彼に抱かれて気持ちよさそうに喘ぎ声をあげて乱れている等身大のサイズの3D映像を見せられて、
自分の意思に関係なくドキドキしてきた。
本当は近くに彼が立っているはずなのに、
私は映像の中の世界にいるような感覚になって、
同じ空間にいる彼の存在が消えてしまったようだった。
視覚も聴覚も空間ビデオの世界に持っていかれていた。
「tefeさん、どう?」
「すごい…」
「僕これ観てたらまた興奮してきちゃったよ。脱いで?」
また鼻息が荒くなっている。
「えっ… いまこれ観てたの?」
「そうだよ、tefeさんがゴーグルで観てたのと同じ映像をスマホで観てた。早く脱いで」
少しも待てない、というような勢いで
彼は私を押し倒して激しく抱いた。
フーッフーッという鼻息が怖いくらいだ。
彼は、いやらしい映像を見ると
瞬間湯沸かし器のように
いきなり性欲がマックスになるタイプなのだろうか…
さっきも私とのセックス中に、
自分たちのセックス中のビデオを観て
異様なくらいハイテンションになっていた。
今も、彼が自分の興奮に任せて荒々しく腰を振り続けるようなセックスだ。
私の色んなパーツを感じさせようとする
技巧的なセックスとは違う。
「あぁ すごく興奮するよ。
バーチャルの中のtefeさんとセックスしてるみたいだ。また会えなくなっちゃうけど、あのビデオがあれば何回でも抱ける。何回でも抜けるよ。」
「今やってるセックスが、バーチャルなのか現実なのかわからない。それくらい脳内麻薬が出て興奮してる」
「あぁ tefeさんの/ /気持ちいいよ」
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ハァハァハァハァと息を荒くして
ハイテンションに色々な言葉を発しながら、
性欲と妄想と願望とを、やや乱暴に私にぶつけた。
私の感情は彼の勢いに追いついていなくて
戸惑っているのに、
彼にさんざん快感を刻み付けられた私の身体は、哀しくなるほど敏感に反応してしまう。
私の身体なのに、私の意思よりも速く、
彼がしたいことに勝手に共振してしまう。
理性よりも遥かにパワフルな力だ。
“これが終わったらまた会えなくなっちゃうんだな…”と思いながら
興奮状態になった彼に
好きなようにされながら
快感の声をあげたり切なくなったりしていた。
でも、もう、以前のようにセックス中に涙が出ることはなかった。