英大学の学費が£9250へ値上げ、低所得者向け奨学金もカット | 鉄火のマキ@London イギリス教育事情一番乗り

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ディスレクシア&ADD持ちの無謀なオックスブリッジ受験体験記録。

 
 イングランドの大学の学費が2017年秋スタート分から現行の£9000から£9250へ値上がりすることが決定しました。厳密には「各大学に対して許される学費の上限が£9250へ引き上げられた」のであって、大学側の判断によっては値上げをしない選択もあるはずなのですが、実質ほとんどの大学が上限一杯まで値上げするだろうとされています。

 University tuition fees rise to £9,250 for current students

特に研究活動に欧州から資金や人的援助に依存している大学であるほど、英国のEU離脱のマイナス影響への危機感があるため、広く薄くお金を集めやすい学生から取ってしまおうとうというのが本音でしょう。

さらに追い討ちをかけるように、これまで年収£25,000以下の家庭の子女に毎年£3,387 与えられていた返済不要の奨学金(Student Grant)のシステム自体が廃止、学費ローンと生活費ローンが統一され学生自身が卒業後に毎月返済をしていかなければならなくなりました。

 Student grants replaced by loans

18才~20代の若者の大多数はEU残留に投票したというのに、Brexitの負の影響を真っ先に受けるのが彼らだというのが何とも悲しくなってしまいますが、このような時にナイーブな若者を政治的に利用しようと考える大人もいるようですね。

 Student debts wipe out most graduate pay premiums

 このロビー団体のレポートでは「学生が将来背負い込む借金の大きさに対し大卒で生涯で得られる経済的価値がつり合わなくなった」と言っており、これを読んだ親子が「大学に行くのは割に合わない、勉強するも馬鹿らしい」「国のせいで大学進学の機会を奪われ仕事もない」なんて短絡的に考えてしまわないかと危惧しています。

はっきりさせておきたいのですが、「学費が上がろうが奨学金が無くなろうが卒業後に返済する毎月の返済額は変わらない」のです。返済額は月収の9%のままですし、年収£21,000以下ならば返済自体が免除されるのも変わっていません。→授業料は£9000、でも実際の負担額は

別の見方をしてみると、オックスブリッジをはじめとするエリート大学群と数年前までは職業訓練学校だった下位の大学では卒業生の年収には大きな開きが出るはずなのに、「同じ大卒扱いにして学費も同額」というのにそもそも無理があり、その意味では「上位大学へ行くほどお得感が増す」とも言えるのです。その折り合いをどこで見極めるべきかを理解し賢く大学選びをしたいものですね。

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