さて、翌日、母の通夜が行われた斎場では、午前零時を過ぎると、
型通り、ごくごく近い親族のみが残り、だらだらと母の生前の話が始まってしまった。
私の年長のいとこたち(私がいとこの中で最年少)が、
「おい、この残りのオードブルぢゃ物足りんな!なんか買い足して来いよ!!
だいたい酒類もないし!!」
「わかったわかった。」
片側2車線の旧国道をはさんだ、斎場の向かい側に、本州資本の「コンビニ・P」があった。
両者の間には歩行者用信号機付き横断歩道がへばりついていた。
深夜族が多いウチの家系での徹夜分の飲食物の買い物は、私一人だけでは心もとないので、
関西で学生をしている下の子と一緒に向かいの「P」に出向く。
彼女はあっという間に店内カゴ一杯の買い物をしてきたが、大体「L」か「7」以外
ほとんどお世話になったことのない私には、「P」の、店内レイアウトがまるで<???>で、
肝心んの買い物は思うように進まず・・・
娘からは
「おとーさん、ほら、おそい!おそい!!伯父さんたち皆待ってる・・・」
とせっつかれる始末。
「お前はこの店慣れてるから早いだけだろ。」
「いーわけしないこと!!」
確かに思いのほか時間がたっている・・・
店を出て横断歩道のところまで来ると、
「ボタンを押してください
が
「お待ちください」に変わった。
道路を挟んだ向こう側には誰もたっていない・・・
「あんまり遅いからおばあちゃんがテーサツに来て帰るとこなんだよ。」
と娘はしたり顔でいう。
(確かに母ならそれくらいのことはやりかねんな・・・)
「あれ?!おとーさん!!何か私の考えにご異論でも??」
(こしゃくなやろーだ)
「いや、場所がら、ご自分が、なくなったことにも気づかず、毎回律儀に、斎場を自宅だと思って
信号機のボタンを押して、行き来している方々がおいでになってもおかしくないと思ってさ。」
「うん、それもありだね。」
(こいつ何考えてんだ。ボタン押したはいーけど、なかなか青にならなくて切れたやつが、
違う方向に行っただけだろさ)
「あ!また、なんか考えてる!!!」
母の追跡ー母の消火活動の続編 了
人間、形のあるものばかり見ていてもしょうがないのかな、とやはり思います。
今回も被害妄想的文章にお付き合いいただきありがとうございました。
もう何も起こらないと思いますが、万一変わったことが起こった時、又聞いていただきたく存じます。
カラスのクンセイ 拝