英国のEU離脱が決まってから嵐のように政界が一変し、メイ新首相によるフレッシュな内閣人事が発表されました。キャメロン前首相が上流&貴族の子女達が集まる名門イートン校からオックスフォードに進学したのに対し、メイ首相は公立のグラマースクール出身でオックスフォードに進学した叩き上げであることもあってか、彼女が組閣した大臣達の出身校が公立出身者で固められていることが注目されています。
→Theresa May’s Cabinet(全閣僚の出身高校・大学名あり)
内閣の公立出身者が54%から78%に上昇
そういえば故サッチャー首相もグラマースクール出身でした。サッチャーが首相になった当時、メイは高校生で自分が英国初の女性首相になれなかったことを悔しがっており、少女の頃から一貫して政治家への強い大志を持ち続けていたと伝えられています。
今回の人事で女性の登用が増えたのかと思いきや女性閣僚は1人増えたのみで、一方で8割の新閣僚が公立出身者で占められるというのは戦後はじめてのこと。イギリス全体で私立高校に通う生徒の割合はたったの7%程度であることもあり、保守党内の裕福な特権階級の私立出身者が大きく減ったのは、単なる偶然なのか学閥はずしなのか(イートン校出身はボリスたった一人に…)分かりませんが、実務経験豊富のメイ首相のことですから実力主義を貫いたのでしょう。
これまで強硬路線だった教育相には公立出身でレズビアンで知られるのグリーニングをあててリベラルな教職員組合との調整を狙うところや、キャメロン~オズボーン前財相の親中国派をごっそり追いやったり、さらに何をしでかすかわからない風雲児ボリスをあえて外相にしてEUを煙に巻き交渉を遅らせ有利な貿易条件に持ち込もうとするなどその人選は鮮やか。ひょっとしてEU離脱ショックから思ったより早く立ち直れるんじゃないかという希望を感じさせてくれました。