭さとを兼ね持たねばならない。木材やその他の熱の不導体の材料は、どの種の金属よりも勝っている。
 犬舎の唯一つの入り口は風が吹きこまない一番良い方向の南東に面しているべきである。殆んどの犬が人を好む。従って若し何時も人々を見得る所に良く位置しておられる犬は、孤立的に閉じ込められた犬より幸福だろう。如何なるものの動きでも、それは監禁の苦痛を和らげる事が出来る。若し犬が一頭より多い時は一緒に犬舎に入れるか、或はお互に見る事が出来る様に犬舎を作るとよい。便利という観点から見ると、犬を所有し、又注意してやろうと思う人にとっては犬舎が近ければ近い程、より多くの配慮を与える事が出来る。既に私達が論じて来た様に、配慮が多ければ多い程犬にとって宜しく、反対に犬の方から見ると、快適な犬舎は御主人の家の中が好都合であると言う事になる。

 私達は二つのむしろ新しいタイプの犬舎を私達の成犬の為に完成し、その各々が大変快適である事が証明された。その第一のものは(そして多分二つの中でより良い方のものは)米陸軍軍用犬協会で用いている犬舎と大変似ているものである。それは写真の様に杭棒の上に、地上45㎝程持ち上げた丈夫な木の樽である。それは樽の頭の部分に25㎝X35㎝の入り口を開け補強し、東南を向いていなければならない。約15㎝の直径のある、処分された電話柱の切れ端が立派な杭となる。約6㎜の回転ロットで出来た直径約23㎝の大きな鉄の輪をしっかりと溶接し、杭の囲に嵌め、約3mの鎖で犬を繋ぐ、杭より相当大きくする事により輪は自由に動き、鎖がもつれるのを防ぐ。3mの鎖は犬に充分な運動をさせるだろう。全部の場所或いは少なくとも6m位周りは川原の砂か或いは洗った豆砂利でも15 cm~20 cmの厚さに覆うと良い。水を入れるバケツは牡犬が小便で汚さぬ様、高めに且つ犬が楽に飲める程度の高さに吊るす。鎖がバケツやパイプに打ち当たらない様半径3mの円の外に置くべきである。勿論樽は乾いた藁で良いベットを作ってやる。

 この犬舎は以前に論じた樽の蔭による目蔭迄含んで全ての基本的な基準を含んでいる。このタイプの犬舎は実際に安上がりだし、維持も楽である。勿論その場所は毎日清潔にするのも易しい事である。地面は時折り塩か石灰を撒き、ホースの水で洗い落とす。犬は檻の中に閉じ込められるより、このタイプの犬舎の方を好む。私達はこの様な犬舎を20個も持っており、その中に一年中働いている犬が飼われている。彼等はその犬舎が乾燥し、良く寝られ、充分な高脂肪食を与えられる限り、冬でも非常に元気に働いている。零下の気温も彼等を悩ませる様には思えない。外部の寄生虫は比較的つき難く、内部の寄生虫は簡単に調整出来る。

 今一つの犬舎も、第一のタイプについて記したのと大体同様である。繰り返すが、犬は鎖で繋がれ樽の中で眠る。但しこの場合は差し掛け小屋が使用される。この小屋は2mの高さで、2.5mの奥行きを持ち、東南面が開けてある。小屋の下に、台の上に乗せた丈夫な木の樽が置いてあり、南東に向いている入り口が25㎝×35㎝に、先と同じ様に樽の頭に開けてある。

 小屋の前に約25mの大綱を横にし、両端をセメントの角柱で固定してある。大綱はセメントが固まる前に角柱につけた重い輪のボルトに繋いである。大綱は--それはより合わせた針金でも良いし或は単なる一本の太い針金でも良いが--地面に平に置き、草を刈ったり、その部分を清掃するのに邪魔にならない様にしなければならない。1.5mの鎖がこの大綱に10㎝の鉄の輪で繋がれてある。犬は約3m×25mの運動場で運動出来、これによって彼等を良いコンディションに保つ事が出来る。樽と大綱は犬が簡単に樽に登る事が出来、しかも巻きついたりしない所に置かねばならない。これによって犬が負傷しない予防になる。水は大変独創的な工夫であるジョンソンカップにより与えられ、これは氷結期間を除いて犬に新鮮な水を供給するすべての問題を解決している。このカップは真鍮で出来ており、常に一定の水の高さを保つ事が出来る様工夫されている。それは原則として家禽用であり、多分家禽店やG.L.F飼料店で求める事が出来るだろう。

 大綱は、小屋の後方に高めて置いてあるジョンソンカップに犬が届く事が出来、しかも尚それを壊さない程度に離す様に置かねばならない。小屋の後ろには三つの大きな鎧窓があり、夏にはそよ風を与える事が出来、犬は暑い気候でも特に快適である。この犬舎は良いハウスの根本的要素を与えて呉れるが、建てるのに多少経費を要し、又、他の方法に比し、より多くの手入れが必要である。或る犬は土を掘り、これは更に手間を掛ける事になり、大雪の時等大綱をシャベルで堀らなければならない。しかしこの方法は犬に多くの運動を与え、犬を美しい形に保つ事が出来る。勿論他にも使役犬に対する立派な飼い方はある。しかし基本的な要求が満たされる限り、後は大した事ではない。



Wing and shot


18章
体構の基準(猟野系ポインター)

鼻…色濃く充分に立派に形造られ、大きく広く、然も釣合いが取れ、鼻口部(マズル)の線に従い、僅かに上を向く。鼻口は大きく良く開く。
  (欠点)白か薄い色で、小さく切り落した様な或は貧弱な造られ方、鼻口部から下ったものや、小さな鼻孔。

鼻口部…良く形造られ正方形をなし、下に垂れ下らず、鼻から真直に下り、転じて円滑な弧を画いて、下顎の下に下り、鼻口部の上の線と平行に延び、下面は平であるが、締り過ぎない。
  (欠点)鼻口部の欠如、切り落した様な或は先の尖った鼻、だらしない外見を与える多過ぎる鼻口部、平坦でない底の線。

歯…大きく強く、良く配置され、綺麗に且つ均等に整列する。咬合は下顎歯の上に上顎歯が正しく接し、軽く重る。
  (欠点)整列が崩れる様な混み方、又、歯と歯の間に隙間が出来る様な配置、オーバーショット、アンダーショット(即ち上顎歯が下顎歯の前に突出たり、下顎歯が上顎歯の前に出たりする事)

眼…色濃く、輝きを持ち、余分な混ざりもののない事、眼瞼は眼球に密着し、大きく且つ程良い位置にあり、優しい智的な印象を与える。眼の位置で、所謂ストップ或は頭骨への急上昇が明確であるべきである。両眼の間は軽い谷がある。
  (欠点)淡い色の眼、アーモンド型の眼、豚の様な眼、垂れた眼瞼、第二眼瞼、角度の少ない或は斜の眼、ストップの欠如、印象の無さ。

頭骨…頭骨の線は鼻口部の線と平行であるべきであり、しかも上の平面は長く、そして後頭部で軽い弧を画き、頸の線と一緒になる前に明確な終点を示すべきである。
  (欠点)頭骨線と鼻口部の線が角を成したり、短か過ぎたり、或は扁平過ぎ又は高過ぎ明確な終点なく、だらだらと頸に移行する様な事。

咽頭と頸…咽頭はすっきりとし、優雅さを示し、頸は長く弧を画き、筋肉が良く発育し、しかも円滑であるべきである。
  (欠点)詰った咽頭、或は顎の下に過度に垂れた咽頭、短くずんぐりした頸、
  肩から持ち上りの少ない頸。
耳…眼の高さに位置し、頭骨に密着し、優美にしかもハウンドの様な、だらしなさが無く垂れ、軽く先が尖り、鼻口部の末端迄達し、きめ細かく、完全に毛で覆われて居り、通常きちんとした機敏な外見を持たねばならない。
  (欠点)余り高過ぎたり、低すぎたり、過度に折れていたり、円過ぎたり、長過ぎ短か過ぎたりするもの。

頭部一般…全てを通じて上品さを示し、横からは明確な目鼻立ちを示し、良い角度、心地良いバランス、躯幹に対する立派な調和を持ち、前から見ると鼻口部は頭部と明白に区別され、くさび型であってはいけない。
  (欠点)グレイハウンドに見られる様なピリッとした外見、或はブルドッグにある様な短いずんぐりとした外見

