カラッポのマネキン -5ページ目

カラッポのマネキン

ウソと本当のミックスジュース。おいしくどうぞ。

 高校生のときには、だいたい将来を決めていた。こんな仕事をして、こんな風に生きたい。だからそうなるように歩んできた。ある意味迷いはない。どうやったらそうなれるか、ひたすら考えて努力する。ダメだったら別の方法を考える。道に対して真っ直ぐだった。
 そして結婚した。ここまではまあ想定の範囲内。範囲を出たのは、妊娠出産だ。予想以上に子育てが面白いので(もちろん最初は病んだけど)産まなきゃ良かったとは思わないが、私が考えていた「こうやって仕事をして、こうやって上る」とずっと考えていた道はもう進めなくなった。
 だから面白い。
 なんて言えない。ずっと考えていたのだ。こうしよう、ああしようと。
 だから最近本当に悩んでいる。
 同じ仕事はもう出来ない。私が仕事でアクセルを全開に踏めるのは、子供が巣立ったあとだ。え?そんな後?と思うが私が一番したい仕事は深夜に動く。会議は夜2時からスタートなんてザラだ。私はその仕事を愛してるので、やっぱりそこに最終地点を置きたい。20年後に、また徹夜会議に出たい。年齢は関係ない。やりたいから。じゃあそこにたどり着くまで、仕事を続けなくてはならない。
 アクセルを全開にしない常態で。
 これがとても難しい。子供がいると朝は早い。昼過ぎには帰ってきて、そこから夜までは身動き取れない。出れない会議も多い。飲み会も旦那の仕事次第だけど、かなり厳しい。本当にアクセルが踏めないなあと思う。
 息子を産んで、色々考えてやってみて、仕事に参加しているが、やはりたまに悲しくなる。こんな小さい仕事じゃなくて、もっと大きな仕事をしたい。でもそれを出来るのは、やっぱりあと10年は経たないとダメだ。
 じゃあ今これから。
 少なくとも娘が幼稚園に入って日中数時間、夜数時間。これをどう有効活用して、10年後20年後に繋ぐか。また考え直している。
 私は技術職だ。それでも妊娠出産で、ここまで考えないと道は見えない。旦那や実家を育児家事でまったくアテにしてないというのも大きいけど。
 娘が4月で1才になる。まだ幼稚園まで3年ある。でももう焦ってる。なんだろうね、どうしてこんなに苦しいんだろう。
 リセットはもう済んだ。
 さあ考えよう。二度目の人生、何が出来る?

波照間島が好きです。通い始めて数年、彼氏がいても島にいる時は電話しません。
本を読み、泡盛を飲む。最高の時間です。まずは「現場の法医学」。読みたかったけど時間なくて。
…。でもちょっと売店でも行こうかな。なんか落ち着かないし。
…?落ち着かないって何?ここに来るのが最高の時間のはずなのに。
毎年来てるから、さすがに飽きた?たましろで飲む泡波は美味しくて、焼肉の夕飯にも遭遇!
楽しいのに、なんか乗れぬ時間を過ごし、帰る日になった。
飛行機をまつ石垣島で、古本屋に寄った。
「また来たね」毎年同じ時期に大量に持ち込むので覚えられ、本をみながら雑談。
「毎年来て飽きないの?」と店長。
「そうですね。来年は久々に小笠原行こうかな」と私。
「あれ?…前とラインナップ変わったね。法医学の本とか、前なかったよね」
…違う、私はここに飽きたんじゃない。私が変わったんだ。
この島じゃなくて、帰りたい場所がある。私のラインナップを変えた人が居る場所に。
私は携帯の電源を入れ、相方に電話をした。「今から帰ります」海は青くて、澄んでいて、やっと私は落ち着いていた。
旦那が私と出会った時、独身で良かったなあと、たまに思う。
私と出会った時、旦那はもう35才で結婚しててもおかしくなかった。
結婚してたら、略奪しなきゃいけなかったよ、ほんと。
良かった、良かった。
旦那は、誰といるより私といた方が良い。
絶対私だよ、と笑顔で略奪したと思う。
これだけは絶対。