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PNT island 13 プチャン

PNT island 1 きっかけは一枚の写真



PNT island 2 一人旅とは



PNT island 3 船に乗るまで



PNT island 4 愉快な仲間達といざ出発



PNT island 5 船の様子とサーフポイント(NP,PL)



PNT island 6 PNTでのサーフィン以外の遊び 1



PNT island 7 PNTでのサーフィン以外の遊び 2



PNT island 8   美しき朝



PNT island 9 ずたぼろサーフ



PNT island 10 葛藤



PNT island 11 死んじゃうよ。





PNT island 12 さらなる問題




島沿いを走る船



プチャンまではあと少しだろう。




プチャンは小さな島にあるのかそれともジャワ島の端に位置する場所なのか

町なのか、村なのかわからなかった。


紙にジャワ島とPNTの地図を書いてクルー達にプチャンの場所を教えてというがわからないという。

俺の言っている意味が解らないのか地図上でのプチャンの場所がわからないのか、それも解らない。


何日経っても会話でのコミュニケーションが向上しない事に限界を感じた。


でも少しの会話とジェスチャーとノリでなんとかなるものだ。



島の入り江みたいな所に入ってきたのでもうすぐだと思った。


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船が何隻か停まっている場所がある。きっとあそこだろう。





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何か食料を手に入れなければ。


船を橋に付けるときの映像。














島には猿、鹿や大きな鳥などがいた。




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橋からプチャンのゲートをくぐると右側に大きな建物があり、それがプチャンに来た人への入場料を払う場所で正面は大きな芝生の広場、左側には一軒のレストランにコテージが3つありそこがここの宿泊施設らしかった。



プチャンは村でも町でもなくPNTでサーフィンする人やこの周辺での観光をする人のための本当に小さな案内場所みたいな感じだった。


ここで食料やタバコなどを調達したり、インドネシアの中でも静かな場所を好む観光客が来る場所であった。




クルーを船に残し、キャプテンと二人で売店に行った。



中に入り小さなショーケースを見る。

そこには砂糖らしき物と木でできたお土産があった。



あれ、食料は!?



店の男に聞くと「昨日からラマダン(断食)の時期でもうなにもないんだ」



でぇ~~~~~っ!!





そして食料を積んだ船が次やってくるのはいつか解らないという。


なんだそれ!!


じゃあここに来た意味ないじゃん。
店の男に事情を説明するも、そりゃ大変だな~で終わり。

ま、そりゃそうだ。



そこにインドネシア人らしき一人の男が現れた。



そいつは、プチャンに着いた時からサーファーか?とか一人か?とかいろいろ聞いてきたので怪しいヤツだな~~と思って軽い返事だけして相手にしないようにしていた。




そいつが店に現れた時またかと思ったが英語が流暢なので、ちょっと通訳をしてもらおうと思い
キャプテンになんで食料が無くなったのか聞いてくれと頼んだ。


したらキャプテンが早口でなにか不満を漏らすようにダーッとしゃべりだした。


なになに??なにが言いたいの??


男がそれになにか言う。

キャプテンがまたべらべらしゃべる。


男に何て言ってる?と聞くとため息を漏らし「とにかく飯がないしか言わないよ。」と苦笑いした。



あんだけしゃべってそれだけかよ!!!




もうキャプテンのバカ!笑



俺は男に事情を話し、船には本当に何にも無いの?と聞いてくれと言うと
キャプテンは「米と砂糖だけ。あと今日釣った魚がちょっと」というので

俺はバックにあった非常用のカップヌードル1つを思い出し「俺は今日の晩ご飯はそれでしのぐからみんなはその釣った魚と残りの米を食べてよ、で明日は頑張って魚を釣ろう!いいか!俺達は仲間なんだから、明後日まで一緒なんだから協力しあおう。」と男に通訳してもらった。


キャプテンはわかったと言いながら船に戻った。


通訳をしてくれた男の名前はイマン、このエリアでのボートトトリップのガイドをしている。


イマンに日本から来た事、チェンルースという男に船での食費、ガソリン代金を払ってきたこと、PNTでの船が転覆しそうになったこと、板が折れたことなどを話し体の傷を見せた。