肩…頸と背部にスムースに続き、優雅な角度を持ち、肩甲骨は頂上において近接し、躯幹にしっかりと着き、筋肉が良く発達し、しかもスムースな外見を持ち、前から見ると前肢の方向に平行であるべきである。
  (欠点)持ち上ったり、下ったり、背線としっかり密着していない緩んだ肩甲骨、外に張り出したのや、前から見て余りに貧弱なもの、筋肉の発育の悪いもの、粗野なもの、優雅さの欠如。

前肢…肩から真直ぐに下に延び、互に平行である。肘は優美さを現わし、スムースに胸に移行する。筋肉は良く発達しているべきで、骨は立派且つ適当であり、膝関節は円滑でパスターンは長く、前に軽い角度を持つ。全てが躯幹と良い比率と調和を持たねばならない。
  (欠点)前から見て内転、外転、粗野な増大した膝関節、骨の大き過ぎ、小さ過ぎ、緩い或は曲った肘関節、パスターンの短か過ぎ、或は真直ぐなもの、脚が長過ぎ或は良くある短か過ぎるもの。

胸部…胸は大きく、澱みなく、身体の全ての部分に円滑に移行する。肋骨は平に良くしない、長く深く、胸はまろやかに肘関節より心持ち下迄そして前方は前肢の所迄良く発達すべきである。胸廓は広く、樽形に良く発育し、犬で最も良く目立つ所である。そして優雅に後方にのび、腹腔に巻き上る。
  (欠点)浅い胸、ひょろ長い胸、狭い、短い、粗末な胸、過度に広く、小さく尖った胸、不規則な胸底、前が陥んだ胸。

背部…強く、筋肉が良く発達し、体の他の部と円滑にそしてきっちりと結び付き、適度の長さを持ち、肩から出発し、ひじ迄傾斜をつける。但しそれは明確な弧であって尾のつけ根迄続き、しかも過度であってはいけない。背部は又広く強い力を示し、調和と優美さを与える。
  (欠点)平な背、狭い弱い貧弱な発育、下った臀、極端な弧、前方の貧弱な取りつけ方、短か過ぎ又良くある長過ぎ、腰部や股関節を越した背骨の出っぱり。

後脚…強く、角度と走力を示し、体の後部と密接に結びつく。腿は真直ぐ下り、後膝関節において相当な角度で後に曲り、飛節において再び真直ぐとなる。後から見ると腿と後膝関節は一寸外に曲り飛節と共に真直ぐ下りる。骨は立派で且つ適切であり、関節はスムースで長径は長く、但し過度でなく、良い比率と調和を持たねばならない。
  (欠点)発育の不全、角度の欠如、粗野な或は優美さの欠如、粗末な関節と骨、後から見て過度の屈曲、或は優美さの欠如、最も良くありそうな牛の飛節、或は飛節の内曲り、長過ぎたり又良くある短か過ぎ。

尾…高く挙り、動作中も高く保持し、活気を持ち、背線より高く、根本はしっかりと、然も立派な先端に向って次第に細くなる。長さは大約飛節に達し、真直ぐで強い。
 (欠点)低い尾、活気の欠如、短か過ぎたり、良くある長過ぎ、粗末な気力の無さ、長過ぎたり粗末な毛、鍵の様に曲ったり又その他真直ぐでないもの、しかしポイントに際して前方えの多少の曲りは別に異議を立てる事はない。

足…前及後足は大きくしかも可成りしっかりと形成され、指は長く、程良い角度と弧を画き、二本の中指ははっきりと前方を向き、かがとは厚くしかも柔軟で、爪は良く発育しているべきである。
 (欠点)詰まり過ぎたり猫足(詰った円い足)緩過ぎたり指が開いたり、弧の欠如或は平な足、鍵の様に曲った指、指の間の毛の不足、貧弱な踵、扁平足(それは異常に平になったり開いたりしたもの)

毛皮…立派な肌理、そしてどっしりとしかもさっぱりと小奇麗で外見輝きを持つべきだ。
 (欠点)ハウンドの毛皮、粗野なもの、末端におけるみすぼらしさ、輝きの欠如。

色…承認されているのは白を基本としてリバー、オレンジ、レモン或は黒である。しかし遺伝的な優性は白である。色のついている区域は明確で且つ密であり、若し黒なら漆黒、リバーなら深く濃いチョコレート褐色、オレンジなら深い濃いオレンジである。黒斑のポインタは鼻とか指の爪とか( )に黒い点を持つべきだ。リバー斑の犬は濃い眼を持ち濃いリバー点を持つべきで、オレンジ斑の犬は濃い眼を持ち濃いオレンジ点を有すべきである。
 (欠点)過剰な斑点、過剰な小斑、洗いざらした様なリバー又はオレンジ、薄い或は軽い色斑、風変りな或は魅力の無い斑点、例えば目の囲の小さい小斑、まだら等。

足どり…スムースで優雅然も偉大なスプリングと推進力を持って力強く、物凄い活気と美しいスタイル、頭と尾を高く挙げて走り、尾は終始変らぬ動きを持ち、全てのジャンプに心地良くムチ打ち、常に背線の上にあり、歩  幅は長く、偉大なスピードでグランドを走る。走行やトロットの時は動き  は平であり、全力での走行の時は犬は高級な姿勢と、崇高さを持つべきで  あり、しかも尚地表に密着し、所謂突進とか疾駆力と称する言葉を得られる様でなければならない。
 (欠点)過度の労作、過度の上下、揺イスの様な動作、スピードの不足、スタイルの欠如、低い尾、ものうげな尾、低い頭、ものうげな大股な走り方。

一般的な外見…上記の全ての性質は良く結びついておらねばならず、結果において優雅で、比率が取れ、見る目が快く、適切に調和が取れているべきであり、サイズは過度でない限り余り重要でない。
 
  牡犬で大体23kg~27kgの間であれば適当である。大きな犬は彼が優雅で足どりが軽い限り、捨てられるべきでない。サイズを無視して、彼は完璧な統一と一緒になった優雅さと、性格を示すべきである。彼の筋肉は良く発育しているべきで、且つ多くの洗練と造作とそして調整を示すべきである。
  (欠点)バランスの欠如、統一の欠如、大き過ぎ小さ過ぎ、離れ離れの外見、優雅さと美しさの欠如。


Wing and shot

第17章
体  構

 犬について体構と言う言葉は彼等の外観、即ち身体的の構成を現わしている。全ての身体的な特徴が、彼の体構を作り、そして外観を作る。その犬の目の色から始って尾の形に至る迄の全てのものを含む犬の特徴は遺伝的なものである。このように体構の問題は、作出の一つの課題に絞られて来る。私達は、食餌と飼育のコンディションは、犬を適切に発育させるのに妥当なものであると想定したが、犬の体構は全く彼の遺伝に基くものである。かなり純粋な系統の場合、或る体構的な性質が同じ犬種の中での他の系統に対し特色となっているように思える。或る時にはこの性質は良いものであり、時にはいけないものもある。標準を打ち樹てる場合、何時の世のブリーダーでも何を求め、何の特徴或は欠陥を、彼の系統から取り除かねばならぬかを正確に知るべきである。

 標準というものは、多くのブリーダーの結果が密接に似ているように統一されなくてはならない。この事は系統外との交配(異種交配)の際に特に望ましい事である。不幸にも、猟野系の犬のブリーダーは、公認された体構の標準を樹立していない。ベンチ系の犬の作出においては大変詳しい標準を持っているが、これは何故かと言うに、それが彼等の唯一の作出プログラムだからである。彼等によって作出された犬は、品評会において、この標準の上に立って審査される。貴方は多分「よしよし、私は猟に使う犬が欲しいので、特別に犬の外観等は気にしない」と言うだろう。それに対する私の答えの第一番目のものは、貴方の犬は、貴方が彼に要求する多くの事柄を為すような身体的な可能性を持つ為に、立派な標準を作らねばならぬという事である。例えば貴方は多分犬に持久力を期待し、1日に何時間も更に引続いて何日も猟をするよう期待するだろう。この為には、彼の体は正しく構成されておらねばならない。貴方は多分、彼に速く、円滑な、素晴らしい走法を期待するだろう。繰り返すが、その為には、彼は正しく作り上げられておらねばならない。貴方は彼に何年もの間、猟をしてくれる事を希望するだろう。もし後の肢の裏や脚、そして躯幹が適切に形造られておったら、彼はこの期待を満たしてくれるに違いない。

