イギリスの大学の学位システムは分野や資格を供与する機関、または地域によって多岐に渡りますのでとても複雑でわかりにくくなっています。学部レベルであるのに修士学位が含まれるタイプも日本人には馴染みがありません。法学や医療系などの国家資格を供与するタイプについてはそれぞれの資格に独立性がありますし、オックスブリッジなどの古い大学も独自の学位システムを持っているのでここでは説明を省きます。
BA, BSc, MA, MSc の違いは
BA(Bachelor of Arts 文学士号)は文系学部3年コースで、MA(Master of Arts 文修士号)は修士課程の1年を最初から含んだ4年コースを指します。同様にBSc (Bachelor of Science 理学士号) は理系学部3年コースで、MSc (Master of Science 理修士号) は修士入りの4年コースになります。国内生の場合、学部の段階で修士込みの MA/MSci を選んでおくと学生ローンで優遇される利点がありますが、その分求められるグレードがBA/BSci よりやや高めになっています。
→学部応募時に修士号付きコースを選ぶとお得!
同じ学部なのに3年だったり4年だったりするのは
先に説明したプラス1年の修士号付きかどうかの他に地域による違いも考えられます。イングランドの学部は通常3年で、スコットランドは4年になります。または、アート系や留学生向けのファウンデーションが加わるかどうかで3年だったり4年だったり変わってきます。それぞれの大学のウェブページで Course Structure やシラバスを確認するようにしましょう。
同じ学部なのに BA と BSc があるのは
経済学部など文系理系をまたぐ社会科学の場合は、高い数学力が要求されるのがBScで、問われないのがBAというパターンがあります。卒業後は投資銀行や保険業界に就職して高給を狙うならデータ解析に強いBScの方に軍配が上がります。
初年度の基礎モジュールは共通しているところが多いでしょうから、最初にBSc/MScで入っておき、途中でもっと人文的な分野へ関心が移れば 2年目はBA/MAにトランスファーさせてもらえるかも。しかし文転できても理転は難しいでしょう。その辺りは大学関係者に事前に必ずご確認ください。
コース選びは将来的に有利か不利かより、学生本人の能力や興味に合っているかが何より大切です。大学1年目で辞めてしまう学生が平均で1割もいることを考えると、良い成績(2.1以上)で卒業できることを優先すべきでしょう。先輩に直接聞いたり大学のオープンデーに出向くなどして積極的に情報を集めることが重要です。
→大学卒業後の就職には2.1以上の学位が必要