「あのさ、子供の頃聞いた話で、大抵の人が知っていると思うんだけど。
岩場とか、山の洞窟にできる<迷路>ね?一度はいると、ぬけられなくなるとかってゆーよーな・・・」
「まんがなんかにもよく出てきたね。道は行きどまりだけれど、入口から、右手か左手をくっつけて絶対放さないで出てくれば、洞窟は行きどまりであっても、手が伝っている壁はそこの袋小路で折り返して、戻ってくるだけで、また延々それを繰り返していつかは必ずでられるよ、って話だろ」
「いや、全くその通り・・・といいたいとこなんだけれど・・・」
「もったいぶらないで話せよ」
「もー50年近くたっちゃってるからいーかなー??
おれ、小学校低学年、北海道に住んでいたのよ」
「どの辺さ」
「いや、場所だけは、言うの、ヤッパ、ヤバイわ。いまもやっていたら、オレ殺されるかもしれんモン・・・」
「ナーニいきなり言ー出すかと思えば、コノヤロ!!」
「いや、土地はいわん。」
「だったら、自分から迷路の話なんか持ち出すなよ・・・」
「そーだなー。へんだなー。どーしていままで一度もそんな気にならんかったのに、今日はそんな気になったんだったかなー。」
「あったまくんなー。話さないなら、他の奴んとこ行って、飲んでくるぞ!」
「わかった、わかった。
実はさー、村はずれに、横●正史の小説に出てくるよーな、となりの村までいけるとかっていう迷路があってさ。
オレは怖がりだったから、2回ぐらいかな?入り口から中のぞいただけなんだけど。」
「そしたら、そのうち1回は、ウチの父さんと同じ位の男の人に、ここは子供の来るところでない、今日はもう帰って寝ろだか?
すげー勢いで怒られて・・・あたふたと帰ったんだ。
次の日、そのことを、親しい連中に話したら、皆顔色変えて、にげていった。一人だけ、誰にも今言ったこと話すなって言ってくれた奴がいたな。
そして、あとで、おれのうちにこいって。おれのうちにくることは誰にも言うなって。
そしたら、ここから、お前さん、信じてくれてもくれなくても自由だけどよ、村でどーしよーもない悪さした奴がいたとしよーか。
でも、ずるくて法的には裁けない。
そこの、洞窟は、満月の夜だけ、そういった罪人を飲み込んでくれるって、クラスのヤツが説明してくれた。
もし、出てくることができた場合は、廻りの人の勘違い・誤解、相手にも悪いところがあったのだろーとかで無罪放免になったらしいんだな。
こんなような、話だったとおもったがな」
「ふふふ、よく土地の名前を言うのを踏みとどまったな。」
「・・・え?」
「おまえ、おれの目の横の、三角のこの傷で何か思い出すこたないカイ」
「・・・・ア・・・・・ヒョットして・・・おまえ・・・XX村の」
「しッ。」
「そーか。どこかでみた顔だと、頭のどこかが反応して話したくなったのかな?」
「いーや、違う。おれがお前の酒に自白剤をチョイと入れた。」
「何のために?」
「さっき、お前が行っていた洞窟の説明を家に呼んで説明してやったのは、今お前が気がついた通りこの俺だ。
そして、さっきお前が、びびったとおり、満月の夜洞窟を使った処刑をいまでもやっているのさ。
このことを、どこでどう漏れたのか、自分たちで調べて吹聴している奴がいるのか知らんが、最近村の外でよく話題になって警察が来るようになった。
そこで、目星をつけて、村に住んでいたことのある連中に接触して、洞窟の話をさせる。全部覚えているか、べらべらしゃべるやつなら、後日消すのさ。
おまえは土地の名前は言わなかったから今回は見逃してやる。
でも、いつかどこかで似たような話を出した時は、次はたとえ村の名前を出さなくとも命はないと思え。
おれは、この辺で帰る。」
ぼーぜんとする、洞窟の話をした男。
部屋の入り口には、「全国道の話がすきな人連合会」の垂れ幕。