 何故犬が立派な外見を持たねばなないかという第2の理由は、単にそのような犬を所有する事の真の誇りと楽しみの為である。私の知っている殆んどの狩猟家は、猟犬は如何なる外見をしておらねばならないかという点に関し、大変立派な意見を持っているし、彼等はそのような犬を一目見ただけで素速く認める事が出来る。そのような立派な体構の犬を見守る事によって大変な喜びを得るのみでなく、そのような素晴らしい犬を所有する事で、貴方の自尊心をも大変満されるに違いない。又記憶しておいて欲しいのは普通の外見の犬も、立派な外見の犬と同じように食物を食べるということである。美しい犬は馬鹿だと言う、犬についてのナンセンスを信じてはいけない。それは犬においても、人におけると同様真実ではない。ブリーダーは犬の外観を軽視する事なく、立派なフィールドの演技犬を作出するよう努力しなくてはならない。私達が似前に論じたように、ベンチ系のブリーダーは殆んど完璧に体構についての作出を為している。

 これに反して、フィールド系のブリーダーは体構について決して十分な考えを持たずに作出して来た。このような方法による両グループの何年かの作出の結果は、全く異なったタイプの犬達を作る結果となり、これは殊にポインターやセターにおいて著しい。ベンチ系の犬のブリーダーによって用いられていた標準の正確さについては、疑問があるように思える。このような標準に、何年もの間従う事によって生れた犬達は、猟野において立派な体の体構を生み出すようには思えない。私自身の観察によれば、ベンチ系の犬はフィールド系の犬の持つ走法の円滑さと、スピードを欠いているようである。彼等は通常無器用で、優美さが無い。又普通に言われている底力や持久力が欠如している。この一部は人間の態度や気持の結果ではあるが、やはりそれは身体的な基本を持っていない為である。繰り返すが、走る力と持久力を決定するのは、身体的な構造即ち肺活量、しょ、脚、そして背骨の構造等である。貧しい体構の要素が、猟欲に対する完全な無関心と一緒になって猟野の仕事にあまり適さない犬の系統を作り出す結果となったのである。

 単一な体構の目的だけの作出は、以下に載せたロンドンサンデータイムズ1964年2月9日号の前の方の頁にある「ケンネルクラブヘの警告」と題して、アントニイ・カウディ氏が書いた記事の抜粋により明かに立証されたように、厳しく訂正された基準が必要である。

 “100以上の作出団体は、ショーの基準に要求された「立派な線」に達すを為に行なわれた、雑然としたインブリードに起因する登録犬における、沢山のそして痛烈な奇形を、間もなく公に見せつけられるであろう。
 “永年に渉り、外科医と猟野系の作出者の圧力を受けた後、ケンネルクラブはその加入団体に対し、この問題についての徹底的な調査の結果を与える五つのパンフレットを配布させるのに同意した。彼等は最も拡がり、そして痛烈な状態の五つを扱い、それ等が最も普及している犬種の名を挙げる  だろう。
 “クラブが、営利上の作出に対して取締りを行なう事によって、幾つかの一般的な作出団体に対して解散するよう忠告をなすべく期待されている。
 “パンフレットに含まれている英国家畜用小動物協会の調査レポートは、100人の獣医が6ヵ月に渉って120種の品種を調べた中で、僅か17種のみが、遺伝的な欠陥から無事であった事を示している。20以上の種類が実際的  に軽微な奇形を持っており、残りは全部が相当酷い欠陥を持っていた。
 
 報告されている障害の中には「軟口蓋の延長」が含まれているが、口蓋の縮小を調整することをしない選択作出によって、犬の頭蓋は短くなって来ており、それによって咽頭が妨げられる事になり易い。他の障害は眼瞼の内反(主に中国犬、スパニールやゴールデンレトリバーに顕われる)、膝蓋骨の移動(小型や愛玩用のプードル、ヨークシェアテリヤ、グリフォン)、股関節発育不全(セパードの一種のアルセイシア、ラブラドール、ボクサー)、進行性網膜萎縮或は進行性の盲(愛玩用のプードル、ラブラドール)等である。私はこれと同じような基礎的条件が、我が国のベンチショーの標準に存在し、一般的な作出プログラムは全く同じであるか、或は殆んど似たようなものであると思う。

 同じような理由で、フィールド系の犬の多くのブリーダー達も、お互に異なった方向にあまりに遠く行き過ぎている。彼等はそれぞれ自分の作出目標の或る性能に専念し他のもの例えば外観のようなものは完全に無視している。殆んどのフィールド系の犬達が、身体的にうまく造られているにしても、スピードとか優美さとか、持久力等が考えられる限りにおいて、彼等は如何なる体構の基準にも合致していないのである。彼等は猟欲、ポイント、鼻、そして決断力等に注目し、シューティングドックとしての自然の才能を保存している。


 しかし彼等は一般的な外観の性質を明かに欠いている。二重の犬即ち品評会と猟野競技会の両方に適する事が出来るような系統を作ろうと試みるブリーダーもある。何人かの人がかつて成功したことがあるが、ここ30年か40年の間には、私の知っている限りの中ではいない。その理由として、二つの目的は何時も遙かに離れて延びて行くように思われ、何れのグループも、他の目的と喜んで妥協しようとしないからである。いわゆる品種のスタイルチェンジと言われるもの、或は円満な作出プログラム無しに特殊な目的にのみ作出した一つの例がアイリッシュセターである。昔、この犬種は大変有益なシューティングドックであった。しかし、その最も立派な性質、即ち美しい赤い毛皮が明かに滅亡に陥れたものである。

 ブリーダー達は、あまりに犬の外見である皮とか毛とか色とかを美しくする事に熱中した結果、良い鳥猟犬を構成する他の性能を全くなおざりに付したのである。ブリーダー達のこの盲目的な追求の結果、今日ではアイリッシュセターは猟に用いたり、猟野競技に用いるにはあまりにお粗末なものとなってしまった。

 私はアイリッシュセターの猟能を回復させようとしている多くのブリーダー達の、気高い努力に対し感服している。それは仲々上手くいっているように思えるが、これ程の打撃が徒に加えられたという事は確かに恥辱だと思う。フィールド系のポインターやセターの多くのブリーダーは、レンジとか、判断力とか、自主性等に関して、気まぐれな、一時的なスタイルチェンジに悩んでいるように思える。これらのものは勿論重要な性能には違いないが、他のものを犠牲にしてもと考えるべきではない。私は如何なる特別の性能も強調し過ぎてはいけないと信じている。今日或るブリーダーは、犬が極端なレンジを持たない限り満足しない。フィールド・トライアルの一例として、レンジは他の重要な性能を犠牲にしてまで、過大な評価を与えられている。これは明かに道楽的なものであるが、もしこのような事が、一般的にブリーダーにより行なわれた場合、この犬種が受ける打撃について考えても見給え。

 一つの要素或は二・三の要素のみの為に他の全ての重要な事柄を無視した作出は、近視眼的な近付き方だと思う。犬のブリーダー達は現存しているが、それは或る場合は数百年も古い犬種の年令から比較すると短いものである。この犬種は私達の世代の楽しい猟野を通り過した後も尚、綿々として続いてゆくのであろう。従って今日における犬の作出者は、先の世代の作出者から手渡され、それを私達は順次に次の世代に手渡してゆく、単に当世における犬種の管理者である。私達は一緒に、この非常に有益な世襲財産についての注意と、保護と、保存とを、私達の生涯の間委託されている。このような考えを心の中に持った時、私達は果して自信を持っているだろうか。又、本質的なチェンジや、又、与えられた如何なる品種を変更するにしても、遺伝的に正しいであろうか。私達が加える如何なる変更でも、その品種にとって最高の有益さを持たねばならず、気まぐれや一時的な、或はスタイルチェンジであってはならないと思う。

 私達は近視眼的な作出によって、犬の品種が僅か数代の間に可成り変更されるのを見た事がある。その結果時によると、永い年代の間の多くのブリーダー達の莫大な仕事を、僅か数年で恐ろしい迄も破壊してしまう事がある。今日発展している犬の系統は永年に渉って一段、又一段と、その権勢を築き上げて来たものである事を記億しなければならない。猟野系の犬の作出においては幸福な妥協点がある。素晴しい性能の全てが、良い外観の犬を産出する際、保存され立証されていけない理由は何も無い。これには明かに更に多くの選択を要し、又問題を複雑にするけれども、それでも尚可能である。私が見た或る血統の牝と牡とは、その子孫に大変望ましい外観を残すのを常としている。もし、長期に渉る選択作出計画が行なわれたら、これは不必要なことである。

