マロニエ王国の七人の騎士(3)【ネタバレ注意】感想1巻 | Mictlan

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ミクトランは、アステカ神話において九層目にある最下層の冥府であり、北の果てにある。

「マロニエ王国の七人の騎士」

岩本ナオ 月刊フラワーズ連載中

 

新刊が出るたびに1巻から読み直したくなる本作、令和のFSS(Five Star Stories)と勝手に名を付けました。

自分用メモで公式見解ではない考察を含みます。

以下、感想というか気づいたことメモ。これを読んでもあらすじはわかりません。

最新巻までのネタバレ全開なので、ネタバレを好まない方は以下読まないようにお願いします。

 

【1巻】

・表紙の7人兄弟について。

 左奥(長男)→右奥(五男)→左奥から二人目(七男)→右奥から二人目(次男)と、連載中の現在まで順番にスポットライトが当たっている。

 この流れで行くと、今後、左奥から三人目(六男)→右奥から三人目(三男)→中央(四男)、の順にエピソードの主人公が移っていく?

 

・ブルーノ様(姫)のお見合いを邪魔している何か「得体の知れないモノ」は、おそらく謎の男/訪問者/ヒンヤリ。

 →3巻176ページでヒンヤリは自分が探している女性について「きれいな服でまわりに何人もお供の人が見えたからお城の女性だと思うんだけど」と述べており、どこか遠くから/誰かの視点を通じて「見たことがあるだけ」であることを窺わせる。

 →1巻50ページに揚羽蝶のアップが一コマあるが、5巻126ページで黒焦げのヒンヤリが述懐するシーンで彼が指に止まらせているのも揚羽蝶。揚羽蝶を通じてブルーノ様(姫)を見ていたのでは?

 →ただし、正直なところ、蝶はこの物語中のあちこちに飛んでいるので、深読みしすぎかもしれない。

 

・眠くない「僕は今……もしかしてうたた寝をしていたのか」(78ページ)は、暑がりやと寒がりやは分かり、ハラペコと獣使いには反応の無かった「得体の知れないモノ」による異変。

 

・乳母様「真っ暗い中で明かりも持たずに お前はほんとに怖いもの知らずだねえ」(133ページ)は、「夜がすでに彼女のものだから(エリーは暗闇を怖がることはない)」という眠くないの台詞(3巻32ページ)の伏線。

 

・164ページ 女王ヒュロッキンの娘は8人だが、コマに描かれている娘は10人いる。

 →9番目(カステヘルミ)と10番目(アンニ)は1番目の娘(ビルギッタ)の子ども

 

・170ページ 大司教の「なんとっお美しい」の台詞に「はじめて言われた……」と頬を染めるエリー。眠くないは何故か動揺し、一瞬周囲の人間を眠気が襲う。

 →眠くないはずっとエリーを「美しい」と思っていたのに、自分がそれを一度も伝えていなかった、それを伝える最初の人間になれなかった、という事実をここで自覚しショックを受けた。そして2巻の最初で、娘らしい可愛い格好をしたエリーを走って追い、彼女に賞賛の言葉をかける最初の人間になりに行ったのである。

 

・186ページ「20年前 女将軍が塔の上にとじこめた神様を返してくれないなら 眠くないをもらってしまいましょうよ。それは20年前 あの男がこの世界とかわした約束なのだから」
20年前の大恐慌後にこの国を訪れたのは城代のはずだが、「あの男」は宰相で合っているだろうか? 

 →というか、マロニエ王国がペレグリナスの「力」を七つの国に返す約束を公式に結んだのは、3年前の八カ国会議のはず。すでに20年前からかわされていた約束とは? 今回の「外交」は20年前からの既定路線?

 


・巻末短編「プロローグ」 6巻で暑がりやの色が変わるまで気づかなかったが、この時点で暑がりやはすでに変色していたのね。