ちいちの神様 | 不思議な生き物「テドゥウ」の話・・・≪【童話】≫・・・

不思議な生き物「テドゥウ」の話・・・≪【童話】≫・・・

ときどき童話をUPするので、読みに来てね。
よろしくぅー

ちいちの神様


1.雨の中の男の子


雨がふって

暑い暑い夏が終わろうとしています。

「こういう雨を人間は『しゅうりん』って言うんだな。」
しゅうりん(秋霖)とは,ススキ梅雨(づゆ)とも言って秋に降る長雨の事です。


山の中の小さな滝の中から外をながめながめてテドゥウはひとりつぶやきました。


あのうだるような暑さから解放されたように,山の木々は葉をいっぱいに広げて気持ちよさそうに雨にうたれています。


雨がふると森は静かになります。

ただ雨足の音だけが森中にひびいています。


テドゥウはじっと雨が葉っぱや岩にあたる音を聞いていました。

そこへ「はぁはぁ、はぁはぁ」といきをきらせて

男の子が登ってきました。


水色とこん色のまざったレインコートには、どろや落ち葉などがついています。

五年生くらいでしょうか足取りはしっかりしています。


テドゥウは何事かと思い、その男の子についていくことにしました。
もちろんすがたを消して。



2.サイコロ岩に立って


男の子は,はぁはぁ息をきらせながらも どんどん登っていきます。

とうとう「さいころ広場」までやってきました。

雨でサイコロ岩はすべりそうなくらいぬれています。


男の子はそこに立って,

「ちいちの神様,ちいちを助けて下さい」

と大声でさけびはじめました。

何度も何度もさけんでいます。

テドゥウは,男の子が岩から落ちないかとはらはらして見ていました。

雨はどんどんはげしくなってきます。

風も少しきつくなってきました。

「あっ,あぶない。」
男の子が足をすべらせ,よろけて手をつきました。

テドゥウはつい声を出してしまいました。

でも,テドゥウの声は川のせせらぎのような声でしたし,

雨も風もきつくなっていたので男の子には聞こえなかったようです。


ふらつきながらも男の子は,またサイコロ岩の上に立ち

「ちいちの神様、ちいちを助けて下さい」

と大声でさけびつづけました。

何度も何度もさけんでいます。

てどぅうのブログ-ちいちの神様1

どうしてこんなあぶないことをするのでしょう。

「ちいち」ってだれなのでしょう。

テドゥウは神通力をもって男の子を見てみました。


3.神通力で

テドゥウが神通力をもって男の子を見てみると・・・。


ちいちというのは,この男の子で生まれれたときから体が弱く

ついこの間からかぜをこじらせて肺炎というおそろしい病気になってしまったのでした。


すると,男の子の通う学校の友だちから,

「雨の日にサイコロ岩で妹の神さまにたのめば妹の病気はなおるよ」

と冗談を言われたのでした。
何とひどい冗談を言う友だちなんだ。

テドゥウははらがたちました。

そこで,

「ようし,こらしめてやる」
テドゥウ
はすぐに男の子の友だちの家に行きました。

男の子の友だちの家には,四・五人集まっていました。

「おい,たかしはほんとうにサイコロ岩に行ったと思うかい」
「あいつ,くそまじめで人をうたがうことを知らないから,きっと行ってるよ」
「この雨の中を・・・ごくろうさんだね」
「行ってないかもしれないよ」
「いや,たかしはきっと行ってるって」


テドゥウは神通力でまどをあけ,雨と風をこの子どもたちの顔にぶつけてやろうと、


テドゥウこの子どもたちはグルなんだな。と思いました。
「ようし,みんなこらしめてやる」
窓をバタンと開けました。


4.そよ風に吹かれて


ところが,

まどから入ってきたのは・・・

なんと

すがすがしいそよ風でした。


テドゥウが窓を開けた瞬間の事でした。

一人の男の子の目に「悪い事をしたな」という反省の色が見えたのです。


テドゥウは,ハッと気づき そよ風に変えたのでした。


男の子たちはしばらく風に吹かれていました。

そして,

なんとすがすがしい晴れ晴れとした気持ちになったのです。


てどぅうのブログ-ちいちの神様2


「おい,たかしが本当に行っていたらかわいそうだね」
と,

一人の男の子がぽつんと言いました。

その声は,本当に心にひびく声でした。

「うん,たかしだったら行ってそうだね」
「見に行こうか」
「うん,ようすを見に行こう。しんぱいになってきた」
「ぼくも,悪いこと言ってしまった」
「みんなで様子を見に行こう」
行こう。行こう。と,

男の子たちはかさを手にしたり,レインコートをきたりして,山に向かいだしました。

外はあいかわらず大雨できつい風が吹いています。


テドゥウもついて行くことにしました。


5.ごめん。いっしょに遊ぼう


男の子たちが サイコロ岩に近づくと,

「ちいちの神さまぁ

というたかしの声が聞こえてきました。


「たかしー」
「たかしー」
みんなは,さけびながら

さいころ広場にたどりつきました。


「あれ,

ゆうくんたち。

さあぼう

きよっちゃん

しんちゃんも

みんな,どうしてここに来たの?」


「たかし。ごめん」
「たかしの妹。ちいちゃんの病気がなおるというのはじょう

だん」
「ごめん。ちょっとみんなでからかってしまったんだ」
「ええっ。うそだったの。ぼく,ちいちがなおるとおもって

一生けんめいおねがいしていたのに」
「ごめん。そうなんだ。さあ,いっしょに帰ろう」
ちょっとなきだしそうなたかしくんと,

ばつがわるそうな男の子たちは一緒に山をおりて行きました。


しばらくすると,

男の子たちの声が聞こえてきました。

次第に大きくなる話の中に「一緒に遊ぼう」という声も聞こえてきます。


テドゥウは,男の子たちの様子を見とどけると,ほっとした顔をして山に帰って行きました。


「ちいちの神さま」おしまい


カットはポックルさんです。