 猟野における演技の基準と一緒に、体構の基準も又適用され、敬虔に従わねばならないという事をお奨めしたい。私達は猟野における基準は如何にあるべきかは知っている。それは私達が今迄既に論じて来た全ての性能を含まねばならず、性質、鼻、ポイント、決断力、走法、スタイル、性癖、猟欲、智力そして持久力等の自然の気質を取り扱うべきである。エルフュー犬舎では私達の作出の仕事を簡単にする為に、個々の犬の体構と演技の両方を数字で評価出来るように、評価表を用いている。実際上の交配は、その当座において個々の人々が、それぞれ犬達について評価した上での事であるにしても、これらの評価表は過去に行なわれた交配の結果の永久のレコードであり、このようにして将来の作出についても大変有益な案内を提供する事になる。完全なポインタを形造ると思われる身体的な性質を紙の上に書き現わす事は、丁度美しい顔の身体的な構造を記述する事が出来ないと同じように不可能であろう。

 一般的な場合、犬が持っている持久力の総計の基となる身体的な性質は何であるかを私達は知っていると私は考えるが、私はそれが正しいと過信はしていない。何が犬に円滑な走法を齎すかを私達は知っているけれども、簡単に述べる事が出来るもの以外に、尚多くのものがあるような気がしてならない。如何なる事があるにせよ、次の章における私の記述や大約の基準は、真偽の程は分らないにしても、私達が用いているものである。これによって一般に形造られるポインターを作る事により私達は満足している。


Wing and shot


第16章
シューティングドックの作出

 自分は鳥猟犬の作出には、あまり関心は無いのだと貴方方は考えているかもしれないが、貴方にとって大切な事は、貴方が購入した仔犬は良い系統であり、或る日多分貴方は、犬を作出しようと決心するだろう事を私は知っているのである。何れにせよ、私はこの章で鳥猟犬の作出に有益であると思われる知識を述べてみよう。実際に立派な鳥猟犬の全ての望ましい才能は遺伝的のものである。これは又、望ましくないそれについても真実である。遺伝的でない性格は環境とか人為的なものの結果である。眼の色、鼻、毛、皮膚等のような形態の特質は、骨格とか歯の形等と共に遺伝的な素質である。

 犬の性質は一部遺伝であり、一部は環境の結果である。シャイとか卑劣さ等の性質は、走法スタイルとか頭、尾の態度、歩幅、スピード、そして持久力等と同じように遺伝的な特徴である。決断力、叡智、安定性、そして勤勉等は一部か或は全部遺伝である。嗅覚能は天賦のもののように見えるけれども、この感覚を如何に、より有効に用うるかという犬の智力の結果である。同じ事がレンジについても言える。レンジが遺伝的であるとは一寸ありそうに見えないが、しかし私の経験によれば、確かにこの可能性を支持したいと思う。勿論それは広いレンジの犬を作るところの決断力、自主性そして大胆さ等のような性質の変形であるだろうが……。

 体構と自然の素質の章を読まれた後に、貴方は理想の犬の概念を心の中にしっかりと固定しなくてはならない。これがやがて目的物や標準になって来て、作出目的の為の個体の選択決定の際に用いられるようになる。ブリーダーとは先ず第一に、彼は何を目的物として作出しようとしているのか知っている人であり、第二に、その目的物を、良く準備され、長期間に渉った賢明な作出予定を用いる事により、作り出す能力のある人である。もし彼が、自分の標準として樹立したタイプの犬を年々、又何代にも渉って、一貫して作出することが出来るならば、私の定義では彼は犬の作出者と言える。

 今日米国内には、真のブリーダーが幾人かいる。いわゆるブリーダーは上のような意味で、真のブリーダーとは言えない。彼等は予め予想された何のプランも持たず、殆んどの場合明確な目的さえも持っておらない。彼等の交配には、注意深いプランが無く、血統に対する関心が薄い。彼等は唯単に自分達が良い犬を持ち、他の友人が別の犬を持っているというだけの理由で、目先の簡単なプランにとびついてゆく。彼等はその二者の交配によって、平均以上の仔犬を得られる筈だと断定する。もしそのような交配により、素晴しい犬が生れたならば、それは殆んど偶然である。もしその両者が関連の無い犬であったならば、これは所謂アウトクロース(異種交配)であり、全く関連のない牡と牝が交配された場合、その仔が両親に似る筈が無い(稀にはそのような事もあるが)。私がよく知っている動物のすべての立派な系統は、長期間の作出プログラムの結果であり、例外なく系統繁殖か、近親繁殖の何れかを含んでいる。此処で私はこれ等の言葉の定義をしなければならないが、或はウエブスター氏にそれをして貰おう。

系統-- 家畜においては、その種属を構成するのに十分な特徴を判別するのとは別に、普通の系統を持っている。
系統繁殖-- 或る望ましい特色を固定する為に、その系統の中の立派な世代の間で行なわれる繁殖や交配。
近親繁殖-- 有益な特色を保存し、或は固定し、有害なそれを排除する為に近親の個体、或は系統の間で行なう繁殖や交配。

 素晴しい乳牛の繁殖において、賢明な作出プログラムの結果は非常にはっきりしている。例えば、ダンローゲン、パプスト、そしてカーネーション等の有名な系統は30代40代に渉る注意深い系統繁殖や、近親交配を説明している。その結果は勿論記録により素晴しいものである。

 記録が私達の地位を明確に立証して以来、私はこの作出の形の真価を裏切ろうとしないだろう。或るタイプのものを本当に作り出す純粋な系統を如何にして発展させるか、という事が問題である。

 先ず第一に、私達は自分達の標準を樹立しなければならない。もし或る他のブリーダーが同じような標準や目的への作出プランで出発していたら、全ての意味において、それを利用したら良い。彼の系統の作出犬を用いる事により、何年もの作出結果を表現している先発の恩恵を獲得する事が出来る。もし現存している系統にあなたの標準に合致するものが見出し得ないとしたら、二つの系統を結びつける事により、望ましい結果を得られるかもしれない。例えば仮に走法、鼻、猟欲等において優れた系統か一族を見出したが、しかしどうしても外観が気に入らないというような場合には、外観において優れた他の系統を見出さねばならず、これは少なく共、他の性能においても同じような事である。この二者を用いて作出し、その結果の最良のものを貴方の系統の土台に用いて行く。(もしあなたが彼等を系統の土台にしようと思ったら、素晴らしい犬だけを選ぶことだ)。

 ライン・ブリーディングにせよイン・ブリーディングにせよ、この両者においては良い性能も、悪い性能も強調されて現われて来る。代を重ねて作出して行く内に、望ましからぬ性能は切り捨てる事が必要であろうし、非常に素晴らしい犬だけを用いるようにしなければいけない。時には全部の仔犬や、立派な性能がある故にとっておいた犬迄も捨てることが必要になるかもしれない。もし彼等が、これ等の性能を子孫に再現させ、或は伝える事が出来ないならば、彼等は不運乍ら将来の作出に不要であるからである。

 私が今持っている系統をこの種の作出によって発展させて来るのに27年を要したが、実際の選択に際しての悲しみに、何度か苦しんだのを信じて欲しい。

 この種の作出においては、どうも隠れた劣性の因子が遺伝されるように思える。丁度一例として私は自分の系統をレキシントン・ジェイクという大変素晴らしい犬を土台にして作り上げた。彼は気品高く、堂々と生れ、何れの観点からも偉大な犬であった。彼は同時に優性の因子を持ち、彼の性能を遺伝する能力を持った父親であった。私は自分の持っている一番良い台牝を彼に交配することによって自分の作出プランを出発した。その結果生れた仔犬の中の一番良い牝が、レキシントン・ジェイクの息子を生み、ターヒーリアス・ラッキー・ストライクと命名された。    
          文中の血統を図示したもの--訳者注--

レキシントン・ジェイク
ターヒーリアス・ラッキー・ストライク
ターヒーリアス・ベスト・ペット
エルフュー・レッド・ドック
レキシントン・ジェイク
エルフュー・ウィーラ・ウェイ
ターヒーリヤ・ウイン
レキシントンズ・ラッキー・トリガー
ジェイクス・スタイリッシュ・ドクター
レキシントン・ジェイク
クイーン・ジョセフィン
レキシントン・クイーン・アン
フランク・オブ・サニロン
エルフュー・ミッディ
ジェム・オブ・ファーン


