私が塾で担当している中2生は学校の英語の授業でもうすぐ5文型を習います。そこで私自身のブラッシュアップがてら5文型に関する参考書を図書館で探していたところこんな本を見つけました。

 

 

本書のユニークさは、タイトルにある「ネイティブ英文法」という表現からも察せられるように「ネイティブ」発想で英文法を見直している点にあります。第1章~第3章の「基本文の構造」で詳細に論じられる英語の5文型の解説からは多くの気付きが得られました。

 

なかでも印象的だったのは、ネイティブは英文をまずは大きく「リンキング動詞を含む」文と「含まない」文に二分する、という指摘です。ここでいう「リンキング動詞(linking verb)」とは第2文型を形成する動詞群に相当します。その典型である「be動詞」のように、主語(S)= 補語(C)の関係を形成する「つなぐ」働きが「リンキング動詞」の特徴です。

 

本書によれば、英文をまず「第2文型 vs それ以外の文型」に分けるのがネイティブ発想である、ということです。それ以降のステップは、「目的語の有無」によって「第1文型 vs 第3~5文型」が、さらに「目的語の数」によって「第1文型 vs 第3文型 & 第5文型 vs 第4文型」が分かれ、最後に「第3文型 vs 第5文型」という分岐が生じるという流れになっています。これを私流のフローチャートにしたものが以下の図です。

 

 

be動詞と一般動詞は、否定文や疑問文の作り方の違いから系統の異なる動詞群であることは実感していましたが、その根幹には発想の違いがあるというのは大きな気付きでした。もっとも、第2文型を形成する動詞には be動詞以外の become, get, look, smell, taste, remain, keep といった一般動詞も多く含まれていますが、これらは be動詞 から派生していったニュアンスの違い(~である → ~になる・~のままである、五感)と考えれば、まずは be動詞 と 一般動詞 の違いが十分に腹落ちすることが英語学習における最重要ポイントであることを再認識しました。

 

以前 大西泰斗さんの5文型に関する雑誌記事 では次のような解説がありました。

 

❶ 第3文型 (他動型)  I got a fantastic present. 
❷ 第1文型 (自動型)  I got there at 3 o'clock.
❸ 第2文型 (説明型)  The problem is what we should do if the plan fails.
❹ 第4文型 (授与型)  My parents bought me an iPad.
❺ 第5文型 (目的語説明型)  We call him Jimmy.

 

両者の解説に共通するのは、5文型を「動詞の型」として捉えている点です。たしかに英文の構造を支配する「動詞」の働き方に習熟することが英文の理解向上につながることは十分に予想できます。たがが5文型、されど5文型。中2の生徒にとっても5文型が腹落ちするような説明を考えてみたいと思います。