雪 | 行く河の流れ

行く河の流れ

行く川のながれは絶えずして、しかも本の水にあらず。よどみに浮ぶうたかたは、かつ消えかつ結びて久しくとゞまることなし。

 一緒に働いている女の子が店内の窓から見える外の景色を見ながら言った。
 「最悪・・・」
 時刻はもうとっくに日も沈んでしまった午後8時過ぎ。深々と冷え込む外の気温とは引き替えに店内は暖房で暖かい。寒さが夜の暗みに深さをましている。そこに粉雪が舞いだしたのだ。岡山南部はなかなか雪が降らない。降ったとしても水分を存分に含んだ大きいワタのような雪が多い。この雪は積もる雪だ。深みのある黒を背景に白い粉がフワフワと風の吹くまま踊っている。僕の心も躍った。しかし女の子も同じ景色を見ながら全く正反対の感情を抱いていたのだ。
 雪国では雪が災害となっている。多くの方が亡くなってもいる。だからといって、雪が綺麗に舞っているのを見て、僕はここ岡山の地で雪に対した感情を偽ることはできなかった。