 ラッキー・ストライクはナショナル・チャンピオンシップで3回勝利を得ている。この仔犬の中で最も素晴らしい牡のエルフュー・レッド・ドックはレキシントン・ジェイクの他の娘と交配している。仔犬の中で一番良い仔を注意深く選んでゆき、常に同じ標準を用いてゆくというプログラムを何代にも渉って続けられた。次第に望ましからぬ素質が現われて来る。その中で特殊なものの一つに鍵のように曲った尾がある。然もそれが非常にしばしば現われ、多くの立派な犬を捨てるのを余儀なくされた。私はこの特徴を系統から完全に取り除こうと望んだ。年が経つにつれて次第に少なくなり遂に全く姿を消した。今日では出る仔犬も、出る仔犬も美しい真直な尾を持っている。これは正に捨て去ったり、断種したりする事が必要な、望まれざる素質の一つである。

 一方において全ての望ましい素質は加速度的に強化されて来た。今日では、私はこの系統により仔犬を作出し、交配の結果生れるものに実際に保証することが出来る。換言すれば、私の犬達は一つの型に対して正直に作出され又は系統が純粋であるという事である。この作出が如何に近親を用いて為されたか、不思議に思われるだろう。この質問に対して単純な答えというものはない。それはテストと間違いの仕事である。

 或る基礎犬の頭首や個体は、他のものより遺伝への偉大な能力を持っている。或る系統は他のものより良いものを作出する。或るものは近親交配した後に捨てられ、一方他のものはうまくゆく。同系交配とか近親交配は犬を弱くするし、近親交配による犬は、或る、又は他の素質を欠いている等と言われてきている。しかし記録は全く別の事を証明している。もしそのような事が起ったとしたら、それは交配に対する浅はかな選択と、愚かな判断の結果であるに違いない。

 私がかつて育てた非常に立派な犬の一つは、その祖先に、かの有名なレキシントン・ジェイクの名を19回も数えることが出来る。彼は大胆で強く、あらゆる観点から見ても立派であった。サイズの点から言えば、彼がアメリカン・フィールド・フェザント・フチュリティーに優勝した時は30kgであった。その犬の名前はエルフュー・マーマヂュークである。もし貴方が犬を作出しようと思うならば、自分の標準を形成しない子孫を捨てるのに完全に冷酷でなくてはならない。段々と新しい血液をあなたの系統に注入する事が好都合である事を発見する事だろう。貴方がこれをする場合は、一番有益だと考えた一番良い系統から送られてきた3頭か4頭の牝に、貴方の処の一番良い種牡を入種する事である。そしてその各々の場合の仔犬をよく観察する。もし1頭の仔犬が素晴らしかったら、他の牝親達や、その仔犬達を捨て、素晴らしいと思った胎の仔犬の中から立派な牡と牝を採り、将来の作出犬として残す。如何なる事情があるにせよ、その犬達が唯単にあなたのスタンダードを満すのみならず、素晴らしい個体であり、貴方が望む全ての天賦の素質を持っていると確信出来る迄は、決して種牡としても台牝としても用いてはならない。結局には貴方の作出に再び出現するであろうと思われる特色は多分第1代目には出ず、多分第2代目、或は更に3代か4代も後になって現われるものである。

 牝犬が猟野で酷評されなかった場合は、彼は良い台牝になるだろうと人々が言うのをよく聞くことがある。これは勿論誤った声明に外ならない。もし牝犬がガンシャイになったならば、彼女は全面的に台牝としてのみ使用されるだろう。猟野の仕事に不適な犬が沢山いるという事は、何と不思議な事ではないか。一番立派な犬のみが作出に用いられるべきである。これが選択交配と言われる理由である。良いものは良いものから生ずる。多分直接ではないかもしれないが終局には……。

 この点について私は訓練しようと思う仔犬や、作出系統への案内の為に、血統について論じてみようと思った。しかし私がこの概念を組織的に纏めようとし始めた時に、それは大変複雑になり、又多くの友人達をそれに巻き込む事になってしまったので、私はそれを止めようと決心した。今日一般的な、そして親しまれている系統は殆どが立派であり、その全てに良い犬がいる。根本的な違いというのは、多分良い犬が出る率が、或る系統では他のものより高いという事だろう。多くの血統に頭を突込まない今一つの理由は、全ての人が犬に同じような性能を求めていないからである。例えば、あなたがセタの良いグラウス犬を欲しいと思った場合には、丁度それに合致するような犬を持ったブリーダーがペンシルバニアに沢山いる。しかし貴方がメジャーサーキット・トライアルに向く仔犬を望む場合は、それ専用に向くような血統を持った他のブリーダーが主に南部にいる。同様の事がポインターについても言える。この点についてブリーダーと論ずる場合にはむしろ、貴方が興味を持った犬種と反対の犬種のブリーダーと話しをした方がよい。何故かと言うと、貴方がセタを望み、その血統について見聞を広める為にセタのブリーダーの所に行ったとすると、必ずしも故意ではないにしても、彼のアドバイスは先ず疑いなく偏見を持ったものであるに違いないからである。しかし、これに反してもしポインターのブリーダーの処に行ったとすると、少なく共彼の近在においては、セターの系統や、ブリーダーについて詳しいだろうし、貴方にとって大変助けになる筈の客観的な意見を与えてくれることは確かだろう。

 今一つのお奨めは、猟犬の為に毎週発刊されているアメリカン・フィールド誌を勉強することである。住所は、イリノイ州シカゴ市西アダムス通り222番地、アメリカン・フィールド・パプリッシング・カンパニーである。この組織は又猟野系猟犬血統登録を保有しており、それには殆んど総てのフィールド系指示犬が登録されている。この組織は目下ウイリアム・F・ブラウン氏により見事に運営されている。貴方はこの刊行物の中に大変な智識を見出し、楽しく読まれるに違いない。

 作出に関して最後に一つ思う事は、今日多くの成功したブリーダーの殆んどによって認められている現象であり、それはすべての作出プランに常に影響を与えている。

 この現象は或る時には「種属の歯歩め」と言われているが、自然の均衡化への傾向であり、平均への持続的な傾向である。人類の場合、背の高い人は普通やはり背の高い配偶者を求め、又逆もその通りである事を知っている。もしその結果の子供が両親と同じように、或はより以上に背が高かった場合、又背の高い配偶者を求め、理論上、私達は間もなく巨人の系統を持つ事になるだろう。こんな事は起らないのを私達は知っている。その理由は均衡への遺伝的の傾向があるからである。背の高い人の子供達は殆んど常に、彼等の両親の背の平均より低いだろう。同じような事が背の低い人にもあてはまる。2人の異常に背の低い人の子供達は殆んど常に背は高くなる。勿論各々のルールの例外はある。この繁殖時の作用は、人や動物のすべての知られた特徴に明白に現われる。今日私達が知っている家畜の品種は、人々によって何千年もの年月を導かれてきた選択繁殖の結果なのである。これらの品種は、人間の介在なしに存在して来たと仮定した場合の本性とは異ったものである。長い間に樹立され、固定された特別の家畜を並べたててみたところで、もし家畜が人間の影響を離れて繁殖するのを許したならば、彼等は又、元の普通の祖先に戻ってしまうだろう。その品種が如何に古く、又長く時日を要したとしても、要するに時間の問題である。長い年月の間にたくさんの家畜が人間に見捨てられ、そしてそれらは生き残り、産出を続けるようにどうにかやって来た。多くの年や代を重ねた後に見附けられた時には、その特徴は事実上彼等の普通の祖先の方向に変化してしまっていた。これは犬においても真実である。もし50頭のグループのグレートデンが無人の離れ島で繁殖することを許されたならば、100年程経った終りの頃には私達が今日知っているグレートデンには、ほんの少しの類似点しかないだろう。この種属の歯止め現象が、すべての交配に存在すると仮定した場合、選択的な系統繁殖や近親繁殖は平凡な犬になろうとする傾向を阻止する唯一の理論的な方法ではないだろうか?

