2.本堂
しんちゃんたちのお家の近くに大きなお寺があります。その境内には,小さな広場があって,子供たちがよく遊んでいます。しんちゃん達もよく遊んでいます。
ある日,友達に誘われて大きなお寺に遊びに行きました。
お坊さんが本堂の掃除をしています。
若いお坊さんがしんちゃんたちを見つけ,
「ぼくたち本堂に上がってみないか」
と誘ってくれました。
いつも戸が閉まってる本堂なので,しんちゃんたちは中が見たくなり入らせてもらうことにしました。
高い階段を上って本堂に一歩入りました。少しひんやりする本堂は薄暗くてとても広いので,しんちゃんたちは
「うわぁ。大きいなあ」
と思わず声をあげました。
2,3歩中に入った時,若いお坊さんが
「ぼくたち。本堂の中に入る時は帽子を取って,こうして手を合わせてお辞儀するのが礼儀だよ」
と教えてくれました。
しんちゃんも帽子を脱ぐと,けんちゃんが,
「入る時,このしんちゃんが『帽子を脱がなくていい』と言ったからかぶったままだったんだよ。その証拠にしんちゃんが帽子をかぶったまま一番に入ったでしょ」
と。言いました。
『えっ』と思ったのですが,『ぼく,そんなこと言ってないよ』の一言が出ませんでした。
もじもじしていると,若いお坊さんが,
「しんちゃん。本当の事を言ってごらん」
と,優しくゆっくり言ってくれました。そして,しばらくして,また若いお坊さんが,
「しんちゃん。入る時そう言ったのかな。ぼくには聞こえなかったよ」
実は,この若いお坊さんはテドゥウが化けていたのです。
「さ,しんちゃん。言ってごらん。けんちゃんもたっちゃんもしんちゃんの話を聞こうね」
と,まわりの子供にも言ってくれました。
けんちゃんもたっちゃんもよっちゃんも,ちょっと困った顔をして黙ってしまいました。
しばらくして,しんちゃんが,
「ぼくじゃないよ,帽子の事何も言わなかったよ」
と,ポツリと,しかし,はっきりと言いました。言ってみると実に簡単でした。こんなにすっと
言えるものかと自分でも驚いたのです。
すると,若いお坊さんは,
「そうか。やっぱり言ってないんだね。みんなも聞き間違えたんだね」
と,ニコニコしながら一人一人の顔を見て優しく言ってくれました。
けんちゃんも,
「聞こえたような気がしただけで,あれはやっぱりしんちゃんの声じゃなかったよ」
と,ちょっと反省しながら言いました。
「そう言えば,しんちゃんが自分の意見を言ったの初めてだな」
と,たっちゃんも言いました。
「しんちゃん。友達なんだから何でも言えよ」
とよっちゃんも言ってくれました。
「みんな。仲がいいんだね。じゃ,外で元気に遊んでおいで。ぼくはこれからまた掃除をするから」
そう言うと,若いお坊さんに化けたテドゥウは戸を閉めて,御本尊に手を合わせるとすっと消えてどこかへと帰って行きました。きっとこのお寺のどこかに住んでいるのでしょう。
おしまい
カットはポックルさんです。









