部屋に入る。


ラブホテルとは違い、大きな街にある高層ビルの中にあるホテルだ。30階に迫る高層階の部屋だった。

壁一面の大きな窓を、落ちついたトーンの白のシェードが覆っていた。シェードは電動式で、ベッドサイドのボタンを押すとゆっくり引き上がった。


眼下に一面に広がる街と、その向こうにうっすら見える海、そして広い空。


「わ〜 すごい!」

「うん、久しぶりの日本だし、こういう所でゆっくりしたいなって思ったんだ。」

「あれ◯◯かな?あっちにも△△見えてますね。マニアにたまらないですね〜。ここ、この景色が見えるだけでもすごい。この位置にある部屋を指定したんですか?」

「ううん、それはないけど」

「え〜 この場所に来れてよかった」

「僕が向こうに行っちゃう前に一緒に行ったホテル、すごく楽しかったからさ。tefeさんとまたああいう風に過ごしたいと思って。」

「確かにここ、階の高さも雰囲気も、あの時のホテルに似てますね。」

「うん。あの時から数えたら、もう2年だよ?信じられる?」

あっという間でしたね。あの時が、海外移住する前に会う最後のお別れだったはずなのにね。」

「ね。でも僕たち、あの後も何度も会ったよね。」

「会いたかったよ」

2人とも、荷物を置いたり上着を脱いだりしながら普通に話していただけなのに、彼は立ったままおもむろに私を抱きしめてきた。

そしてキスをしてきた。

今日で2回目のキスだ。


やっぱり私は全くドキドキしなかった。


それどころか、まったくもう!という気持ちが表情に出てしまったと思う。


“あの後も何度も会ったよね”などと言われても、過ぎたことを何を今さら、と思うだけで、心が動くことはなかった。


私はもともと、本当にしたいと思うことしかできなくて、思ったことが表情や態度に出てしまうのだ。彼の前では特に。


しかも、彼と別れたあとに新しく入った職場には

外国籍の人や海外経験が長い人が多く、会議でもプライベートの場でも、ストレートに自己主張する人が多い。


きっと自分も影響を受けていて、ただでさえ演技ができないのに、新しい環境でそれが助長されたと思う。



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次のエレベーターに乗って、やっと2人きりになった。


「会いたかった」


彼は私の手を取り、顔を寄せてきてキスをした。

私はやっぱり、以前のようにはドキドキしなかった。


相変わらずですね」


困った顔をして彼の胸を軽く押して離した。


やっぱり、別れ話をした後6か月以上も会わずにいて、その間それぞれ新しい生活を送っていても平気だった相手と、

会っていきなり男女として燃え上がるというのは

難しいのだと思った。


そして、自分がそんな風に冷静でいられる人間であったことにホッとした。


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彼に連れてこられたのは、欧米籍の旅客機のパイロットたちもチェックインのためにロビーにいるようなホテルだった。


空間を贅沢に使った大きな吹き抜け、欧米人に好まれそうなモダンでお洒落な感じのレストラン、宴会場や会議場用の場所も当然備えていそうな、ちゃんとした場所だ。そんなホテルに彼と来て、休日の朝9時台に男女でチェックインすることが

(周りに対して)気恥ずかしく、彼の横に並んで待つことに気が引けた。


あるいは、ラブラブな関係でセックスするために来た、というわけではないのに、彼と一緒に並んで勘違いされることがシャクだったのかもしれない。


彼がフロントでチェックインしている間、

私は少し離れて窓際に立ち、外の景色を見ていた。


tefe

少し大きな声で呼ばれたので振り返ると、彼がフロントのスタッフに誘導されて歩き始めるところだった。

今まで、人前で呼び捨てにされたことはなく、

今回そうされたことが少し嬉しかった。

(フロントのスタッフの手前、夫婦のふりでもしてるのかな?)


スタッフに誘導されて進む。ロビーからエレベーターホールに繋がるところに大きな扉があり、そこにカードキーをかざさないと先に進めない構造になっていた。


エレベーターの前にはすでに1組の男女が並んでいた。ひとまわり上の年代の、おそらくは夫婦だろう。エレベーターが来た時、私たちは歩みの速度を落としてその2人を見送り、次のエレベーターを待った。そうしようと言葉を交わしたわけではないが、ほんの少し目配せしただけでお互いの意図が分かった。


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