 もしこの憶測が妥当であるとしたら、相当の智識と又、経験なしには異系交配の余地はないということになる。インブリードやラインブリードの排斥者は、ほんの少しでも良いから、この刺戟的な説を承認しなくてはいけない。この事は(完全に無意識でなくはないのを私は認めるが)疑なく多くのブリーダーに論議を沸騰させた。私達シューティングドックのブリーダーの全てが、全く同じような目的を持っている以上、確かにどのブリーダーやどの作出理念にも、それを非難するのは私の本意ではない。

 この本の中に書き貫かれて来た犬は、私達が常に作ろうと努力している犬であり、それは私達の最終の目的物である。私達は未だかつて完璧な犬、というものを作った事もなく又、見た事もないが、率直に言って、それは決して為されない方が良い。何故ならば、追いかける事がなければ、スポーツは存在しないだろうからだ。どんな事があるにせよ、犬の作出という偉大なスポーツに従事している、或はこれから入ろうとしている人々の全てに幸運が訪れるように祈る。


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第15章
プロの訓練

 全般的に言ってプロの訓練者は大変重要な人々のグループである。彼等の間には他の幾つかの社会に見出されるような親愛の情がある。そして、その各人は犬を散歩させ、チャンピオンシップのフィールドにおける完全な演技犬という通常の決勝点に向かって努力を捧げている。私が知り合いになった殆んどの訓練者は、フィールドにおける成功によって、犬の訓練よりも多くの経済的の報酬を獲得している。その代りに、彼等は、スポーツと犬と戸外運動に対する尽きる事のない愛情を、人生における唯一の道に捧げる事を余儀なくされている。そして無視する事の出来ない事実として、素晴しい訓練者の背後には、協力と理解と忍耐とで、彼の経歴を成功させるのを援助した奥さんが、例外なくいることである。貴方の犬をプロトレーナーの所で訓練したら良いか否かを定めるのは私ではない。これはあなたが犬から何を期待し、どれ程の時間と金を、この最終産物の為に費すか、という質問なのである。全ての鳥猟犬飼育者にとって、プロトレーナーに依頼する事なしに、素晴しい結果に到達する事は可能である(勿論それを正しく行なった場合であるが)。

 もし貴方がこの本の中で勧められているように、犬の為に時間を費す用意が出来ないならば、あらゆる意味においてプロトレーナーに彼を訓練して貰った方が良い。犬の所有者が、プロトレーナーによって加えられた訓練の結果について不平を言うのをしばしば聞くことであるが、しかし彼等に対して疑問を投げかける場合には、そのトレーナーは唯単に犬を2~3ヵ月預ったという事であり、その間に所有者は全く完全に訓練され終ったシューティングドックが出来上ることを期待すると言うことになる。多くの場合犬がプロトレーナーに委ねられる場合、既に半分は駄目にされ掛かっている。プロトレーナーは、この本に記載してある事と全く同様な仕事に従わねばならない。それは多分非常に永い年月を要する事だろう。犬の訓練には決して省略という事はあり得ない。世界中の立派な訓練者は皆、貴方がそうであるように、沢山の仕事と時日を掛けなければならないのである。

 私は単なる一時的の訓練者が、進歩しつつある若犬の段階の仕事を省略しようとするのを見た事がある。このような省略についての極く一般的のものは、犬のコンディション調整について、何頭も一緒に走らせたり、革具をつけて牽き運動をさせ、それから、養殖鳥とか鳩に当てて調教する事等である。そして犬は訓練されたと考える。成程、彼は訓練されたに違いないが、しかし彼は決して進歩していない。彼の天賦の性質とか、猟欲等は決して十分に実現されていない。これ等は自然の猟野における実際的な猟によってしか得られないものである。これには時間も要し、大変な仕事である。殊にフィールド・トライアルにおいてそうである。もし貴方が御自分の犬をプロトレーナーに委ねる決心がついたら、彼の進歩の何の段階においてでも良かろう。

 殆んどの訓練者は仔犬を引受ける場合には、以前に彼等の仕事を大変困難にするような障害があったかという事を大変心配する。もし貴方が、私の奨めるような方法で発育させることが出来たならば、殆んどの訓練者は彼の訓練を喜んで完成する事が出来るに違いない。あなたが訓練者に犬を渡す際には、今迄どのように訓練して来たかを詳しく話し合い給え。そして彼と一緒に、あなたの今迄の命令をやって見せ、犬を働かせるのを見て貰い給え。貴方も彼も同じ用語を用いるよう注意しなくてはいけない。そして両者共可能な限り犬を似たような方法でハンドルしなくてはならない。同様の事が彼が戻って来た場合にも言える。犬を自分一人で働かせようと思う少なく共1日前に、訓練者と一緒に犬を働かせるようにし給え。

 訓練者に犬を渡す際、今迄犬と一緒にいて、何か特別な問題があったとか、訓練者の今後の訓練に影響すると思われるような、今迄起った事を彼に告げるように注意し給え。これらの事は彼に大変手助けとなろう。訓練者に対しては奇跡を作るよう期待してはいけない。彼に仕事を正しく行なうのに十分な時日を与え給え。大抵の場合、彼は貴方が期待すると同じように立派な仕事をするよう意気込むであろうし、彼が出来得る全ての事を為してくれるだろう。しかし、それには時間がかかるのである。もし貴方が自分の犬を、プロトレーナーの訓練を受けさせようと考えた場合には、トレーナーを選択するのに、かつて仔犬の選択の時にしたより以上の判断を働かせるが良い。殆んどのトレーナーが誠実であり、貴方の犬を訓練する能力を持っているにしても、尚一部には、何時の世にも、望ましくないものもある。訓練者を選ぶ場合、注意しなくてはならないのは、彼が有名であるかを注意しなくてはならない。彼の経歴を調べ、彼の才能と犬の両方を調査し給え。もし彼の犬が健康で楽しそうであり、彼の犬舎が清潔できちんとしており、更に又、順序立ててやる能力と十分な才能を有するならば、彼は多分貴方の為に良い仕事をしてくれるだろう。しかしもし、犬舎は片付けられておらず、グランドが泥だらけであり、一見して不注意のような所が見える場合は、この人には任せられない。誠実な、良心的で熱心な管理者以外に立派な管理者など居る筈がない。彼が訓練に用いるグランドと、自然と、そして飼育している鳥の供給具合を調べるよう注意が必要である。

 彼が貴方の望んでいるタイプの犬を作ることが出来るか確認し給え。訓練者の中には例えば、グラウスドック、フィールド・トライアル・ドック、或はクウェールドック等のような、シューティングドックの或る特殊なタイプのものを専門にしている人がある。貴方が完成犬への過程において正に何を望んでいるかを、彼と十分に話し合い給え。

 貴方が犬の進歩を見、彼と一緒に働くことが出来るように、成可く近くにいる訓練者を選ぶようにし給え。犬が家に戻って来た時にそれに準ずる事が出来るように、彼の技術と方法を完全に理解するよう、心掛ける事が必要である。


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第14章
悪癖の矯正

 貴方が如何に注意深くしても、貴方の犬は次第に悪い癖をつけて来るだろう。これ等は出来る限り早く発見し矯正する事だ。長く放置すればする程、矯正は難しくなって来る。貴方の訓練の結果として、犬が持っている気分を以てすれば、彼の身について来るであろう所の悪癖を矯正することは難しい事ではない筈である。

 悪癖を矯正する場合は、今迄注意して来た忍耐、そして一貫性、持続性等の事柄を良く心の中に留めておかなければならない。彼の進歩のこの段階においては、初期に較べると、ほんの少しの努力で一段と効果的にし得るだろう。もしここに記載されていないような多くの事態に遭遇したり或はうまく処理出来ないような場合は、諦めたり、思い切った非常手段を採る前に、有名なプロの訓練者に相談した方が良い。彼は貴方に、幾つかの建設的な注意を、間違いなく与えてくれる事だろう。

   ガンシャイ

 ガンシャイは多分貴方の犬に起り得る最も困った事態であろう。もし貴方がこのガンシャイを犬の極く早期に発見したならば、それを直そうとするよりむしろ、その犬を諦めて、他の犬で出発した方が良いと思う。それを矯正する事が出来るにしても、何しろ大変な仕事だからだ。あまりありそうもない事だが、犬が既に相当進歩して来た後にガンシャイになったというような場合に、今迄その犬に掛けた時間と費用と努力を考えて、何とかそれを矯正しようと思う時は二つの方法がある。一つは、貴方が自分自身でそれを直すことであり、今一つは、ガンシャイ専門のプロ訓練者に犬を送る事である。或る訓練者は一定の値段で犬の矯正を引き受けるだろうし、その値段には通常それだけの理由があるのである。

 もし貴方自身で彼を直そうとする時は、通常の方法で、但し銃を持たずに、彼が積極的に狩をしゲームをさばくようになるまで働かせる。次に放し鳥の章で記したような杭に繋いだ鎖を用い給え。これを行なう時は他の犬を2・3頭一緒に用いるべきだと私は信じている。しかし私は正直に言って、これに似かよった結果が得られる他の如何なる方法も知らない。2頭の他の犬の間に、お互に喧嘩をしない程度に出来るだけ近く、鎖で繋いで犬を置く。杭に結んだ鎖に繋がれている犬が、全ての動作を見ることが出来るように、約100m程前で置き鳥を用いて仕事を進める。他の2頭の訓練犬は次第に興奮し、特にゲームが翔ち、銃が火を吹くと非常に興奮するだろう。これを暫く行なった後他の訓練犬の夢中さが、問題の犬に伝わる筈であり、ここで先ず貴方は、彼も又大変興奮している事が解るだろう。彼がこうなって来たら、次第に置鳥を近くに寄せ、犬がこれに心を奪われる限り、これを続け最後には、その鳥を問題なく彼の前で撃てる程度迄近付け、然る後鳥を撃ち落し、頭を与える。これを2・3日行なった後、彼をゲームに当てるが、発砲する時は注意深く行なわねばならない。鳥を彼の為に撃ち落してやり、頭を食べさせる。貴方は注意深く一人で行動をし、決して彼を人々の前に出してはならず、彼のペースを守ってやる。