イマンは「おおぉやっちまったなぁ、でもこれですんで良かったよ。今まで死んだヤツはいないが骨折とかするやつもいるくらいだからなあそこは。」


英語でイマンと会話していて言葉が通じるってなんて素晴らしいんだと思った。


明日をどう過ごすがイマンに相談した。

もしPNTに戻るガソリンが無いならここからすぐ近くにエンジェルスというポイントがあるのでそこがいいよ、明日は波あるし楽しめるよと教えてくれた。


イマンが今ロシア人のサーフトリップのガイドをしていてレストランに戻るから今後困った事があったらいつでも相談に来いよと言ったので礼を言った。




売店を出て、すこし広場の鹿をみたりした後船に戻る前にイマンにもう一度礼を言おうとレストランに入った。


レストランと言ってもお金を払えばいつでも料理が出てくるわけではない。


レストランの冷蔵庫にはこの旅の間のロシア人達の食料しかないので俺が急に行っても何もないのだ。


食事中のロシア人達(7、8人くらい)の横を通り厨房に顔を出すとイマンがいたので、

「さっきはありがとう、明日海で会えたらあおう」と言って店を出た。



レストランを出て船に向かって歩き出した俺に裏口から出てきたイマンに声をかけられた。

「ちょっとちょっと!!」


「何!?」


「こっちこっち」

と。手招きされてレストランの裏口へ。


広い厨房。



料理人達とウエイトレスらしき奴らがが何人かいた。




そこに座って。

俺が椅子に座ると


ご飯、魚の煮付け、豆、スイカなどのフルーツが出てきた。



「お腹減ってるだろ、これ食べなよ」


イマンは俺になんと晩ご飯をごちそうしてくれたのだ。



「よくここまでお前一人できたな。いないぞ一人で来るヤツは。ここはインドネシアでもとても静かな場所だ。バリやジャワのサーフポイントとは全然違うよ。」



「静かな場所は好きか??」



俺は「もちろん、だからここへ来たんだ。」



イマンは俺がここまで一人できた事にビックリしたと同時にこの珍道中の旅の話しを聞いてどうやら俺を気に入ったようだ。



インドネシアを旅するとローカル達は俺から何かもらおうと考えたり、買い物をするとぼったくってきたり。

貧富の差や国民性、宗教などでそうされるのはしかたのないことと思っていたが、まさか俺が逆に知らないヤツから施しを受けるとは。


すごく嬉しくて、すごく感謝して、自分が本物の旅人に一歩近づいた気がした。



飯を綺麗に平らげてありがとうと言い、席を立とうとしたらこれからPNTで撮られたサーフビデオを見せるからと言われロシア人と一緒にそのビデオを見た。

それがこれ。

ティミーターナーというアメリカのプロサーファーがプロの仲間とPNTで2ヶ月キャンプを張り、完璧な波を乗り尽くすというドキュメンタリービデオだ。

ちなみにレギュラーのポイントは今回俺がこの波に乗るためにここに来た場所で、前にも書いたが風が全く合わず見に行く事すらできなかった。




この映像はこの年のサーフビデオアワードにノミネート!?受賞?したらしい。


このビデオを見ればわかるがOPではプロもヘルメットにフルスーツかシーガル。

ヘルメットが無くてもウエットは着ている。


どんだけ危険なんだよ!!



しかもイマンもこのビデオに映っていて、この旅のローカルガイドとして彼らの撮影を手伝ったというのだ。



ちなみにティミーターナーはこの時かその後かは知らないがOPで頭を打ちとんでもない大けがをしている。


メインランドのジャワ島にヘリコプターで運ばれ手術をし、その後アメリカに戻り大手術をしたらしい。



ESPNでの彼のインタビュー。 何針縫ったかわかんないくらい痕が痛々しい。


よくこの怪我で生還できたなと思うくらい。




おそらくこの出来事が有名になったことで、ここへ来るサーファーも装備をしっかり持って来るのだろう。



俺が旅の前にこの事実を知っていれば、ヘルメット、ウエットスーツを持ってきていたのに。

もちろん行かなかったという選択肢はないが。



ビデオを見た後イマンが俺の部屋に来いよと誘ってきた。

イマンとスタッフの仲間と俺3人でイマンの泊まるコテージに行きビールをごちそうになった。


この旅始まって以来のビール。その味は格別すぎるほど美味しく忘れられない味となった。



そこでいろんな話しをした。



俺が今までいった海外の話、オーストラリアで車で2ヶ月かけて行ったサーフトリップやコスタリカでの話、メンタワイやイマンが行った事の無いインドネシアの場所の話、日本の波の話。




イマンは自分の知らない世界の海の話にすごく興味津々で楽しそうに俺の話を聞いていた。


「俺は嫁も子供もいるから遠くには行けないけど、いつかいけたらいいな。」



「そういえば、イマンはどこの生まれなの?」

「チャリタだよ。」


「チャリタ?それならチェンルース知ってるんじゃないの?」


イマンは吹き出して笑いながら「そう、チェンルース知ってるよ。しかも俺の親友だよ!」

と大笑いしていた。

俺も笑った。


「ちゃんとチェンルースにこの事言っといてよ!途中でガソリンも飯も無くなるなんてかんがえられねーよって」

イマンは「オーケーオーケー、しっかり俺から言っとくから」


ひょっとして飯をごちそうしてくれたのは親友の失態を代わりに謝るため?笑





すごく楽しい夜だった。


船で薄いマットで寝てる事を知ったイマンは俺の部屋で寝てくか?と言ってくれたが


「大丈夫、クルー達も俺が戻らない事で心配してるかもしれないし。今日は本当にありがとう」といって船に戻った。




ほとんど灯りのない暗くなった島の中を携帯の光を頼りに船に戻った。






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つづく