 もしこの置き鳥や、他の訓練犬と一緒の仕事でうまく行かなかったら、他の犬と一緒に狩をさせる。しかし彼には、ヒールさせるか、引綱をつける。出来れば助手に彼を引かせると尚良い。他の犬が自然鳥をポイントしたら、その問題の犬が自分で鳥臭を取り、ポイントしている犬を良く見る事が出来るような十分に傍に連れて行く。それからゲームを翔たせ、成る可く410番口径のような小さな銃で発射し、鳥を落して犬の処に持って来てやる。優しく言葉をかけ、死鳥を投げて捜させる。もし彼が鳥の処に行くのを怖れるようなら持って来てやる。彼がゲームに興味を示すようになる迄、これを続ける。次第に彼をこの舞台の近くに寄せて行くが、彼が発射された後でも自分で狩りたいと欲する迄は常に綱をつけておく。

 ガンシャイを直してゆく過程においては、鳥の飛翔と発射に対するブレーキングを保つのを忘れても良い。もし彼が欲するならむしろ、犬に鳥を追わせた方が良い。貴方は後に又、何時でも彼をブレーキング出来る。この問題に従事する場合は、上の両者の方法の何れかが効果的に働くだろう。幾つかの高度のガンシャイはアマチュア訓練者の範囲外に属し、このような仕事に特別の腕のあるプロ訓練者に委せるべきである。

   レンジの広過ぎ

 貴方の犬の自然の捜索範囲が、もし貴方の希望より広過ぎ、且つ、既に記載した訓練によっても応じない場合は、以下のように試みる。

 最初の方法は馬を用いる方法である。貴方が馬の背にいる以外は普通の方法を働かせる。もし彼が貴方の欲する範囲外に行ってしまったら、彼を近寄せる為に笛でも、彼の名前や「カムイン」でも何でも良いから命令してみる。それでも、彼が応えようとしない時は馬で彼に追いつき、その命令を再度用いる。馬から降りてムチを用いる必要があるかもしれない。この時は貴方が普段用いている命令語以外の何も言ってはならない。何時でも貴方が到達出来るのだと、一度彼が悟ったら、彼は速やかに命令に応ずるだろう。

 もし馬が採用出来ない場合は、チェックコードを用いる方法を試みる。かなり長いチェックコードを用い、貴方が犬に引返すように命じたり「カムイン」を命じた時は、彼に追いついて、チェックコードで彼を引戻し、それ専用の命令を与える。もし必要ならムチを用いる。彼が直に応ずる迄これを繰返す。次にチェックコードを短くし、彼が如何なるコードをも必要としないように反応する迄、次第に短くしてゆく。このようにする理由は、コードがついている時は完全に命に服するのに、貴方がそれを取り去った瞬間に前と同じ悪癖に、直ぐに戻ってしまう犬が幾つかあるからである。

 3番目の方法は鎖をつける方法である。犬に働く時の革具をつけ、5㎏程の太い鎖をその両脇に縛りつける。鎖の重みが彼のスピードを弱め、犬を貴方の支配下に置くのに十分であろう。彼が遠走りした時は何時でも、彼を叱責する為に捕まえるのは容易い事である。これを貴方の希望する結果が得られる迄続ける。然る後鎖無しで働かせ、尚彼が正しく働かなかったら再び鎖をつける。

 最後に貴方は電気の首輪の使用を選ぶ事にする。しかしそれは最大の注意を以て用いられねばならない。「カムイン」の命令語を強調するようにそれを用いる以前に、犬はその命令語の意味を必ず学んでいなくてはならない。この首輪は一種の懲罰であり、その場に応じて適切に用いなくてはならない。この首輪は、貴方の犬舎や家から全く離れた所で用いるのが最良である。貴方のトラックや車が近くの場所にないように注意する。模造品の首輪を用い、犬を2・3度今迄と同じような方法で働かせる。次に電気を通じる首輪を用いて働かせる。彼が100m程離れた頃「カムイン」を命ずる。彼が直に応じなかったら首輪に信号を送る。彼は真直に貴方の所へ帰って来るだろうが、その場合には優しく言葉を掛けてやる。彼が大変離れて行った時に、貴方が満足のゆく迄同じようにこれを繰り返し給え。初心者は電気首輪は万能薬の一種と思い勝ちであるが、実際は、これは懲罰の厳しい形である。極く控え目に用いられるべきであり、ゲームとの関連においては絶対に用いてはならない。プロやアマの訓練者によって、この電気首輪の使用で永久的な打撃を受けた犬がいくつかいる。もし貴方がこの本の中に収められている訓練方法に従うならば、異例の犬を持ったのでない限り、電気首輪に訴えるような事はしてはならない。彼と働く際、彼が一旦あなたの許に戻って来た場合は、遠く走り過ぎたと罰してはならない。これは唯彼を混乱させるだけである。そしてうまく出来た時は優しく言葉をかけてやる。

   バンピング

 バンピングとは、ポイントなしに鳥の中に真直ぐ突っ込んでしまう事を意味する。この問題を矯正する場合、貴方は詳細な判断とその場合の注意深い分析をしなければならない。或る場合は鳥臭の状態が、犬のバンピングの原因になる事がある。春の若草のたくさんの芳香か、或は鳥達が春はあまり臭いを持たないか、何れかに起因する自然の現象であろうと、私は常に感じている。これは恐らく巣籠りの期間中、猟鳥を守る自然の摂理であろうか、何時の場合でもこれが起り得る。

 バンピングは犬の呼吸器系の感染とか、アレルギー、そして損傷等に起因する嗅覚能の欠如からもくることがある。従って犬のその失策を矯正する前に、犬がそれを慎重になしているか、注意する必要がある。彼が失策したのだと確信を持ったら、彼がバンピングした時に「ウォー」を命じ、鳥がいた場所に連れ戻し、ムチを用いる。彼をポイント姿勢にさせ「ステイ」させる、そしてあたかも貴方が鳥を翔たせるかのように彼の前に歩いてゆく。彼が失策した毎にこれを繰り返す。彼は間もなく、もっと注意深くなり正しく行なうようになるであろう。

 もし貴方が養殖鳥を持っていたら、鳥を置き、犬にチェックコードをつけてそこに連れて行く事により、バンピングを矯正することが出来る。彼が鳥臭を取ったと確信したら「ウォー」を命じ、優しい言葉をかけ、もし動こうとしたらムチを加える。うまく出来るようだったら1・2羽の鳥を撃落してやる。いつも頭を食べさせてやる事を注意して欲しい。

   空ポイント

 空ポイントはバンピングと背中合わせのようなものである。これはゲームの所在を明確に指示する事が出来なかった時のポイントである。これは通常犬が鳥に対して慎重過ぎるか、或は訓練のやりすぎか、何れかに起因する。空ポイントは矯正するのがむしろ易しい失策である。空ポイントについても賢明な分析が必要である。或る状況ではよくあるように思える事であるが、もし鳥か走ってしまったような場合は、全く犬の失策ばかりと言えないだろう。又もし、殊に烈風が吹きすさぶような日であった場合、彼は鳥の臭いを失い、過度に慎重になるかもしれない。しかし彼が何時も空ポイントをするような犬であったら、私達はその矯正に足を踏み出さなくてはならない。

 先ず第1に彼が鼻を地面に擦り付け、ゲームの所在を足臭により突き止めようとするのを直さなくてはならない。ここで体臭と地臭の違いを説明する事にしよう。地臭とは鳥が植物等との直接の接触により残した臭いである。これは鳥が実際に足で地面に触ったり、草を羽毛で擦ったりした事に因るものである。体臭は鳥の体から発するものであり、鳥の上方の空気の流れに混ざっている。鳥から流れ出ると思われる体臭は50~60㎝空中に立ち昇り、気流の速度、湿気、気圧等に影響されて或る距離を漂って行く。或る日にはこの臭いは丁度煙のように地面に密着しながら横たわっている。あなたは煙が、或る時には地面に密着して拡り、或る時には殆んど真っ直ぐに立ち昇っているのを多分見た事があると思うが、そこで犬がぶつからねばならぬ問題を理解出来るだろう。鳥猟犬がゲームの所在を指示するのに用いねばならないのは体臭である。ライオン追跡犬、キツネやアライグマの追跡犬は通常地臭を用いる。何時にせよ貴方の犬が鼻を地面に擦りつけるように嗅いだり、空ポイントをしたりした場合は、彼に笛を短く二つ吹き、「オーライ」を命ずる。もし彼を動かすことが出来たら、仮に鳥がいるかもしれぬ場所を離れる事になるとしても、そのまま走らせるようにする。彼に素速く頭を挙げて、ゲームに真直に進ませるようにさせる。暫くの間は鳥の上を通り越してしまうかもしれないが、地面を嗅ぎ回ったり、空ポイントをするよりはこの方が遙かに良い事である。

 今一つの方法は、何も言わず、何もしないで真直ぐに歩いてゆき、彼を完全に無視して歩き続けて行く事である。貴方がそんな事には何の興味もないのだということを、犬は間もなく悟るだろう。

   ブリンキング

 ブリンキングとは犬が鳥を完全に避けて行くか、ポイントしても、貴方がゲームを翔たす前にそこを離れてしまう事を意味する。これは普通人為的な癖であり、時にゲームに対するブレーキング期間中、あまりに厳し過ぎたことに起因する。そして時にこれを直すのは大変困難である。これを直すのに私が発見した最も良い方法は、先ず、第一に可能な限り彼にゲームを撃ち落してやる事であり、その都度専ら彼を賞め報いてやる事である。

 もし彼が全くポイントしないようであったら、チェックコードをつけ、他の犬のポイントしている所に連れて行き、バックさせる。助手に鳥を翔たせ鳥を彼のために撃ち落してやる。これをしながら正しく彼と留り、優しく話しかけてやる。もし彼が離れようとしたら「ノー」と命じ、元の所に犬を置くが、この際は如何なる方法にせよ罰してはいけない。もし君が他の犬や、助手を持っていない場合の今一つの方法は、彼が決断力を取り戻す迄放置する方法である。ポイントしている犬をハンドル出来るまで次第に近寄って行き、優しく話し掛け、鳥を撃ち落してやる。ブリンキングする傾向のある犬に近寄る際は、犬の囲を広い円を画きながら犬に真正面に近寄って行く。このような、鳥に飛ばれるような近寄り方をした場合はむしろ、犬の後から近寄るより、犬が離れる事が少ないようである。

   ボルティング(暴走)

 ボルティングは犬がしばらく狩った後、走り去り貴方の所に帰る事なく自分だけで狩る際に起る。これは又人為的であり彼に対してあまりに粗略な扱いをした結果による事がある。レンジがあまりに広過ぎる犬に対して行なったと同じような手段が、この場合にも適用出来る。勿論犬が1㎞も彼方に行ってしまったら、彼を捕まえる機会はないが、先ず、第一に為すべき事は、往々訓練期間中にゆがませられてしまった相互の信頼感を再度確立する事である。

 彼が暴走したような場合は、通常犬があなたに対して怒った結果によるものである。もし貴方が彼を戻らせる事が出来、彼の為にゲームを撃落してやったらば、彼はその後回復するだろう。彼の連絡に満足し、彼を適当な支配下におく事が出来るまで、暫くの間、或は彼に鎖をつけて働かせる事が必要だろう。彼を幾分なりとも貴方の言いなりになるようにしてみ給え。もし彼が貴方から走り出して行こうとしたら、彼が未だ貴方の支配下にある内に呼び戻して優しい言葉をかけてやる。これは決して難しい事ではない筈だ。もしこれがうまく行かなかったら、丁度この章の前の方で、レンジの広過ぎる場合の項で既に記したと同じような方法で、電気首輪が適用出来るだろう。もしその首輪を用いることなしに、この欠点を直す事が出来たら尚結構な事である。この問題は根本的には貴方を好く犬を作るという事であり、彼が貴方と一緒に猟を楽しむという事である。私は嘗てあらゆる点から素晴しいシューティングドックを持った事がある。しかし、もし私なり誰かが、彼と一緒に猟をし、彼がポイントした鳥を2・3羽失敗すると、直ぐに主人を離れて走り、日暮れになるまで帰って来なかった。

   ドロッピング(ポイントの際の伏せ)

 ドロッピングも又人為的な欠点である。今日では、これは非常に消極的だと考えられているが、正にその通りである。しかも皮肉にも、何年か以前には望ましい事と考えられていたのである。その頃においては殆んどの犬がゲームに対しドロップする(即ちゲームが翔ち、銃が発射された場合にドロップしている)ように訓練されたのである。英国においては今日でも尚、良い作法であると考えられている筈である。誠に結構な事である。しかし流行はここで変化している。今日の競技では、ポイントの際ドロップする犬は問題にならない。犬がドロップした際、これを矯正するには、注意深く再び立ち上らせ優しい言葉をかけてやる。助手にゲームを翔たせ鳥を撃ち落し、その間貴方は犬と共に留り、立派なポイントの姿勢のまま保たせる。ゲームの射殺、優しい言葉、そして激励とが一緒になって、この欠点を直すのに正に適切な治療薬となるであろう。如何なる懲罰をも避けねばならない。

   トレイリング(他犬の後追い)

 普通の猟ではトレイリングは殆んど問題にならないが、もし貴方が友人と一緒に猟をする機会に、貴方の犬が何時までも相手の犬の跡ばかり追っているとしたら、誠に不愉快な事に違いあるまい。これは親譲りの性質であると思われ、或る犬は他の犬より多くその傾向がある。もし貴方が彼の猟欲を適切に延ばしてやって来たとしたら、彼は後追い(トレイル)する傾向は先ず少ないだろう。しかし万一あなたの犬が後追いしたような時は「ウォー」を命じ、「ノー」を用いて、他犬と別な方向に犬を発走させるようにする。更に彼が後追いに固執するようなら「ウォー」を命じ、彼の処に行き、ムチで打ち、再び出走せしめる。これを彼が止める迄続ける。

 もしこれでも好結果が得られなかったら、電気首輪を用いる。暫くの間模造の首輪を用いて野外訓練を行なった後、本物の首輪をつけ、他の速い犬と一緒に走らせる。彼が他犬を目で見、或は臭いでマークし、他犬の約5m内外にいるような時は、その瞬間にスイッチを押す。但し一言も蝶ってはいけない。彼が他犬を避けるのを悟る迄、これをその都度繰返し給え。



   闘争癖

 闘争癖は鳥猟犬が持ち得る最も不作法な性質の一つであり、他の如何なる不作法もそうであるように、あらゆる機会に矯正されねばならない。これは主として遺伝的なものであるけれども、彼の発育期間の内に徐々にしみ込んで来る事もある。もし彼が他犬と一緒に飼育せられ、犬舎の中で支配者となることが許されて来た場合、彼は多分極端なケンカ好きになって行くだろう。これを直すには「ノー」の命令語を用い、もし必要ならムチを用いる。自分の犬がケンカ好きであり、意地の悪いことを大変誇りに思っているように思える人を見ることがある。それはそれで結構であるが、世の中には常に尊大な犬に出会う機会があり、次には、とてつもない闘争性の犬に出会うだろうし、そんな場合にはシューティングドックとしては第一巻の終りとなるだろう。私はかつて、全く不必要な犬舎内の闘争で素晴しい若犬を亡くした事がある。私はこの卑劣な事をした罪犬を永い間許す事が出来なかった。
   
   ゲーム以外のものをポイントする癖

 幾つかの犬はゲーム鳥とは異った、他の生物をポイントする事がある。私はかつて泥ガメから始って、キツネ迄ポイントする犬を持った事がある。しかし私はこれを一般的な問題として提出することはしない。確かに殆んどの場合、犬はそれを故意にやっているのではない。色々なゲーム動物の如何なるものが犬に好ましく嗅がれるか私共は知らないし、或る一つのものを他のものと、如何にして区別するようになっているのかも、又知られていない性能である。例えば、もし貴方の犬が、いつまでも兎にポイントするようであったなら「ノー」を命じ、ポイントを解かせ給え。もし彼が尚固執するようなら控え目にムチを用いる。

 この章では貴方が出会うであろうと思われる極く普通の癖を述べた。勿論この他にもあまり頻繁でない癖もある。然し愛情と優しい懲罰と、常識との、正しい組合せでもって解決出来ないどんな問題にも出会うことはない筈です。